女の過去編 1/4
すみません、今度は女の過去編です。全四話。
暗くて重いので苦手な方は飛ばしてください。
数百年に一度、地球というところから人が来ることがあるそうだ。
おとぎ話のようなその話を、真面目に研究している人がいるらしい。
まあ私の師匠なんだけど。
師匠はとってもとっても優秀で、その地球から来る人たちが必ず大きな力を持っていることを突き止めたそうだ。
「違うよ、それは昔から知られてた」
「そうだった?じゃあ師匠が突き止めたことって?」
たまに来るおじさんがそう言ってたのに。
「こちらへ来た時が若けりゃ若いほど力が大きくなるってことだよ」
「じゃあ、私はすごく力が大きいの?」
「そうさ。まだ目も見えてなかったからね」
「ふーん」
立ち上がって、本のある部屋へ行く。
目当ての本を見つけて、ページをめくっていく。
「あ、本当だ。人間の赤ちゃんも生まれてしばらくは目が見えないんだね」
「そうだよ。明るさしかわからないって書いてあっただろう?」
「うん」
本を戻して、師匠のところへ戻る。
「じゃあ私が来たのは生後ひと月以内だったんだね」
「ああ。だからおまえの力は巨大だろ?」
「わかんない。使ったことないから」
それに誰かと比べたこともないもの。
「魔法なんか使ってりゃそのうちなんとでもなるんだ。それより、おまえの年でこの家の本をすべて読んでる方がすごいさ。大きな力ってのは知力も当てはまるんだからね」
それが師匠がわからないことがあったらとりあえず本で調べろって言うからでは?
読みたくて読んだわけじゃないんだけど。
でもそれを言えばどうなるかわかってるから言わない。
うん、知力があってよかった。
基本的に師匠のすることは受け入れているんだけど、師匠の作るご飯は好きじゃない。
前まではこのどろどろの緑色のスープも別に何も思わなかったんだけど、おじさんがくれたお菓子を食べてから、これは食べ物に分類するのは冒涜なのでは?と思うようになっちゃった。
「……世の中にはクッキーという素晴らしい食べ物があるんです」
「知ってるよ」
「知っててなんでこんなものを食べれるんですか!?」
私の中においしいとおいしくないという分類ができてから、このスープが苦痛で苦痛で。
「馬鹿だね。これさえ飲んでおけば他の物を食べる必要がないんだ。作っておけば五日は持つ。作る手間も食べる手間も省略できるんだ。素晴らしいだろうが」
「でも味を犠牲にしてる」
「何事も犠牲はつきものだ。おかげで研究の時間が増える」
「じゃあ私が作る」
手間暇がもったいないというならその手間暇を私が請けおうじゃないか。
おいしいを研究するのも楽しいかもしれないし。
「そんな無駄なことする暇があるなら論文の一つでも読みな」
冷たい目で見られて言葉に詰まる。
「おまえは学ぶために生かされてるんだ、忘れるな」
うなずいてドロドロのスープを流し込んだ。




