第27話 もう隠さない
「サカイ!?」
私に突然指を挿れられて驚くホミ。
ホミはてっきり自分がする側だと思っていただろうから、こうして私が先にしてくるなんて思いもしなかっただろう。
でも、実際に先にしたのは私の方だった。
ホミの秘部に挿れた指をくちゅくちゅと動かし、そこを刺激する。
「あっ…んっ…!」
その刺激に、ホミは艶めかしい声を漏らす。
何度かホミが1人でしているところを見たことがあり、その時に聞こえた声と同じ声。
けれどその時と違って、今は私が直接その声を出させている。
私の指が上下運動し、時に擦るように、時に撫でるように、時にひっかくように。
ホミの自分以外触ったことのないデリケートな部分を、お構いになしに触り尽くす。
「あっあっ…!ダメ……サカイ…!」
「ごめん…ごめん」
口では嫌だと言いつつ、逃げたりはしないホミ。
そんなホミに対し、私は口では謝りながら決して手を止めたりはしない。
くちゅくちゅという水っぽい音を鳴らし、自分の手指が濡れていくのを感じながらひたすら手を動かす。
「んっ…んんっ!」
ビクビクとホミの体が小刻みに痙攣し、顔がどんどん赤くなる。
表情は苦しいような、嬉しいような、何とも言えない顔をしていてどんなことを思っているのかは測りかねる。
私が指を動かすたびに口からは艶やかな声が漏れ、体は大きく動かずとも頭が抵抗するかのように激しく動いている。
それを見ていると、私の中で何かが沸き上がってくるのを感じた。
それは…性欲。
淫らに揺れるホミを見て、私は性的興奮を覚えている。
そのせいもあるんだろう。
悪いことをしている、なんて考えはあっという間に私の頭の中から放り出され、ひたすらホミの秘部を撫でまわすことだけに意識が向いた。
――その時だった。
「ん……んんっ!…んあああぁぁぁぁぁぁ――――!!!?」
ホミの体が大きく痙攣し、一際大きい声で喘いだ。
秘部からは液体が滴り落ち、私の手を伝って、やがて畳を濡らす。
「はぁ……はぁ……」
ホミの荒い息が私の顔にかかる。
暑くて、湿っぽくて、言葉にできない思いを帯びた吐息。
視線を上げると、こちらを見下ろすホミと目が合った。
その目はうるんでいて、瞳孔が見開かれて平常ではない。
けど、決してホミはそれを嫌がってなどいない。
そして、倒れ込むように私に体を預けてきた。
「……バカ」
ようやく言葉を口にしたホミの第一声は、私への非難。
「ごめん」
肘をついてほんの少しだけ体を起こしている体勢の私。
ホミの体重を支えながら、ただ一言謝った。
激しく運動した後のように熱を持ち、汗をにじませるホミの素肌を感じる。
心拍は早く、荒い息で大きく動く肺の感覚が伝わってくる。
それらが、ホミとの関係において一線越えてしまったことを私に実感させた。
……なんて、悠長なことを考えていた時だった。
「んんっ!?」
私の股の間、秘部に何かが触れた。
それは容赦なく中へと入ってくる。
「ホミ…!」
「動かないで」
私のそこを触るのは、他でもないホミだ。
ホミの私より少し太い指が、私のそれを刺激する。
普段入っているモノより太いせいで刺激が強く、ビリビリと弱い電流のように快感が脳を突く。
その快感が全身の筋肉を弛緩させ、逆に張り詰めさせ、繰り返してビクビクと小さく痙攣する。
「んっ――!!?」
体を小さく震えさせる程度だった快感が、雷に打たれたような強いものに変わった。
私の弱いところを、ホミの指が強く刺激したんだ。
飛び出した嬌声にホミが驚き、けれどすぐに落ち着いて再びそこを刺激する。
「んあっ!?…あっ……んん~…!」
ホミの指先はとても器用だ。
普段から家事をして、畑仕事をして、庭の手入れをして。
自然と身についた器用な指捌き。
本来なら生活を豊かにするために使われる技術が、今は私の快を刺激して脳を狂わせるために使われている。
チカチカと視界が揺れ、ハッキリと前を見ることができなくなった時、ホミが耳元でささやく。
「ここ、弱いんだね?」
イタズラ好きの純粋な子供のようで、それとはまた別の大人の悪意を帯びた声色。
矛盾する二つが共存するのは、初体験ゆえの不器用さか、17歳という子供と大人の境界に生きているためか。
けれど確かなことは、今この瞬間をホミは楽しんでいる。
揺れる視界で捉えたホミは……口角を上げ、笑っていた。
「ん……ホミ…んぁ……」
強い快楽で力が抜けていく。
肘をついて起こしていた体を支えられなくなり、私の背中が畳に着いた。
編み込まれたイグサの凹凸が背中をくすぐる。
普段ならくすぐったくて仕方ないそれが、今だけは何でもない刺激に感じられる。
くちゅくちゅ……くちゅくちゅ……
思考が鈍る脳がかろうじて処理できた音。
私の、いやらしい音だ。
ホミの指が秘部を掻きまわし、それに刺激されて分泌された液体。
これだけ音が聞こえるなら、今頃ホミの指はべったり濡れていることだろう。
いつも料理を作ってくれるホミの手指が、器用に洗濯物を畳むホミの手指が、私が不安に包まれた時、何となく触れ合いたくなった時、指を絡ませて握るホミの手指が、私の秘部から出た液体でべったり濡れている。
そんなの……もう、戻れないじゃないか。
「ホミ……わたし……んんぅっ!!?」
強い快楽が高波のように押し寄せてくる。
堰を切った川の水のように、止まることを知らずにあふれ出す快感。
思考は全て吹き飛んだ。
痙攣は小さくない、とても大きく体が震えて全身の鳥肌が立つ。
「んん!…ぁ……――――ぁぁぁぁああああ!!!!!」
絶頂。
この日初めて、自分以外の手によって果てた。
終わった後も消えない快楽。
グワングワンと頭が揺れる。
定まらない焦点。
そんな中でも…ハッキリと感じられるホミのぬくもり。
それを手繰り寄せ、決して離すまいとキツく抱きしめた。
ホミも私を抱き返す。
2人分の熱が混じり合って、真夏の昼間よりも熱くなる。
汗が噴き出し、少し体が動くたびに潤いを持った肌がくっつきながら擦れる。
「…サカイ」
ホミが私の名前を呼んだ。
「…なに?」
私の返事。
「…布団、行こ」
普段なら、『もう寝よう』という意味の言葉。
けれど、今日に限ってはそんな意味じゃない。
「…うん」
言葉の意味を正しく理解して、私は首を縦に振る。
それを聞いたホミは私の上から離れる。
そして、布団が敷かれた寝室へと向かう。
――パサ……
軽い何かが落ちた音がする。
畳に落ちたものは……ホミのブラ。
それが目に入った私も、静かにブラを外す。
その横でホミがパンツを脱ぐ。
少し遅れて私も同じようにした。
一糸まとわぬ17歳の少女が2人。
ただ一つの布団の上に身を落とす。
―――夜が始まった。
―――雀の鳴き声で目を覚ます。
チュンチュン…チュンチュン…
眠い目をこすって壁にかけられた時計を見れば、まだ5時半だ。
こんな朝から話し合いとは…鳥たちは元気だと思う。
「うぅん……」
私が体を起こしたことで、ホミも夢の世界から出てきた。
そちらに目を向けると、腕や首から上は日焼けし、普段服で隠れている部分は白いままの素肌を不用心に晒すホミ。
その肌には…あちこちに歯型と赤い痕がついている。
私も視線を落として自分の体を確認すれば、同じようなものだ。
昨夜の営みの痕が、くっきりと残っている。
その痕から、自分たちが何をしていたか記憶をたどることに耽っていると、心地よい暖かさに包まれた。
「おはよう。サカイ」
「おはよう。ホミ」
ホミが抱き着いて来たんだ。
私もホミを抱き返し、朝の少し冷えた体温でお互いの体を温める。
それだけに飽き足らず、私はホミ体を押して布団の上に倒れ込む。
そして、毛布をかぶって外気から肌を隠した。
「「んっ…ふぅ……ちゅ…んぅ…」」
唇を重ね、相手を求める。
朝から元気なもの。
これでは外の小鳥の事を悪く言えない。
思考の端でそんなことを考えながら、目が覚めるまでキスをした。
頭が冴えてくると、自然と体が離れてそれぞれの服に着替える。
私はホミのあとをついて回り、ホミは布団を縁側で天日干し、朝ご飯の準備を始める。
私には目もくれず朝のルーティンをこなすホミを見ていると、なんだか寂しくなった。
だから、台所で朝ご飯を作るホミに後ろから抱き着く。
「……大好き」
忙しいホミの耳元でそう呟いた。
「私も」
ただそれだけの短い返事。
けれど……そこには十分すぎるくらいの本気の想いが籠っている。
ホミはくるりと顔だけ後ろへ振り返り……小さく私の唇に自分の唇を押し付けた。
今までのスキンシップとは違う、お互いの気持ちを確かめるそれ。
そうして私たちは……もう隠さなくなった。




