男の過去編 1/5
男の過去編全5話あります。
本編と違って暗くて重めの話になります。
苦手な方は読み飛ばしてください。
夏休みなのに悪いなぁ、とは思わない。高校野球強豪校に来たんだからこういうこともあると想定していただろうし。
クラスメイトのみんなが制服なのに、自分一人ユニホームなのはちょっとだけ恥ずかしいけど、これから体育館で行われる壮行会で壇上に上がるから仕方がない。式典用のユニホームは汚れひとつなくてきれいだ。でも地区大会で汚れたやつの方がやっぱり愛着があるな。なんて考えながら、これからの進行を説明している先生をぼんやり見ていると、フライの時に太陽を直接見てしまったように視界が真っ白に染まった。
これから本番の本選に行くのに。
一年ながらにベンチ入りしてるのに。それもレギュラーで。
生活すべてを野球に捧げてきたのに!
目の疾患なんて……っ!
と一瞬の間に悲観していると、ぺたりと尻もちをついていた。目だけでなく体にも不調がとひんやりとする尻に愕然としていると、真っ白だった視界に色がついていった。
目の前にはたしかにクラスメイト達。ただしみんな地べたに座っている。あったはずの机と椅子がない。そもそも教室にいたはずなのに、尻をついている床は石っぽい。冷たいし。そう、冷たい。なぜならすっぽんぽんだから。
自分だけじゃない。クラスメイト全員すっぽんぽんのぽん。思わず顔ごと横を向いてしまったのは仕方がない。
やっぱり隣の席の女子もすっぽんぽんだった。見えている胸を隠すこともしないで呆然としている。視線が合う前に顔を前に戻しておこう。
「*********!」
見たこともないおっさんが何かを叫んだ。
とりあえず一旦逃げてから考えようとしたのに体が動かなかった。指先ひとつ自由にならない。
おっさんが前から一人ずつ頭に手を置いて何かを言っている。絶対よくないことだとわかるのに、どうすることもできない。
というかここどこ?なにが起こってる?練習のし過ぎで狂った?
状況が何もわからないままに頭に手を置かれた。
最後の記憶は俺の甲子園は?だった。




