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決戦

イルーサリから脱出した真司たちは、暗がりの中、一路白狼城へ急いだ。  

晴人はアヘンの禁断症状で激しく汗をかき、もがき苦しみ出した。

「あーぐゎー、痛いー薬をくれー、頼むよーうーうー」  

荷台で真司が晴人を押さえ込み、圭太と翔が苦悶の表情で目に涙を浮かべ、手足をロープで縛る。縛られてもなお奇声を上げ、荷台でバタバタと暴れる晴人を見て、圭太は涙ながらに怒りをあらわにする。

「ちきしょーあいつ等絶対に許さねえ」

「とにかくさなえさんに、早くみせないと…」  

険しい表情で前を向く真司。


クリスも暗がりの中、必死に手綱を操り馬車を全速力で走らせる。

白狼城へと続く森の中は、さらに暗くなる。クリスはさらに集中力を高めて、森の中で手綱を握る。

辺りが完全に闇夜に包まれたころ、ようやく白狼城へ馬車が着いた。


馬車が着くなり、翔が城の中へさなえを呼びに走る。

城に入るとすでに、さなえが薬を用意してスタンバイしていた。

翔の慌てようを見て、さなえは晴人の様子を察する。

「帰ってきたね。その慌てようじゃもう禁断症状が出てるのね。早く連れてらっしゃい」

「はい」  

翔が振り向くと、真司が暴れる晴人を抱え城へと入って来た。

さなえの顔を見た真司は、少しだけ安心した表情になる。

「さなえさん、お願いします」  

そしてさなえが用意した薬を晴人に投与すると、晴人の汗が止まり、僅かながら落ち着きを取り戻した。

「さて、これで一旦安心よ。阿吽ちゃん地下に運んでちょうだい。

そしてあなた達は、上に行きなさい。ボスが待ってるわ」  

さなえの指示を受け、阿吽は頷き、晴人を抱え地下へと向かう。真司たちは息をつく間もなく、銀の元へ向かった。


二階の広間では、銀が玉座に座り、その前に任務を終え帰還し報告を終えた直後のKURO、HAKU、AOIが控えていた。

銀は無事に帰還して来た真司たちに声を掛ける。

「任務の遂行ご苦労であった」


そのころイルーサリでは、ケシ畑の鎮火作業、アヘン工場の現状確認、カジノ騒動の鎮圧と事態の把握に奔走していた滝川と大内が、中央本部に戻って来た。  

本部の会議室に入るなり、椅子を蹴り上げて怒りをあらわにする滝川。

「ちきしょう!どこのどいつだ!」

「まあ、こうちゃん落ち着けよ」  

そう言って大内が椅子に座るように促す。

滝川はその椅子に座ると、背もたれに体を預けて深く息を吐き、タバコに火を付ける。

滝川が少し落ち着きを取り戻したところで、大内もタバコに火を付けた。

「どうやら、カジノで騒動を起こした奴らは、白狼へと逃げて行ったそうだぜ」  

カジノで報告を受けた大内が滝川に報告する。

「やはり白狼か……しげちゃん、白狼に攻め入るのに、なにか証拠は、ないもんかのお」

「七国協定を気にしてるのか。しかし、証拠なんて何とでもなるんじゃねえか」  

椅子の背に深くもたれ掛け、タバコの灰を落としながら大内が答えると、滝川はテーブルに両肘を突き、鋭い目つきで覚悟を決めた。

「確かに良い機会に違いない。明日兵を集めて白狼を攻めるぞ」

「ついに時が来たな。ところで明日の進軍だが、こうちゃんに任せて俺は国に残って、引き続き今日の騒動の始末にあたろうと思うがどうだ」

滝川がニヤついた顔で答える。

「ああ、俺一人で十分だぜ。どうせ白狼はアヘン中毒でまともに戦える戦力なんてありゃしねんだ」

「では、こうちゃん頼んだ」


急遽下された決定を受け、翌朝のイルーサリでは、慌ただしく進軍の準備が行われた。

昼頃、イルーサリの広場に軍勢約100名が集められ、滝川が軍勢の指揮を取る。

「知っての通り昨晩、我が国はとある愚か者から奇襲を受けた。

その愚か者は、間違いなく白狼だ!

我々に牙を剥いた事がどれだけ愚かな行動だったのかを、今から分からせに行く。

今の白狼は、すでに我々の放ったアヘンですでに壊滅状態だ。

お前ら遠慮することなく白狼を捻り潰し、銀の野郎の首を取るんだ!行くぞー!」

滝川の言葉に沸き立つ兵たちは、白狼へと進軍を開始した。


一方、白狼城では、イルーサリの進軍の一報を受け応戦の準備に取り掛かっていた。

白狼城の屋上には、真司と銀の姿があった。神妙な面持ちの真司が銀に話しかける。

「とうとう戦が始まってしまうのか……もう避けようがないですよね」

「フッ、この期に及んでまだそんな事を言うなんて、馬鹿な野郎だな」

少しの沈黙の後、銀が口を開く。

「ただな、お前のその馬鹿さ加減、嫌いじゃねえ。

この俺が、お前にも納得できる形に収めてみせてやる。

だから、この戦いを黙って見てな」

多くを語らない銀の言葉を信じるほかない真司だった。


やがて夕日が沈み、辺りが薄暗くなりかけた頃、イルーサリの軍勢が白狼城の前に姿を現した。


屋上から軍勢を見下ろす真司と銀。

滝川は軍勢の先頭で馬車の荷台に立ち、銀を睨みつける。

「おお、銀!昨日は盛大な挨拶をかましてくれたじゃねえか」

銀は動じることなく、冷たい視線で滝川を見ている。

「挨拶、何の事だか知らんな」

「しらばっくれんじゃねえ。

しかし、ずいぶんと静かな城じゃねえか。

お前の所の兵隊さんは、どうしたんだぁ」

「ずいぶんと白々しいこったな、滝川」

「白々しいだと、何のこったかなぁ、へへへ。

どうでも良いが、素直に頭下げて降参したらどうだ、銀」

その言葉にも、銀は口角を上げ余裕の表情を浮かべる。

すると、白狼城の門から太鼓を手にした阿吽の二人が出てくる。

その姿を見て高笑いする滝川。

「何だ!何だ!阿吽の二人だけで向かって来ようてのか。ハーッハハ、悪あがきも良いところだなぁ」

阿吽の二人は黙って軍勢を見据えながら、手に持った太鼓を高らかに叩き出した。

勇ましい太鼓の音が、薄暗い谷間の白狼城に響き渡った。

【機密情報:奇渡ヶ島・裏ファイル】


真司:

「……晴人さんのあんな姿、二度と見たくありません。

薬を求めてもがき苦しむ彼をロープで縛りつけるしかなかった圭太さんの気持ちを思うと、胸が締め付けられます。滝川という男がしていることは、決して許されることではありません。


ですが、ついにいくさが始まってしまいました。

城を囲む100人もの軍勢を前にして、僕は自分の無力さと、避けられなかった結末に震えています。


そんな僕に、銀さんは『黙って見ていろ』と仰いました。

あの余裕に満ちた表情、そして阿吽の二人が叩き出す太鼓の音……。

銀さんには、一体どんな秘策があるのでしょうか。


読者の皆さん。

奇渡ヶ島の運命を決める戦いが、今まさに始まろうとしています。

僕たちがこの島で何を掴み取るのか、どうか最後まで見届けてください。


この戦いの行方が気になる方は、ぜひ**【ブックマーク】や【評価】**で応援をお願いします。皆さんの声が、僕たちの勇気になります。


銀さん……信じていますよ。」

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