帰宅
翌日。
漆紀達と学徒会メンバーは新幹線に乗り、東京へと戻った。
東京に戻って学徒会の寮の部屋に漆紀が入ると、不意に携帯電話の通知が鳴る。
妹・真紀からのメールであった。
「真紀?」
メールの内容は「明日家に来て欲しい」とのことだった。
「もう退院してるもんな……色々話したいことはあるよな」
漆紀は携帯電話を閉じると、荷物を置いて備え付けの机に置いてあるノートパソコンを開き、ネットを見始める。
「まあ、今日ぐらいは暇つぶしでネットサーフィンも良いだろう」
それから漆紀はネットの海を漂うことにした。
ネットサーフィンに興じる事、二時間。
漆紀がくだらないスレを見て竜王からダメなネット民と化していると、不意に部屋の扉がノックされる。
「彩那か?」
漆紀は部屋の扉を開けて外に居る誰かを迎える。
そこには、夜巳が立っていた。
「あれ、夜巳さん?」
「学徒会がどんな所か様子を見に来てるのよ。しかしなんというか殺風景な部屋ね」
夜巳は漆紀の部屋に入り、そう評する。
「まあ、ここは仮の住まいだしな」
「そう……ねえ、少し外を回らない?」
「会長とは話さなくていいのか?」
「新幹線で沢山話したわよ」
「そうか。まあいいや、日傘、持って来てるよな?」
「もちろんよ、日差しは吸血鬼の天敵だもの」
「よし、財布と携帯電話だけ持ってく、ちょっと待って」
漆紀は財布と携帯電話をポケットに入れると、夜巳と共に外へ出る。学徒会内の街へと歩いて行く。
「学徒会って面白い作りよね。学校があって、寮があって、街があって、その街には色んなお店があって、さらに街の中にも住居があって……まるで一つの国だわ」
「そんな風に思ったことはなかったな」
夜巳は漆紀とは違う視点で学徒会を見ている事が明らかにわかる。それは漆紀自身も実感した。
「あっ、そうだ。明日真紀と会うんだけど来る?」
「真紀?」
「俺の妹」
「あっ……それなら、行こうかしら。家族だもの、顔を合わせておかないと」
「ひょっとすると真紀からは滅茶苦茶にキレられるかもよ?」
「それでもよ」
「それでもか。じゃ、仕方ないな」
「ええ、仕方ないわ」
夜巳がニヤニヤと笑みながらそう答えると、漆紀はため息を吐くばかりだった。




