ぼうし
今回で領都編終わりです。
次回から女の過去編が四話続きます。また暗くて重いです。
火の玉だけじゃなく、水球でもお手玉見せてくれた。
でもそれお手玉じゃなくて、魔法でぐるぐる回してるだけだよね?手のひら向けてる両手が全く動いてないよ?いや、すごいんだけどね。
遊んでいるだけじゃないよ。
朝一で万能薬作って、お祭りから帰って仕上げをしてた。
俺?
見てただけだね。
お祭りが終わったら買取屋へ納品に行って、その足で服屋にも行った。
ようやく彼女の目的が果たせるね。
いたたまれないね。
きっとここも買取り屋からの口利きがあったんだろうね。
彼女が奥に入っている間、待合室で待ってる俺にお茶が出てますよ。
すごくいい香りがする。お紅茶様!って香り。めっちゃ高そう。
申し訳ないから、なんか買おうかな。
でもなー……あんなひらひらした服着ていくとこなんてないな。いつも買っている古着と全く違うもんね。そもそも店構えからして違ってたもんな。
口利きなかったらここも門前払いされてただろうな。
さりげなく貸し切りにしてくれてるのは、他のお客さんとバッティングしないためだろうね。
うん、やっぱりなんか買おう。
部屋の隅に立っている従業員さんを手招きする。
「なにか?」
「あのさ、帽子って作れる?」
「可能でございます」
「じゃあさ――」
なんと配送サービスがあるんだって。
当然料金はかかるけど。
「この量ですと運搬にされたほうがよろしいかと」
「むり」
だよね。配達の人たどり着けないよ。
「お洋服が20着、シュミーズも同じだけとなりますと……お一人でお持ち帰りになるのは、なかなか」
持てるだけって言ったでしょ。
「だって……また来るの、ヤダ」
「わかるけど」
「持てるもん」
「結構な大荷物だよ?」
「ホントだもん!」
「……」
「これぐらいなんともないもん!」
いや彼女がすごいのは知ってるよ?なんとなくこれぐらいなら魔法でなんとかしそうな気はするけどさぁ。でも前に担いだら前が見えないし、後に背負ったら後ろに倒れそうだよ?
俺より頭一つ以上小さいからね。
……おっと、店中から圧を感じるぞ?
「……一緒に持って帰ってあげる」
「いいの?」
だって仕方ないじゃん。
それに下心もあるしね。
「いいよ。その代わりお風呂ね!」
「帰ったらすぐ作る!」
よし!言質は取ったぞ?
俺もバンバン意見だすからね。趣味全開にしようぜ!
祭は終わったけど、なぜかまだ同じ部屋だったりする。
だって買取屋がお金払ってくれるっていうんだもん。もったいないじゃん?
どうせ一緒にご飯食べに行くし。
彼女は毎日万能薬もどきを作って、納品して。
俺はそれを見て、買取屋について行ったり、たまに近場で狩りしたり。やっぱり大物いないんだよなぁ。
彼女が狩りに来た時もあった。
それなりに自信あったんだけど、砕け散ったよ。
獲物見つけるのも、倒すのも全く相手にならなかったよ。
……チクショウ。
万能薬もどきも全部納品した。
今日仕上がった服を取りに行ったら、ついにこの町からお別れだ。
背負子に乗せられた塊を背負う。
……行商人みたいだね?
行商人よりひどいね、体の前にも自前のリュック担いでるからね。
布って思ったより小さくならないね。
こんな格好、彼女にはさせられないからよかったよ。
そうそう、忘れないうちに。
「はい、これ」
店の人から受け取ったツバの広い帽子を差し出す。
「なに?」
首をかしげるだけで受け取らないから、かぶせてあげる。
「これなら少しは太陽あっても大丈夫そう?」
何度か目をパチパチさせてから、思いついたように鏡の前に小走りで近づく。
角度を変えて何度も見てる。
「ありがとう!」
どういたしまして。
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