ブライアンの竜夢
季節は秋。
俺はブライアンと共にバイクによるツーリングに出ていた。
高速道路ですっ飛ばして行ってもつまらないだろうということで、一般道を走って俺達は進む。この旅の行き先は名古屋までである。
俺達は道中、横浜、横須賀、鎌倉、平塚と寄り道をしつつ一日目は小田原に泊まる。
小田原の海鮮料理店にて、刺身を食べつつ俺とブライアンは雑談していた。
「しかし俺達の付き合いも長いもんだな。もう六年か?」
「Yes,bro」
「お前が親友ってのもなかなか実感ないんだけどな」
俺は日本酒をお猪口に注ぎ、半分ぐらいまで飲んでから再び刺身を口にする。
アジの刺身、なかなかにこれが旨い。
「ところでBro、お前……結局誰と結婚するんだ?」
「おいおい唐突な話だな結婚って……誰って……」
「いや、学徒会には色々女が居るだろ? 誰と仲が良いとかあるだロ!」
「あー……仲の良さで言ったらなんだかんだ彩那になるんだけど」
「はぁー……カルト女か?」
「まあそう言われればそうなっちゃうんだが……やっぱりカルトなのがネックだよなぁ」
俺にとっては、彩那がどうやっても佐渡流竜理教司教家であり竜脈の巫女であることが頭の中で壁になっていた。
「なんにせよ、結婚しても苦にならねえヤツと結婚しなYO」
「そりゃそうだ」
俺ははブライアンの主張に同意を示すと、お猪口に残った日本酒をまたグイっと口に運んだ。
場面が切り替わり、俺はブライアンと共に静岡県の浜名湖周辺をバイクで走っていた。
そして鰻の店を見つけると、そこの駐車場にバイクを停め、入店する。
入店してうな重を頼み、待つこと四十分ほど。
うな重が提供され、俺達はノンアルコールビール片手に食べ始める。
「なあ、辰上。オレが思うに、大体の学徒会メンバーはお前に好意的になってると思うぜ」
「それはそうだが、昨日話した結婚云々とは違うと思うぜ。俺は最悪、独身でもいいと思ってるし」
「独身か……アメリカじゃ一人者は嫌われるというか避けられるもんだぜ」
「ここは日本だ。独身のヤツだって大勢いる。まあ結婚するならやっぱり彩那か……でもあいつカルトやめる気ないしな。やっぱり独身か」
「もし独身ならよ、俺ら一緒に独身で楽しまないか」
「え?」
「野郎同士の独身生活ってことでYO」
「はは、それもいいかもな」
俺は割と本気で独身でいるのも選択肢だよな、と思い始めていた。趣味に時間を費やす独身生活。それはそれで幸福度がとても高いだろうと漆紀は一考した。
ブライアンと共に独身生活。
それを想像すると、案外悪くないなと漆紀は希望を感じた。




