なでなで
うっすらそうじゃないかなと思ったけど、やっぱりそうだった。
「こんこんできてえらいね」
「なんでいる?」
「君もね」
本当になんでいるんだろうね?
「売りに来た」
そういえばいつも肩にかけているカバンとは違う袋持ってるね。
「そうなんだ。……売るところ見てていい?」
なんとなく、一応ね。一応。
ドサッと受付のテーブルに両手で抱えていた袋を置く。
「売りに来たんだって。査定してあげて」
「……拝見します」
違う受付に行けばよかったかな。さっき別れたばかりだから、気まずいよね。
「申し訳ありません。これは専門の者でないと……呼んでまいりますので、そのままお待ちください」
小分けに包装されたひとつを開けると、受付のお姉さんは慌てて、走っていったよ。
草、だよね?
俺のチョウチョでさえ、ここまで驚いてなかったよね? え、結構珍しいはずなんだけど。
「これは、なに?」
係の人が来るまで、暇だし、聞いてみよう。
「すっごく繊細な植物なの。これはね、本当は栽培できないの。でも、でもね!私の家ではできるようになったの!すごい?なんでかって言うと、土の魔力の最適濃度を導き出すことができたから!もちろんそれだけじゃなくてね、太陽の光を調整——」
「うん、すごいね」
「でしょ!」
結局、これはなんなの? わからないけど、ドヤ顔が可愛いからいいか。
「あ、ごめん」
また撫でちゃった。
仕方ないよ、だって彼女が座ってるから、ちょうど撫でやすいところに頭があるんだもん。
「……いい。それ、してもいい」
「……これ?」
ひっこめた手をもう一度頭に乗せて、撫でる。
「うん」
どうやら害するつもりじゃないこと、わかってくれたみたい。
「おまたせいたしました。早速、拝見します」
手袋をつけて、丁寧に袋から出し、並べていく。緊張した顔で包装を開いている。
すごい!更に根っこも一本一本包んでるよ!?
「見たら、すぐに包んで」
「! 大変失礼いたしました」
「使う直前まで、これで包んでて。それで日の当たらない冷暗所に置いておくこと。十日に一度、全体に水を吹きかけること」
彼女の言葉を真剣に聞いて、メモしてるよ。すらすら質問にも答えてる。
謎の感動があるね。
君も特別通行証なんだね。
まあ、あんな森にいるのに、身分証が発行されてたら逆に驚くよ。
「このぐらいで」
さらさらと紙に金額を書く。
俺は役立たずだったね。価値がわからないから、高いのかどうかわからないよ。
「なんで?前はもっとくれた」
「貴重な品なのですが、貴重すぎるが故に、これを精製できる薬師が限られておりまして……これだけの数になりますと、精製する前に枯れてしまう恐れがございますので」
「なんで?一日一本精製しても、三十日だよ?それぐらいならもつよ?」
うーん、受付の人絶句してるね。
たぶん、君以外は無理なんじゃない?
「ねえ、これ、どれぐらいもつの?」
「ちゃんと保管したら、三ヵ月は枯れない」
また受付の人、驚いてるね。
「その期間で、せいせい?できるだけを買取ってもらおう?」
三ヵ月って疑ってるんじゃないんだよ。
不満そうな顔してるから、とりあえず頭を撫でてあげる。
「大変恐縮ですが、私だけでは判断しかねますので、少々お時間いただけないでしょうか?今から上と相談いたしますので。差しつかえなければ、後日、足を運んでいただけると幸いです」
「一本でも十本でも、いるだけ買取ればいいだけじゃないの?」
あからさまに嫌だという顔してる彼女の代わりに聞いてあげる。
「これだけの品を、本当に逃していいのか迷ってしまいまして……よろしければ滞在されているところに、お伺いさせていただきますので」
「なるほど……面倒だったら宿まで来てくれるって」
「どこ?」
「君が泊まっているところ」
「だから、どこ?」
「えっと……まだ決まってない?」
「うん」
そうだね、俺も決まってなかったよ。
着いて一直線にここに来たんだね、おそろいだね。




