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ガンギマリズムV バケ~ション!!  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第三章「ステップ3 街を廻ろう!」
23/46

またまたまたIF

秋の晴れた日の朝、俺は自動車で目的地に向かっている。

助手席に座っているのはレグナだ。窓を開けて銀髪をバサバサと靡かせながら、俺の後ろに乗っている。

日頃は便利屋稼業に追われる俺だが、今回は纏まった休みが取れたのでレグナと一緒に軽い旅行をすることにした。

東京練馬区でレグナを自動車に乗せ、俺達はひとまず横須賀に向かっていた。

俺達の最終目標地は箱根温泉だ。

今回は神奈川の海岸線を行く旅になる。

俺が運転に集中していると、レグナが不意に質問してくる。

「なあ……ワタシ達、もう何年ぐらいの付き合い?」

「急にどうした。今、俺が二十三歳で、あんたが二十八歳だろ。えーっと……付き合い始めて三年か?」

「はぁ……まあ、いいんだけどさ……ああ、ガソリンある?」

「え? ああ、減って来たな……次のサービスエリアでガソリン入れるか」

俺達はサービスエリアに寄ってガソリンを入れると、横須賀へと向かう。

そして横須賀に着くとコインパーキングに車を停めて、俺達は繁華街に移動する。

「ワタシ、ビール飲みたい。横須賀カレーと一緒にビールを」

「運転手は俺だから良いぜ。さ、行こうぜ」

俺達は横須賀カレー本舗という店に入り、名物の横須賀カレーを注文する。レグナはついでに横須賀の地ビールを注文した。

しばらくしてカレーが到着すると、俺達は食べ始める。

適度にスパイスが効いたカレーで、かといって辛すぎない味わいである。なんというか、シンプルに食べやすさを重視しているカレーで、言ってしまうと尖った特徴のないカレーだ。

しかしレグナはそのカレーを食べながらどこか苦い顔をする。

「どうしたんだよレグナ」

「昔のことを思い出した。昔研究されてて紛争地帯に送られてた時……日本に帰還するまでは時々カレーを振る舞われた事があった。その時のカレーに似てる。まあ、軍のカレーだし当然似るはず」

「ああ、言ってたよな。お前の能力が原因で研究機関所属で、その上データを取るために紛争地帯に送られたってんだっけ? 酷いもんだよな。えっと、中学生の頃からか?」

「Yes」

改めて俺は酷いものだと思う。

「まあ、嫌なことを思い出したならこれ食べたらすぐに出るか。次は三浦半島行くぞ。今度は海鮮だ」

「ぐ、グルメっ……わかった、このカレーとっとと食べよう」

俺とレグナはすぐにカレーを食べ終え、レグナに関してはビールもゴクゴクと一気に飲んで済ませる。

「ふう、良い喉越し……じゃ、出るか」

「ああ、運転任せろ」

俺とレグナは店を出て、コインパーキングに戻り車に乗った。そしてすぐさま移動を開始した。

横須賀からおよそ五十分で、三浦半島の先端にある城ヶ島に到着する。城ヶ島西側にある公共の駐車場に車を止め、そこから少し歩いて海鮮料理の店へとやって来る。

ここの名物を、俺は父さんの日記で知っている。三浦半島城ヶ島の名物は三崎マグロだ。

三浦市のこの城ヶ島とその付近は三崎と呼ばれる地域で、そこはマグロが名物なのだ。

店に入るなり、俺とレグナはマグロ丼を注文。レグナはビールだけでなく日本酒まで注文した。

しばらくするとマグロ丼と酒が提供される。俺達はマグロ丼を食べ始める。

「ああ、しっかりボリュームがあって旨いなレグナ」

「う~んっ! 酒に合ってdelicious!」

「お前が俺の代わりの酒係だな……なあ、このあと鎌倉にも寄ってくつもりなんだけど」

「Kamakura……あそこって神社と大仏とかしか……」

「いやいや、他にもなんか……なんか……うーん、思いつかねえ。鎌倉ってマジで鶴岡八幡宮と大仏に支えられてんだな」

「あと、Kamakuraって由比ヶ浜と材木座海岸が隣り合ってるのにくっ付かなかったのなんで? 伏線じゃなかったの?」

「何の話だ。まあ、もう少しゆっくりするけど、ここ出たら次は鎌倉な」

それから俺とレグナは鎌倉、江の島と寄り道をしていった。

そうしていると陽も落ちていき、俺達は平塚に泊まることにした。ここまでは概ね予定通りの旅程である。

ホテルのツインルームで二つのベッドがある部屋に入り、俺達は荷物を置く。

俺がベッドにダイブすると、レグナはもう一つのベッドではなく俺の方のベッドへと飛び込む。

「おい、もう一つベッドがあるだろ」

「girlfriend相手にベッド分ける必要がある?」

「付き合っててもベッドは別にしたいってタイプのヤツも居るだろ」

「付き合い長いのにまだワタシがそういうタイプだと思ってるの?」

「念のためだ。同じベッドがいいなら来ればいいだけの話だしな」

世の中には付き合っている仲でも同じベッドは嫌だというカップルもいる。

「それより……なあ、昼間に聞いて来たあれ……何考えてたんだ? 何年ぐらいの付き合いかって質問、あれなんだ?」

「あのさ、ワタシは今二十八歳。アラサーってヤツ」

「ああ……ああ! 悪い、そういう意味か」

俺はレグナが何を言いたいのか大体わかった。男女間で年齢を気にする理由など一つぐらいだろう。

「わかったなら、もうちょっとそれを意識した行動を……」

「わかったわかった。そうだな……まあ、ちゃんと考えてる。だからこの旅行は純粋に楽しんで欲しい」

恐らくレグナが気にしているのは結婚適齢期とかそんなところだろう。

「とにかく、明日だ。明日は箱根温泉まで行くぜ」

「ああ」

レグナはひとまず納得し、ベッドから降りた。


翌朝、俺達はホテルを出て車で移動を始めた。

大磯町に寄り、大磯港の海鮮料理店で定食を食べる。大磯港で取れたての魚を使った定食は新鮮かつボリュームがあって旨かった。

それから大磯港を発ち、俺達は海岸沿いの道路を走っていく。

小田原市に突入すると、コインパーキングに車を停めて小田原城へと寄った。小田原城はいわゆる復興天守という城で、既に失われた城を新たに現代の技術で建てた城である。

風情のない言い方をすると鉄筋コンクリートの城だ。

天守閣で小田原の街並みと海を眺めて「綺麗だなあ」とか「凄い景色だなぁ」とか人並みな感想を零して満足すると、俺とレグナは小田原の街を散策する。

箱根温泉で泊まる旅館に入るにはまだ時間が早いので、小田原で遊ぶことにした。

それから俺達は小田原おでんを食べたり、繁華街で団子屋に寄ったり、激安量販店に行ったり、ゲームセンターや書店に行ったり、色々行った。

そうして時間を潰していると、午後四時に差し掛かる。

そろそろ旅館に行こうとして、俺とレグナはコインパーキングに戻って車に乗る。

車を運転すること三十分。

小田原から箱根温泉まではそれほど離れていなかったからか、俺達は時間をあまりかけずに予定の箱根温泉に着く。

箱根温泉の旅館に着くと、チェックインを済ませて俺達は部屋に行く。

露店温泉付きの部屋を予約していたので、窓の外には露天風呂がある。

「本当にあるんだな、こんな温泉旅館……」

「ワタシも、初めて見た……じゃあ、早速入る?」

「そうだな……先に入ってくれ、俺トイレに入ってるから。服脱いでタオル巻いて入ってくれ」

「別にワタシ、裸でも……彼女なんだし」

「いや……お前気にするだろ」

「これだから……Fucking Jap」

どこか見透かしたようにレグナがファッキンジャップと煽ると、俺は「やったらぁ!」と言ってシャツを脱ぐ。

「ふっ、ならワタシも脱ごう」

俺達はすみやかに服を脱ぎ、露天温泉に飛び込む。

「ふぅ……」

俺は目を閉じて温泉の温かさや心地良さに体を預けると、不満げな声でレグナが「ん~」と唸る。

「おい、ワタシの方を見ろ。目を開けろ」

「あぁ?」

俺は目を開けると、一糸纏わず白い素肌を見せるレグナが居た。

レグナは俺と最初に会った時から大して姿が変わっておらず、外国人特有の目に入れるには毒とも言えるダイナマイトボディであった。

しかし俺は竜王。種族が違うのでレグナの裸体に並の人間のように興奮することはない。

「そうだ、ワタシを見ろ……おい、なんで何の反応もないんだ」

「俺の股間を注視しながら言うな。前にも言ったけど俺は竜だ、人間じゃねえからか人に興奮することは」

「クスリ使っても?」

「それはわからないが」

「へへへ……気持ち良くなる薬を手に入れた」

「おいおい! 違法ドラッグじゃ……」

「合法合法。興奮剤と勃起薬」

「……お前が良いって言うなら試すかあとで」

いい加減に俺もそういう付き合いが無いと、痛い男のまま生涯を終える気がした。

「おい、本当か? Really?」

「あとでコンビニ行くぞ」

「……そっか」

レグナはどこか落胆した様子で顔を半分湯に沈める。

「あー……堪え性のないヤツだな。これ見せりゃ少しは落ち着くか?」

「え?」

俺は温泉の傍に置いたカゴの中から小さな箱を取り出す。

箱から俺は一つの指輪を取り出し、レグナの前に出して見せる。

「合うと良いけど……指出してみろよ」

それを見るとレグナは真っ白い顔を紅潮させてそっと右手を前に出す。その表情は間違いなく乙女のそれだった。

俺がレグナの薬指に指輪を通すと、レグナは不思議そうに指輪を眺めていた。

「落ち着いたか? 俺はお前より五歳若いからな。俺と付き合ってて焦るのはわかる。だけど、そういう気持ちがないわけじゃないんだ。俺は」

俺が全て言い切るより前にレグナは俺に抱き着いた。

両腕で俺の事を力強くぎゅっと抱き締める。

「おいおい……結婚したらどうする?」

「なんにも思い付かない……でも、色々楽しく過ごしたい」

「そりゃそうだな……あー、あったかいなぁ」

それは温泉の熱か、レグナの体の熱か。

俺は目を閉じて、全身で熱を感じて意識を集中させた。

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