女の過去編 4/4
お疲れ様です。
女の過去編終わりです。
師匠とおんなじぐらいになっちゃったかも。
いやまだ腰の曲がり具合は負けてるかな?
そもそも師匠はエルフって言ってたから、ただの人間の私じゃ、まだまだ若造だね。
そろそろカリグス様に会えるかな?
だいぶ夜明け前に自分を丸洗いするのしんどくなってきたんだけど。
なんだか研究をしても昔みたいにひらめかない。
一度読んだら覚えられたのに、最近は三度四度と読み返さないと覚えられなくなっている。
このままじゃ、カリグス様に会うために儀式までも忘れてしまうんじゃないかと不安になってしまう。
どうか、どうか私の体が動くうちに。覚えていられるうちに。
朝露を運んで、頭を深く下げる。
頭を上げようとして、上げれなくて、気が付いたら膝をついていた。
肌が粟立つ。本能で分かった。
「――…カリグス様。お会いできて光栄です」
――久しく願いの儀を成就させる者がおらなんだ。
声、なのかな。耳にというより頭に直接語りかけられているみたい。
――そなたらは二人とも、このカリグスをよく信心したものよ。見事なり。
「ありがたきお言葉。これもすべて我が師匠の教えです」
せっかくなら師匠と一緒にカリグス様に会いたかったな。
師匠の方がもっと会いたがってたのに。
――して、願いは?
「どうか師匠を生き返らせてください」
そのためにずっと氷漬けにしてるんだから。
――できぬ。
「もちろん私の余命分だけでかまいません。あと十年はあるかと試算しているのですが」
さすがに対価は払いますよ。神様相手に空手形は切らない。
物覚えが悪くなっても、体の動きが鈍くなっても、まだ死ぬほどじゃない。
今のところ病気も患ってないし、十年くらいなら生きられると思う。たとえ半分でもいいよね。
五年でも師匠に研究を続けてほしいもんね。
生き返ったらもう私はいないからお手伝いが足りないかな?あ、また転移させたらいいよね。師匠の研究の成果を鑑みたら、魔術師一人や二人使わせてくれるはずだもん。
そしてそれにまた生き返らせてもらえばいいよね。
――我に死んだものを生き返らせることはできぬ。
「え?そんな……カリグス様は時間を司る神様なんじゃ……」
――創造神である彼の御方ならできるやもしれぬが……神は万能ではない。
そんな、困る。
なんのために何十年もカリグス様をお参りしたと思ってるの。
――生きてさえいれば、いくらでも伸ばしてやれたものを。
「師匠は……研究を続けたいだけなんです。どうにかなりませんか?」
――ならぬ。
「ええぇ……まいったな、どうしよう。じゃあお願い事はないです」
――そなたがかわりにすればよいだろう。
「でも師匠はすごい人だったんです。私がいくらしてもやっぱり時間切れです」
言われるまでもなく引き継いで研究してるけど、たぶんベースが足りてない。師匠に有って私にはない知識のベースがある。
――そなたの最盛期に戻してやろう。
「へ?」
おお?膝が痛くない。平伏してても腰が痛くない。床についてる手を見れば、しわくちゃだったのにツルツルになってる。
「ありがとうございます」
これならあと五、六十年はもつ。多少は師匠に近づけるかな。あ!
「また願いの儀をすればカリグス様に会えますよね?」
――また会えそうだの。
「ではまた同じように戻してもらえば」
延々と研究できる!永遠にできるかも。
――願いなぞないと言うてた口が、もう次の願いを言うか。
笑って、るのかな?さすがに図々しかったかな?でもズルするわけじゃないし。
――よきよき。そのようなことをせずとも叶えてやろうぞ。あやつとそなた、二人分ある故。
「え?」
――老いることのない永遠の命ぞ。精進するがよい。
「え?」
――では健やかにな、愛しきものよ。
「え?あ、ありがとうございました」
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