おまつり
服屋さんはお休みでした。そうだよね、お祭りだもん。
正確には古着は売ってたけど、彼女が必要としている仕立てはしてもらえなかったよ。
お祭期間の三日間はお断りだってさ。
お店の人も楽しみたいもんね、仕方ないでしょ。拗ねないの。
「軽く腹ごしらえしようか?」
「おいしいの?」
「そう、きっとおいしいよ。なにがあるかな。見てみようね」
なかなかお腹を刺激する匂いがたまらないね。
「昨日一番おいしいって言ったお肉あるでしょ?あれの串焼きがあるよ。あっちはソーセージも。どれが食べてみたい?」
他にもホットドックや、タコスみたいなのも売っている。
「どれでもいいから、食べてみたいの選んでみなよ」
おろおろしながらも、ちゃんと見てるね。
「これ?」
「……うん」
「いい匂いだもんね」
炭火に落ちた甘い油の匂いとスパイシーな香りが食欲をそそるね。
「熱いから気を付けてね」
なんで手をかざしているのかな?
「こうすればいいよ」
ふうふうとソーセージに息を吹きかけてあげる。
「魔法は使わないほうがおいしいよ」
……たぶん。いや、熱いのをハフハフして食べるのがおいしいはず。
「っ!」
噛んだ瞬間に溢れ出る肉汁が熱かったんだね。それが醍醐味だよ。
……そこまで熱かった?涙目になってきたから、慌ててジュースを買って、渡した。
「…………か、らぃ」
「ああ!チョリソーか。食べれそう?」
「……がん、ばる」
手からチョリソーを奪い取ったよ。
完全食を食べれるから、食べれないものはないと思うけど、無理はダメだね。頑張る必要なんてない。せっかくのお祭りなんだから。
「じゃあ、これ……辛くない?」
串焼きを指さして、店の人に確認してる。
苦手なものがわかってよかったね。
「おいしい……昨日よりもおいしい」
ちゃんと自分でふうふうとしてから、ハフハフしながら食べて、そんな感想。
そうなんだよね。屋台の食べ物って妙においしいよね。雰囲気で加算されてるよね。
俺の持っているナッツの砂糖掛けを、彼女が横から取ってくるから、届かないように手を上に伸ばしてみた。
だって君、俺が一個食べる間に三個は食べてるよね?
ほっぺを膨らませて、睨んでくるから笑ってしまう。
かわいそうだし手を戻そうとしたとき、彼女の口から聞きなれない言葉が出てきたので、慌てて手を戻して、更に彼女に差し出した。
「ごめんって。全部あげるから、許して」
「…………ゆるす」
「ありがとう」
なにされるところだったんだろうね。怖いね。
いろんなものを食べて、使い道がわからないようなガラクタを見た。
火の玉でお手玉する人は、盛り上がっていた。
「すごいね」
「私もできる」
「……帰ってから見せてね」
こんな人込みで危ないでしょ。
どこかの英雄譚を歌っているのを聞いた。
全く興味なさそうな顔して。君も、俺も。
今日は太陽が出たままだったね。




