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死ねない二人は今日も死なない  作者: 松倉夜海
領都編

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19/34

通訳

予定通り。うん、予定通り、問題なし。

贅沢にお風呂のある宿屋に泊まる。そう決めてたから、その通りなんだけど。


まさか同じ宿屋に泊まることになるとはね。


あの後は、本当に大変だったね。

一番のお偉いさんまで、出てきたもんね。


「本当ですか!?疑うわけではありませんが、一つ作ってみていただけないでしょうか?」

「嫌。今から作ってたら、服屋行けない」

「……はい?」

「夜は服屋開いてない」

「あー……作るのに時間かかるんだね?」


こくんと頷く彼女とは対照的に、買取屋の人たちは、だから?って顔してるね。


「そう。まず、外皮を剥ぐでしょ。茎だけじゃなくて葉もしないとダメ。それを純水の中でするのよ。空気に触れないほうが薬効が高くなるの。そして、それを細かく刻んでから――」

「そうなんだ。それでどのぐらいの時間、かかるの?」

「今なら半日で一本作れる」


ぽかん顔継続中の買取屋さんたちは放っておいて、胸を張ってる彼女の頭を撫でてあげる。


「すごいね。でもそれじゃ、たしかに服屋さん閉まっちゃうね。っていうか、服買いに来てたんだ」

「たくさん買う」

「持てるだけだよ?」

「うん」


最後の一枚って言ってたもんね。あれから何年だっけ?まあよくもったね。


「ということらしいので、明日来てもらうようにしたら?」

「もう帰っていい?」

「いいんじゃない」


なんとなくで一緒にいたけど、俺もそろそろ宿、探さないといけないしね。


「お待ちください!半日で?それよりジュンスイの中で、とは?そのようなこと今まで聞いたことない!薬効が違うなど……」

「本当だもん」

「ですが……」

「ほらっ!飲んで。他のとは絶対違うから」


カバンから瓶を出して、お偉いさんの胸に押し付けてる。

あったんだね、現物が。早く知りたかったな。


「……おいっ今すぐ調べてもらえ」


瓶を受け取って、すぐ横の人間に渡した。受け取ったそいつは慌てて部屋から出ていった。


「なんで持っていくの」

「もちろん、あちらも買取らせていただきますので。薬師に見てもらいますので、もうしばらくお待ちいただけますか」

「えー」

「……俺は、もう帰りますね」


もう俺がいなくて大丈夫でしょ。


「どこいくの?」

「宿屋」

「じゃあ私も服屋行く」

「先に宿屋決めた方がよくない?」


ここなら何軒もあるだろうけど、万が一満室だと困るもんね。


「お待ちください。お願いですからもう少々。もう少々だけ!」

「やだ。宿屋決めて、服屋行くの」


え?そんな縋るような目で見られても。

おじさんにそんなことされても嬉しくないんだけど。


そもそも俺、無関係だよ。


「当方でお部屋はお取りしますので。どうか」

「……俺は、いらないでしょ?」

「おまえ、帰るの?じゃあ、私も帰る」


だからそんな目で見ないでよ。


「…………もう少しここにいて欲しいんだって」

「宿屋は?」

「取ってくれるって」

「服屋は?」

「……今日は無理かな?」


だよねー。ご不満だよね。

俺もだよ。


「服買いに来たのに」

「そうだね」


いいおじさんが拝むんじゃない。


「……クッキー、くれるって」

「ホント!?」


ちらっと見る。


「はい!ご用意させていただきます!!」

「じゃあ、いてもいい」


今度は俺も食べれたよ。









えっと……なんで部屋がひとつなのかな?






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