第九話 先生はやはり怖い
「にしても、めんどくせぇ日取りだな。土日丸々潰れたじゃねぇか」
「今言っても遅くない?」
昨日に引き続き、今日も学校では盛り上がった文化祭が開かれている。
そして此方もまた、昨日に引き続き文句を垂れていた。
「……そういや、坂口は?」
「今日は友達と回るんだって。昨日は貴方の介護で疲れたらしいから」
「勝手にやっといて何を言ってんだ」
昨日の事を思い出したのだろうか。彼は苦虫を噛み潰したような顔をして、机に顔を伏せた。
なんだかそんな人間的な一面を見せる彼を見ていると、少し笑みが零れた。
「あーそうだ。屋上行くんだった」
「屋上?行けるの?」
「行ける。いや、行けないけど行く」
「なにそれ……」
基本的にウチの学校では屋上に行くことはできない。理由などはもう典型的な理由だ。周りに金網を張っていないので危ない、確かそれだけだった気がする。
「ま、アレだ。探検&サボりってヤツ。一緒に行くか?」
「えっ……えーあー、うん」
「よし、じゃあ行こう」
彼は気楽な様子で鞄を背負い、廊下へと向かって行った。
一方私は、どこか罪悪感を拭えない気持ちのまま彼の後を追うしかなかった。
ーー
「それで?君達はどうして屋上に居たのかね?」
「屋上にタバコを吸いに来た先生に言われてると、ものすごくおかしく感じるのですが」
「そ、それはまぁアレだ。大人の特権だ」
「ですよねー。大人の特権怖ぇ」
棒読みにしても酷い言い方で、彼は先生に物を言うが、一応悪い事をしたのは私達である。
しかしまた、先生がタバコを吸いに来たのも事実には変わりはない。
「それで?理由は?」
「このクソみたいな文化祭から逃げる為の最終手段ですね」
「昨日は楽しそうにしてたじゃないか?」
「アレを楽しそうに見えた先生は、よほど彼氏と遊んだ事ないん……ガフッ!!」
「━━━━━━それ以上は禁句だぞ♡」
腹に一発。いや、二発だろうか。
彼の腹に拳がめり込み、彼は両膝をついて床に倒れた。
これは痛そう……。
「……いや、なんで最後可愛らしく言ってるんですかねぇ!」
「?私は女子だぞ?」
「女子って女に子供って書くの知ってま……はい、すみません」
今度は倒れこんだ彼を優しく睨みつける。これが蛇に睨まれたカエルと言うヤツだろうか。虚しさの塊である。
「はぁ……まぁ、そう言う事にしとこう。サッサと友達の一人ぐらい作るんだな」
「先生も彼……いえ、なんでもありません。では、ご忠告ありがとうございます!」
彼は慌てて職員室から逃げだし、その場からサッサと立ち去った。怒りマークが顔に出ている先生は、一礼した私に一言だけ問うた。
「雨宮。君は変わる気はあるかい?」
ただ、それだけを。
次回は明後日です!お楽しみに!




