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死ねない二人は今日も死なない  作者: 松倉夜海
領都編

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25/31

おまつり

服屋さんはお休みでした。そうだよね、お祭りだもん。

正確には古着は売ってたけど、彼女が必要としている仕立てはしてもらえなかったよ。

お祭期間の三日間はお断りだってさ。

お店の人も楽しみたいもんね、仕方ないでしょ。拗ねないの。


「軽く腹ごしらえしようか?」

「おいしいの?」

「そう、きっとおいしいよ。なにがあるかな。見てみようね」


なかなかお腹を刺激する匂いがたまらないね。


「昨日一番おいしいって言ったお肉あるでしょ?あれの串焼きがあるよ。あっちはソーセージも。どれが食べてみたい?」


他にもホットドックや、タコスみたいなのも売っている。


「どれでもいいから、食べてみたいの選んでみなよ」


おろおろしながらも、ちゃんと見てるね。


「これ?」

「……うん」

「いい匂いだもんね」


炭火に落ちた甘い油の匂いとスパイシーな香りが食欲をそそるね。


「熱いから気を付けてね」


なんで手をかざしているのかな?


「こうすればいいよ」


ふうふうとソーセージに息を吹きかけてあげる。


「魔法は使わないほうがおいしいよ」


……たぶん。いや、熱いのをハフハフして食べるのがおいしいはず。


「っ!」


噛んだ瞬間に溢れ出る肉汁が熱かったんだね。それが醍醐味だよ。

……そこまで熱かった?涙目になってきたから、慌ててジュースを買って、渡した。


「…………か、らぃ」

「ああ!チョリソーか。食べれそう?」

「……がん、ばる」


手からチョリソーを奪い取ったよ。

完全食を食べれるから、食べれないものはないと思うけど、無理はダメだね。頑張る必要なんてない。せっかくのお祭りなんだから。


「じゃあ、これ……辛くない?」


串焼きを指さして、店の人に確認してる。

苦手なものがわかってよかったね。


「おいしい……昨日よりもおいしい」


ちゃんと自分でふうふうとしてから、ハフハフしながら食べて、そんな感想。

そうなんだよね。屋台の食べ物って妙においしいよね。雰囲気で加算されてるよね。




俺の持っているナッツの砂糖掛けを、彼女が横から取ってくるから、届かないように手を上に伸ばしてみた。

だって君、俺が一個食べる間に三個は食べてるよね?

ほっぺを膨らませて、睨んでくるから笑ってしまう。

かわいそうだし手を戻そうとしたとき、彼女の口から聞きなれない言葉が出てきたので、慌てて手を戻して、更に彼女に差し出した。


「ごめんって。全部あげるから、許して」

「…………ゆるす」

「ありがとう」


なにされるところだったんだろうね。怖いね。



いろんなものを食べて、使い道がわからないようなガラクタを見た。

火の玉でお手玉する人は、盛り上がっていた。


「すごいね」

「私もできる」

「……帰ってから見せてね」


こんな人込みで危ないでしょ。

どこかの英雄譚を歌っているのを聞いた。

全く興味なさそうな顔して。君も、俺も。





今日は太陽が出たままだったね。






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