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死ねない二人は今日も死なない  作者: 松倉夜海
領都編

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17/31

なでなで

うっすらそうじゃないかなと思ったけど、やっぱりそうだった。


「こんこんできてえらいね」

「なんでいる?」

「君もね」


本当になんでいるんだろうね?


「売りに来た」


そういえばいつも肩にかけているカバンとは違う袋持ってるね。


「そうなんだ。……売るところ見てていい?」


なんとなく、一応ね。一応。








ドサッと受付のテーブルに両手で抱えていた袋を置く。


「売りに来たんだって。査定してあげて」

「……拝見します」


違う受付に行けばよかったかな。さっき別れたばかりだから、気まずいよね。


「申し訳ありません。これは専門の者でないと……呼んでまいりますので、そのままお待ちください」


小分けに包装されたひとつを開けると、受付のお姉さんは慌てて、走っていったよ。


草、だよね?

俺のチョウチョでさえ、ここまで驚いてなかったよね? え、結構珍しいはずなんだけど。


「これは、なに?」


係の人が来るまで、暇だし、聞いてみよう。


「すっごく繊細な植物なの。これはね、本当は栽培できないの。でも、でもね!私の家ではできるようになったの!すごい?なんでかって言うと、土の魔力の最適濃度を導き出すことができたから!もちろんそれだけじゃなくてね、太陽の光を調整——」

「うん、すごいね」

「でしょ!」


結局、これはなんなの? わからないけど、ドヤ顔が可愛いからいいか。


「あ、ごめん」


また撫でちゃった。

仕方ないよ、だって彼女が座ってるから、ちょうど撫でやすいところに頭があるんだもん。


「……いい。それ、してもいい」

「……これ?」


ひっこめた手をもう一度頭に乗せて、撫でる。


「うん」


どうやら害するつもりじゃないこと、わかってくれたみたい。






「おまたせいたしました。早速、拝見します」


手袋をつけて、丁寧に袋から出し、並べていく。緊張した顔で包装を開いている。

すごい!更に根っこも一本一本包んでるよ!?


「見たら、すぐに包んで」

「! 大変失礼いたしました」

「使う直前まで、これで包んでて。それで日の当たらない冷暗所に置いておくこと。十日に一度、全体に水を吹きかけること」


彼女の言葉を真剣に聞いて、メモしてるよ。すらすら質問にも答えてる。

謎の感動があるね。





君も特別通行証なんだね。

まあ、あんな森にいるのに、身分証が発行されてたら逆に驚くよ。


「このぐらいで」


さらさらと紙に金額を書く。

俺は役立たずだったね。価値がわからないから、高いのかどうかわからないよ。


「なんで?前はもっとくれた」

「貴重な品なのですが、貴重すぎるが故に、これを精製できる薬師が限られておりまして……これだけの数になりますと、精製する前に枯れてしまう恐れがございますので」

「なんで?一日一本精製しても、三十日だよ?それぐらいならもつよ?」



うーん、受付の人絶句してるね。

たぶん、君以外は無理なんじゃない?


「ねえ、これ、どれぐらいもつの?」

「ちゃんと保管したら、三ヵ月は枯れない」


また受付の人、驚いてるね。


「その期間で、せいせい?できるだけを買取ってもらおう?」


三ヵ月って疑ってるんじゃないんだよ。

不満そうな顔してるから、とりあえず頭を撫でてあげる。


「大変恐縮ですが、私だけでは判断しかねますので、少々お時間いただけないでしょうか?今から上と相談いたしますので。差しつかえなければ、後日、足を運んでいただけると幸いです」

「一本でも十本でも、いるだけ買取ればいいだけじゃないの?」


あからさまに嫌だという顔してる彼女の代わりに聞いてあげる。


「これだけの品を、本当に逃していいのか迷ってしまいまして……よろしければ滞在されているところに、お伺いさせていただきますので」

「なるほど……面倒だったら宿まで来てくれるって」

「どこ?」

「君が泊まっているところ」

「だから、どこ?」

「えっと……まだ決まってない?」

「うん」


そうだね、俺も決まってなかったよ。




着いて一直線にここに来たんだね、おそろいだね。









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