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結局彼は孤高に立つ  作者: ◾️
第一章 一学期
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第二十六話 夏のひと時

「はぁ……散々怒られたんだけど」


「なんで私に言われなきゃならないのよ。元はあなたが悪いんでしょ?」


「お前も怒られたろ。なに自分は違いますみたいな言い方してんだ」


「うるさいわね。今ちょっと気分が悪いから話しかけないでくれる?」


「はいはい。わかりましたーっての」



大神君は嫌味と倦怠感を前面に押し出し、ため息と共にそう呟いた。夏の暑い熱風が体全体を包むように吹き込んでくる。太陽の陽は木の葉が防いでくれるが、風だけは依然私達を熱し続けた。その上、その熱風は少し塩を含んでいる。



「「海、嫌い……」」


「……仕方ない。それだけは共感の意を見せよう。俺は海が嫌いだ」


「そうね。私も嫌いだわ、海」



先ほどから体に当たる熱風は、単なる暖められた風ではなく海で生まれた温風だ。なので余計に暑く感じるし、若干ネトネトしている気さえする。青く光る海に遠い目を向けながら、私と彼は太い幹に背を預けた。



「ただいまぁ!!ライライ、コーラ取って!」


「帰って来てすぐにパシリかよ。まずは体を拭けっての」


「えー、また戻るからいい」



赤いビキニを着た少女は、彼に上目遣いでコーラをせがむ。彼が渋々渡すと残り半分ほどだったコーラは瞬く間に消え去り、残った空のペットボトルだけが私達の元へと返却された。



「どんだけ喉乾いてたんだよ。まだ半分は残ってただろ?!」


「美味しかった!」


「いや、味の感想を聞いてるんじゃなくてですね……」


「じゃあもっかい行ってくるーー!!」


「自由人かよ、お前は!」



彼女の耳にはそんな罵倒さえ、届く暇はなくサッサと海の方へと駆け出して行った。海では柊木君と坂口さんがキャッキャキャッキャとはしゃぎ回り、朝倉先生は海の家で焼き鳥やら唐揚げやらを爆食いしている。残っている私達は言うこともなくただ座っているだけ。そんな夏のひと時だ。



「ふわぁ……」



彼が大きな欠伸をしながら、横にぐったりと倒れた。



「寝るからみんなが帰って来たら起こしてくれー」


「なにそれ?私をパシらせる気?」


「だってあいつら何時に終わるかわからねぇし。俺とお前の二人だけじゃする事なくて退屈だろ?」


「退屈なのは否定しないけど……」


「大丈夫だって。起こされたら起きるから」



そんな風に無作為に笑う彼を見て、私は短いため息を吐いた。彼は簡単な枕を腕で作り、目を閉じて睡眠に至った。私もそんな彼の姿を見ていたら、心なしか眠くなって来たので適当に砂で絵を描きながら何とか睡魔を退けて過ごした。














ーー




「ホテル〜!ホテル〜!」



海の時と同様に相変わらずの元気な様子でホテルに直進する彼女の姿は、もう小学生の修学旅行か初めて旅行に行った子供のよさげうな姿だった。一切疲れを見せずにいるが、多分彼女は布団に入った途端爆睡して明日の朝まで目を覚ます事はないだろう。そんな事を思いながら、朝倉先生の車から降りて重い荷物を持ちながら自動ドアを潜り抜けた。



「えっと〜、あっそうそうチェックイン」


「先生ー、あそこの子供にチェックインの仕方を教えた方がいいんじゃないんですか?」


「あっホントだ。学校に連絡される前に急がなきゃ」


「何するんだよ、アイツ!」


「何ってそりゃあ……迷惑な事とか迷惑な事とか迷惑な事とか」


「何それ!?もっとまともな事できねぇのかよ?!」



安定のツッコミを入れてくる柊木君に、彼は素直な感想を述べて素っ気なく対応する。未だに坂口さんの生態を知らない柊木君からすれば、大神君が言っている事なんて頭のおかしな妄言でしかないだろう。だがそれが妙に本当の事なので余計にコッチは何も言えないのもまた事実である。



「……たっだいまぁ!男子は413号室で、私達は412号室。何かあったら連絡する事!それを忘れないでね」


「りょーかい」


「おーう!」



帰って来て早々、彼女は素早く次の行動を示し、とりあえず荷物を、とか何とか言いながら先生とスタッフさんと何やら話て奥へと進んで言った。背後から見ていると、なぜか微笑ましく感じたのは気のせいだったのだろうか。そう私は少し思った。
















はい!どうも!■です!


次回は木曜日の夜九時!お楽しみにー!

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