二度目まして
低周波治療器と思えば気持ちいいかも。いや痛いな、うん。
「……なにしてるの?」
「あ、お邪魔してます」
大きなため息をついて雷を止めてくれた。本当に気遣い屋さんだ、この人は。
「また来たの?」
「またっていうか、まだっていう」
「ん?どういうこと」
「あれからずっと帰れないんだよね」
もらった在庫処分――お土産の入ってた袋をひっくり返す。
「全部食べちゃった。ごちそうさまでした」
おいしかったです、とは社交辞令でも絶対言えないけど。
「今までずっと?」
「今までずっと」
「えっと、二十……三十日?なんで帰らないの」
「迷いの森だからね」
「そうだった」
そのうえ生きて帰れない家だからね。仕方ない。
「じゃあ、お茶飲む?」
「うん」
お湯なんだろうな、と思ったらやっぱりお湯だった。
目の前にはカップに入ったお湯と、山盛りの完全食。デジャビュ。
違うのは、今回は椅子を彼女に譲った。お邪魔してるのはこっちだし。
そして椅子に座っている彼女が、えっとあれだ、ドヤ顔。
「自信作なの?」
「そう!」
「前もそう言ったじゃん」
「今度は味も!」
早く食べろって圧がすごい。そんなにお皿をこっちに押し付けたら落ちちゃうでしょ。
「いただきます」
さまよっている間お世話になったけど、再び口にいれるのは勇気がいるね。
うん、食べるからそんなに見ないで。
「!」
「ね? すごいでしょ?」
「うん、すごい! えぐみが全くない」
いやまずいはまずいんだけど、飲み込むのをためらうまずさじゃない。普通にまずいだけ。
「前の方が栄養価は高いんだけど」
「妥協も大事だよ?」
「そうだよね。あれは飲みこむの辛かったから」
作成者もつらかったのか。食べきった俺、凄いな。
「ごちそうさま」
ちゃんと一個しか食べてない。
「帰るね」
「帰れる?」
「帰りたい、ね」
返した袋に、またドサッと皿の上の正真正銘の自信作を全部入れてくれた。
ありがたいね。
「せっかく上手に作れたのに、全部もらっちゃってもいいの?」
「いい。次はもっとうまく作るから」
「同じように作らないの?」
「研究者だから、私」
「……ほどほどにね?」
せめて次も普通レベルのまずさになればいいね。
「ここでいいよ」
「大丈夫」
空を指さしてまたドヤ顔してる。
「曇りだもんね」
「まかせて」
本当に家が建っている空間と森との境まで送ってくれた。
すごいじゃん。本当にびりびりこないよ。
「じゃあ、お邪魔しました」
「ん、じゃあね」
今回は穏やかにあいさつをして別れることができたね。
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