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混乱のカジノ

夜の賑やかなカジノの中、クラップスの卓に周囲に女性を引き連れ派手に遊ぶクリスの姿が

「よーし、俺の女神ちゃんたち見てろよ~今日は、たくさん勝っちゃうからねぇ~」

騒がしい客に負けまいとスティックマンのボルテージも上がる

「さあ新しいカムアウトだ。女神を引き連れたシューターに賭けろ賭けろ」

クリスの前に二つのダイスが置かれる

「よ~し、いきなり女神の幸運ラッキー7出しちゃうぜー」

そう言いながらダイスを振るクリス。

見事に二つのダイスは、1と6。

「イェース!どうだ見たか」

「すごーい、クリスちゃんカッコいい」

見事な幸運に周りの女性たちも盛り上がる。

「シックス・エース!ナチュラル・セブン!フロントライン・ウイナーだ!いきなり女神がほほ笑んだぜ」


盛り上がる卓をよそに少し離れたルーレットの席には、圭太が浮かない表情で座っている

(なんだよあいつ、こんな時に本気で楽しんでるんじゃねえだろうな)

そう思いながら盛り上がるクリスの卓を怪訝な表情で見ているとディーラーが声を掛ける。

「おい、お前掛けないのか、負け過ぎで落ち込んでるんじゃねえのか」

「あっ」

圭太は、我に返り慌てチップを適当な数字に一点賭けした。

そして、ルーレットが回されると見事に的中。

「やるじゃねえかストレートアップ36倍だぜ」

ディーラーの驚きにも変わらず浮かない顔の圭太。


そして、ポーカーの卓には、誠が全体を見渡せる席に着く

淡々と進むゲームの中でカジノ全体に目を配る誠。

カードを切るディーラーの手元、投げられたダイスの弾かれる音、スティックマンの動き、ゲームに参加しながらも一挙手一投足に神経を尖らせる。


カジノの外には、唯が馬車で待機して逃走時に備えている。

祈る気持ちの唯は、手綱から手を離さずにカジノの入り口を見つめる。


真司と翔は、天井裏で息を潜めて時を待ちつつ地下へと続く入り口の様子を伺っている。


注意深くカジノの様子を伺っていた誠が動く!

手元にダイヤのエースとクラブの6が配られた時だった、誠の目が鋭く変わる。

おもむろに立ち上がりディーラーの横へ付くと、ディーラーの肩を抱える。

「なあ、その指輪カッコいいじゃん、幸運を呼んじゃうんだろ」

そう言いつつダイヤのエースを指輪に近づける。

するとカードが指輪に一瞬張り付いた。

動揺するディーラーをよそに声を上げる誠。

「おーい、いかさまだらけのカジノじゃねえか」

その様子に静まり返るカジノ。


誠は、静まるカジノの中をクリスの居るクラップスの卓へゆっくりと歩を進める。

そして、慌ててダイスを手にするスティックマンからダイスを奪う。

「さぁーて、皆さんご注目だ!このダイス見事に7を出してやるぜ」

そう言って二つの酒の入っているコップを目の前に並べると静かにダイスを落とす。ぽとりと落とされたダイスは、波紋を残しゆっくりと回転しながら沈んでいく。

コップの底に落ちたとき1と6の数字が上を向いた。

「はは、アーティフィシャル・セブンってとこだな」

皮肉を言う誠にスティックマンも動揺を隠せないでいると、クリスが騒ぐ。

「おい!おい!なんだこのカジノは、不正だらけなのか!」

その言葉に周囲の客たちも騒めきだす。


さらに、誠は、ルーレットの卓へ向かいディーラーを睨む。

「ここまで捲れりゃお前のも見通してるんだぜ。正直にテーブルの下の物を出しな」

ディーラーの目が泳ぐと、クリスも叫ぶ。

「まったく、ルーレットまで仕掛けが有るのかよ。早く正直に吐きやがれ」

ディーラーは、その言葉にびくつきながら震える手でテーブルの下に隠し持っていた磁石を差し出した。

騒めく客たちを煽るように圭太も声を張る。

「なんだこれ!金返せってんだ」

圭太の言葉を聞いて他の客たちも声を荒げて返金を求めだす。


その騒動は、もちろん天井裏にも響く。

真司と翔は、お互い顔を見合わせて頷くと警備兵の後ろに飛び降りる。

警備兵が気付くと同時に相手の首筋に一撃を加えて気絶させる。

翔が針金を出すが真司が翔を止めると、鍵の掛かっているドアを一発で蹴破った。

呆気に取られる翔と共に一気に階段を降りて行く。


地下に着くとその様子に目を奪われる真司。

「なんてことを……」

何人もの人が生気を奪われ憔悴しきった様子で、壁にもたれてうずくまっている。

その中に晴人の姿を見つける。

「晴人さん!」 二人は、思わず叫んだ。

しかし、晴人の耳には届かず、何やらブツブツと上の空で呟いている。

慌てて牢屋の鍵に持っている針金を差し込む翔。


いつもは手際の良い翔だが、この時ばかりは焦りから手が震え、中々鍵が開かない。 「翔さん頑張ってください。いったん落ち着いて……」

真司の言葉に、深呼吸をして気持ちを整える翔。


ガチャ! 

牢屋の鍵がなんとか開いた。

急いで真司が晴人を背負う。

「真司君、急ぎましょう」

翔が声を掛ける。


しかし、真司が他の中毒者を見つめて動きを止めている。

その様子を見て翔が真司の腕を引っ張りながら叫ぶ。

「真司君、気持ちは分かるけど全員助けるなんて無理だ!」

その言葉に唇を噛みしめる真司。

首を大きく振り悔しい気持ちを振り払うと、翔と共に走り出した。


階段を駆け上ると、異変に気付いた警備兵が二人を見つけ追いかけて来た。

追いかける警備兵から逃げながら、裏口からカジノへと走り込む。

カジノでは、客たちと警備兵の大乱闘が繰り広げられていた。

クリスは、警備兵の胸倉を掴んで今にも殴ろうとして右手を上げ、誠は、警備兵を抑え込んで罵声を浴びせている。


乱闘の中を真司と翔が駆け抜ける。

追って来た警備兵がカジノの客に殴られて乱闘に巻き込まれる。


そして物陰に隠れて様子を伺っていた圭太が真司と翔に気付き、クリスと誠に向かって叫ぶ。

「お前ら、ずらかるぞ!」

すっかり乱闘に夢中になっていたクリスと誠が圭太の声に我に返り、振り向くと真司たちの姿に気付き、一目散に真司たちの後を追った。


混乱するカジノを抜け外に出ると、唯が中の騒動にみんなが出てくると確信して、馬車を出入り口に着けていた。

駆け込む真司達。


そしてクリスが唯から手綱を預かると、馬車を急発進させる。

砂煙を上げて走り出す馬車を、カジノから出て来た警備兵が馬に乗り追いかける。

しかし、クリスは、卓越した手綱捌きで知り尽くした街の道を駆け抜け、警備兵たちを寄せ付けずに距離を離していく。


やがてイルーサリの入管が見えて来た。

誠がクリスに声を掛ける

「どうするクリス」

「決まってんじゃねえか。皆、つかまってろよ。」

手綱に力を込めて馬車のスピードを上げる。

迫りくる馬車を止めようと入管の兵が立ちはだかるが躊躇なく突っ込んでくる馬車に避けるしか出来ない。

馬車が唸りを上げて入管を駆け抜ける。


それを見て警備兵たちは、悔しがりながら追うことを断念。


呆然と遠ざかる馬車を見る警備兵を後に、馬車は白狼城へとひた走る。


【機密情報:奇渡ヶ島・裏ファイル】


真司:

「……皆さん、本当にありがとうございました。

クリスさんと誠さんがカジノで騒動を起こしてくださったおかげで、僕と翔くんは晴人さんを救い出すことができました。


ですが、地下のあの光景……。

廃人のようになってしまった人々を目の当たりにして、僕は自分の無力さを痛感しました。翔くんに引き止められなければ、僕たちまで逃げ遅れていたはずです。


背中に感じる晴人さんの体温が、今はとても怖いです。

彼は、元の晴人さんに戻れるのでしょうか……。


読者の皆さん。

僕たちは今、白狼城へと必死に馬車を走らせています。

どうか、晴人さんの意識が戻るように、そして僕たちが無事に辿り着けるように、見守ってください。


もし僕たちの戦いを応援してくださるなら、**【評価】や【ブックマーク】**をお願いします。その一押しが、今の僕にとって何よりの励みになります。

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