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ガンギマリズムV バケ~ション!!  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第四章「ステップ4 キャンプには思わぬ落とし穴がある」
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星輝く夜空の下で

この日も昨日同様に過ごした。料理をして、水上アクティビティも楽しんで、夕方になれば輝雷刀達のコテージに移動し、昨日取ったザリガニを調理しスープを作ったり。

暇つぶし自体は出来た。昼寝も存分に出来た。

時間は夜を迎え、漆紀はおもむろにコテージの外へと繰り出す。

既に辺りは真っ暗であり浜辺は薄暗くなり、月明かりが仄かに照らすばかりだ。

おまけにこのキャンプ場の周辺は田んぼばかりで街灯も少ない。

そして漆紀は浜辺に出て空を見上げる。空は雲一つなく快晴、ゆえに星々が輝いて見えていた。満天の星空とはこのことを言うのかと漆紀は少し感慨深く感じる。

そしてふと浜辺に視線を戻すと、人影があった。

漆紀はその人影に歩み寄ると、その姿がくっきりと明瞭になっていく。

浜辺に居たのは舞香であった。舞香は体操座りしながら無言で夜空を見上げていた。

「月守先輩?」

「ん? あなたが星を見に来るとは意外だわ」

「別にそんなつもりで外歩きに出たわけじゃないけどな……それにしても、こんなに星が綺麗に見えるとはな。街にいたらこんなにも綺麗には見えねえですよ」

町には多くの街灯を始め様々な明かりがあり、それによる星々の輝きが相殺されて見えなくなるのだ。

ゆえに、田んぼだらけのこの田舎のキャンプ場では明かりがロクにないので星々の輝きが失われる事なく綺麗に見えるということだ。

だが、対岸の琵琶湖東湖岸の方は街の明かりが輝いているのが見える。

漆紀は舞香の隣に胡坐をかいて座ると、再び夜空を見上げる。

「なあ月守先輩。こんなロケーションだってのになんで会長を誘わなかったんで?」

「うーん、誘ったけどなぜか断られたわね。まあ、そういうわけで私一人でちょっと浸ってたんだけど」

「随分と綺麗なもんだな、田舎で見る夜空ってのは。これ、対岸の東側はあんなに栄えてるってのに、琵琶湖の西側はあんまり栄えてないんだなー……」

「寄港地は東側、レジャーやアクティビティは西側って感じなのかしら。それにしても綺麗なものね。良い天気だし」

「ああ……」

漆紀と舞香はしばし無言で夜空を見上げる。静寂と輝き、ただただそれが続く。

星空と、波打ち際で波打つ自然音、それがとても心地が良い。

そして漆紀は何か話題を振ろうと思うが、舞香との話題がいまいち思い浮かばない。

そうして悩んでいると、先に舞香の方から漆紀へと質問を投げかける。

「ねえ、あなたのことを竜王様って呼んでるあのコは一体なんなの? 司教家だとは聞いたけど、なんで様付け?」

「さあ? ただ、あいつはもう宗教勧誘とか説教とかそういう宗教活動をやってないんだけどな。教義も破って肉も食う様になったし」

「そう……あなたが竜王って呼ばれる存在なのは聞いたけど、あんなに慕われてるのにあのコと付き合うなりそういうことは考えていないの?」

「全く考えてないわけじゃないけど、今はそんなことしてる場合じゃねえと思ってます。日本の竜理教を潰すまでは、安心できねえよ」

「それもそうね……あー、日中は疲れたわ!」

そう言って舞香は砂浜に寝そべる。

「月守先輩、最終的に竜理市に攻め入るとは思うんですけど……」

「前に話したじゃない。私は行かないわ」

「ええ。だからあんたは多分来ない方が良いですよ。正直言ってあんたの能力は微妙です。魔法の数の暴力に晒されたら、死にそうな気がする。やるとしても後詰の方がいい」

「……そんなに私は前線に向かないのかしら」

「まあ、そんなとこですかね。まあ会長からはまだ作戦聞いてないんだけどな」

「私もまだ聞いてないわ。会長のことだから何かしら既にプランはあるんだろうけど」

輝雷刀の考える竜理教と戦う作戦。それをまだ漆紀と彩那は知らなかった。

「ま、なんとかなるだろ」

「そうね、会長は会長ゆえに倫魁不羈りんかいふきの男……きっとなんとかするわ」

「俺もそう信じたいな。りんかいふき? てのは知らないが。さてさて、疲れた疲れた。このままこの浜辺で寝れちゃいそうだが、このまま寝たら蚊に刺されたい放題だな」

「そうね。話す事は大してないし戻ろうかしら」

そう言って舞香が立ち上がると、漆紀は思い出したかのように頭の中で思いつく。

「あ、そうだ舞香先輩。ザリガニのスープの感想聞いてねぇ。どうだった?」

漆紀は自身が作ったザリガニのスープの味を問うてみると、舞香は笑顔を浮かべて満足そうに答える。

「美味しかったわ。昨日のウシガエルも最初は抵抗があったけど、案外美味しかったわ。ありがとうね」

そう素直に舞香が言うと、彼女はコテージに戻っていく。

それから漆紀はしばしぼうっと星空を見上げる。それに飽きると、漆紀はふいに立ち上がる。

「俺も戻るか」

一人寂しくそう呟くと、漆紀は黙々とコテージに戻った。

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