ファッキンジャップぐらいわかるよ
奈良県竜理市、竜宮殿にて。
「竜王様、例の竜王……現在滋賀県にて行楽中のようです」
神の如き男は玉座に座したまま信者の報告を聞く。
「なるほど。一計講じても良いが同じ竜王として、世界を見る行為を邪魔するのは無粋に感じるな……それに今は機が熟していない」
「それはいかにして?」
「簡単だ。彼奴は今、竜王として成長している。もし竜王として座する事が望めなければ……我が彼奴を殺して竜王の力を吸収しよう。しかし、今の彼奴は成長途中だ。もうしばし熟すのを待った方がいい」
「そうですか……失礼しました。では、此度は何の手出し無用と?」
「ああ。だが……軽く信者を何人か向かわせ襲わせろ。彼奴の成長を促せ」
敢えて信者と戦わせ、竜王である漆紀の成長を促そうと神の如き神聖な空気を持った徳叉迦竜王は考えた。
「了解しました。信者を幾人か向かわせて、竜王様と戦わせます。それでよいですね?」
「良い。では下がれ」
「はっ」
信者は下がり、竜宮殿を去っていく。
「我以上に純粋な竜よ……なぜ感情を捨てぬのだ」
徳叉迦竜王は頬に拳を当てながら、思案を続けた。
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二日目。
場所は彦根へと移動し、一同の自由行動が始まる。
この日も漆紀は舞香とレグナとの三人行動だった。
「さてと、どこに行こうものか」
「彦根と言ったら真っ先に彦根城でしょう」
舞香は餅は餅屋と言わんばかりに直球でそう言う。
「Hikone castle?」
レグナは首を傾げながら彦根城に行くのかと問う。
「ま、順当にいけばやっぱり城か。よし、城に行こう」
漆紀達は彦根駅から歩き始め彦根城へと向かった。彦根駅から彦根城へは道が真っ直ぐ続いており、迷わず城に行けるような街作りに配慮すら感じた。
「しかしまあ、城下町ってのもデカいなぁ。これ彦根市全体が城下町の造りなんじゃねえのか?」
漆紀は周囲の街並みを見渡す。
城下町らしく中世の建物の造りを意識した建造物が多く立ち並び、相応しい景色を織りなしていた。
そんな街中を歩き進むと、彦根城の堀の前へと辿り着く。
「デカイ堀だなぁ。俺、城なんて皇居の江戸城ぐらいしか回った事ないからよくわかんないけど、江戸城に負けないぐらいデカイなぁ」
「そうね。これ何メートル続いてるのかしら」
舞香は城の堀の綺麗に積まれた石垣を見て見事なものだと思うが、レグナは何とも言えない微妙な表情をする。外国人ゆえにいまいち凄さがわからないのだろう。
「Ah~……これ凄いわけ?」
「まあ凄いんだと思うけど」
「Huh……」
三人は堀の正面にある道を進み、城内へと入って行く。しばらく歩いていると入城チケット売り場へとやってくる。
チケットを千円で購入し、三人は本丸まで長く続く石段を登り始める。
「はぁ……はぁ……結構、きついわね」
「そうか? 月守先輩、お嬢様っぽいもんな」
「それは関係ないでしょう……夏の気候もあるわよ。今は真夏よ? 木陰があるとはいえ、夏に登城はなかなかきついわね」
舞香とは対照的に、レグナは涼しい顔で石段を上って行く。
「レグナは大丈夫なのかよ」
「ワタシ……厳しい道、慣れてる」
相変わらずカタコトな日本語でレグナはそう答える。
そうこうして上って行くと、石段の最中に茶屋を見つける。
「はぁ……はぁ……お茶? こんな……クソ暑い夏に……?」
舞香が額から汗を流しつつ眉を顰める。
「やってるみたいだな……よし寄ってこう」
「あなた正気!? 今は夏よ! そんな夏に熱々のお茶だなんて」
「せっかく観光に来たんだ、頭おかしいことしていこうぜ。暑い夏に熱い茶……水分補給だ」
「ええぇぇぇ! ちょっとぉ!」
舞香は本気で漆紀が熱で頭をやられたのではないかと思ってしまう。漆紀は茶屋に入って行き、仕方なく舞香とレグナも茶屋に入って行く。
どうやら抹茶とお菓子、セットで五百円で頂ける茶屋になっているらしい。
漆紀は茶屋に入るなりセットをすぐ注文する。
「あ、頭おかしいわ……夏に熱い茶だなんて……」
すると女性店員が笑顔で舞香に受け答える。
「夏の間は冷たいお抹茶もありますよ」
「あるんだ……じゃあ冷たい抹茶セットを二つ」
こうして漆紀だけが熱い抹茶を飲む運びとなった。冷たい茶があると聞いたあとも漆紀の顔に後悔の念はなかった。
ものの五分ほどで茶を点て終えた女性店員が、まず漆紀の席の方へ抹茶セットを置く。
「おお、熱そうだな。いい熱エネルギー補給だぜ」
「ほんとイカレてるわ……」
少しすると舞香とレグナの元に冷たい抹茶セットがやってくる。
漆紀は和菓子を軽く齧り、熱い抹茶で流し込む。対して舞香とレグナはひんやりとした冷たい抹茶を一口含む。
「うん、良いお茶ね」
「苦い、苦いぞ。ビールの方がいい。さすがCrazy fucking jap……」
外国人のレグナには抹茶がただ苦いだけの緑色の水にしか感じられなかったようだ。
だがそんなレグナの発言は、女性店員の逆鱗に触れた。この店員とて、抹茶への造旨と理解が深く城内の茶屋を営む店員として矜持や誇りがあるのだろう。
店員は茶器に水を汲み、レグナの頭から水を振っ被せた。バシャという音と共にレグナの白髪が水に濡れて輝きを帯びる。
「失礼、あまりに暑かったので店前に水撒きをしようと思ったら……」
店員がわざとらしくそう言うと、漆紀と舞香は口をあんぐりと開けていた。レグナは暑さから来るものとは別で顔を真っ赤にしていた。
「ぶっ殺」
レグナは席から立ち上がって女性店員の胸倉を掴んで激しく揺さぶる。
「やめろレグナ!」
「ファッキンジャップって言ったあなたが悪いに決まってるでしょレグナさん! やめて、本当にやめて! 会長に怒られるから面倒事を起こさないで!」
漆紀と舞香が必死にレグナを止めにかかる。ある程度女性店員を揺さぶったレグナは気が済んだのか手を離すと、席に戻っていく。残っていた冷たい抹茶を全て口に含むと、店先の道端へと「ぶーッ」っと吐き捨てる。
「水撒きしてやったぞ。これで涼しくなるだろFucking jap」
「警察に通報し射殺して貰ってもいいかしら……っ!」
「勘弁してください!」
漆紀と舞香は女性店員に深く頭を下げて通報だけは勘弁してくださいと懇願した。
五分後
茶屋から出た漆紀達は本丸に来ていた。
本丸には彦根城の白塗りの天守があり、存在感を放っていた。
「天守自体は中くらいのサイズなんだな」
「そうね。それにしても……ひこにゃんはいないのね」
「中の人の事情を考えてみろよ月守先輩。このクソ暑い中、着ぐるみは自殺行為ですぜ。まあ俺なら便利屋の依頼で代わってくれと言われたらやるけど」
「えぇ……というか便利屋ってどういうこと?」
「俺んち、便利屋やってんですよ先輩。依頼は多岐に渡る……ま、流石に着ぐるみに入ってくれって依頼は今まで来た事ないけど」
漆紀は彦根城の天守を見上げながらそう語る。
「城の中、入りましょう?」
舞香が天守入り口へと歩いて行く。漆紀とレグナがそれに続き、天守の中へと入って行く。
城の中は陰になっているため、外と比べると大分涼しかった。
黙々と城を観覧し、最上階の天守閣へと上って行く。天守閣からは彦根の見事に広がる城下町が見渡せた。なによりも天守閣は風が吹き抜けていてより一層涼しい。
「気持ち良いな……街も見えるし、西には琵琶湖も見える」
琵琶湖湖岸には港や工業地帯が長浜に至るまで立ち並んでいた。工業地帯が琵琶湖へどれほどの環境影響を与えているは漆紀達は知らないが、環境対策をしているからか現状琵琶湖の在来種は生き延びており今日も琵琶湖の郷土料理として提供されている。
「不思議なもんだよな。あんだけ琵琶湖の方に工業地帯が並んでるってのに、環境汚染とか大丈夫なのかよ」
「宝和の時代ならいざ知らず、現代ではそういう環境対策は徹底されてるわよ。琵琶湖の自然は死守されている。貿易面でも漁業の面でも琵琶湖は滋賀県にとっての生命線よ」
「そりゃそうだろうな……あれ? レグナは?」
「ずっと外の手すりの方を見てるわね……待って、レグナさんの趣味って確か……」
「アイツの趣味? 確か最初の顔合わせの時に……あっ、飛び降り!」
「やめさせなきゃ!」
レグナは手すりを乗り越えようと足を上げていた。
「ダメダメ迷惑系になっちゃうわよレグナさん!」
舞香がレグナの両脇に腕を入れて彼女を止めにかかる。
「迷惑系外国人枠はもう結構だっての! やめねえと写真撮ってSNSに晒すぞこの野郎!」
漆紀が携帯電話を構えるがレグナは「ハッ」と吐き捨てる。
「ガラケーでSNS機能が入るわけないでしょFucking Jap!」
レグナは中指を立てながら漆紀のセリフに文句を付けるが、漆紀はその中指に噛み付く。
「んぐぐぐぐぐぐぐぐんんんんんッ!」
「Ahhhhhhhhhh!! Go to hell!! Fucking Jap!!」
思わずレグナは漆紀の顎下へとアッパーをかます。
「ぐはっ! て、てめぇ。俺が男女平等パンチを恐れねえと思ってんのかコラ!」
漆紀は右拳を握り、レグナの鼻っ面に突き刺す。
その一発でレグナは鼻から勢いよく鼻血を出す。
「なにやってるの!?」
「見ての通り分からず屋のレグナを殴ってるんだよ月守先輩! 俺は男女平等パンチなんてワケねえ男女平等主義者だからな!」
「Idiot!」
「うるせえ!」
漆紀はもう一発レグナの鼻っ面にパンチをぶち込んだ。
漆紀達は彦根城を降城していた。レグナは鼻血を出し、舞香が持っていたポケットティッシュで鼻栓を作り、鼻血の出る右鼻の穴に突っ込んでいた。
漆紀はレグナの様子を見て呆れた様子でため息を何度も吐いていた。
舞香はというと漆紀が男女平等パンチをレグナへ本当に実行した事について内心戦慄していた。ひょっとすると自分も漆紀という狂犬から男女平等パンチを食らうのではないかと懸念し恐れ始めていたからだ。
「あ、あなた本当に容赦がないわね……」
「もう俺に怖いもんはねえんで」
「何があなたをそんなに駆り立てるのよ……」
舞香には漆紀の断固とした意志がとこから来るのかと疑問しかなかった。
そうして石段を下りていく途中で、漆紀達は集団と相対する。
その集団客はどこか異様な様子で、服装が同じでありどこか漆紀には見覚えがある服装であった。竜の意匠が施された服装である。それは確か、竜理教のものではないかと漆紀は疑問を抱く。
その集団は漆紀達の前まで来ると立ち止まり、漆紀達を見つめる。
その異様な様子に、舞香が真っ先に疑問を投げかける。
「なんなんですか、あなた達は」
舞香が身構えて、腰のベルトに差したアルミニウムハンマーに手をかけながら問いかける。
「……我らは竜理教の部隊である。そちらの御少年、竜王様とお見受けする」
「てめえら、竜理教の差し金か! こんな所で!」
漆紀が村雨を呼び出して右手に持って構えると、二十人ほどいる竜理教の信者達は漆紀達へと襲い掛かる。
「かかれ! 徳叉迦竜王様の勅命だ! 必ず果たせ!」
リーダー格の男がそう言って漆紀達へ信者達をけしかける。
「襲撃だ、戦うぞ月守先輩、レグナ!」
そう言った瞬間、レグナが右手を前に出す。その瞬間、竜理教信者の集団が石段の後段へと一気に吹き飛ぶ。
「うわああああぁぁぁぁぁ!!」
竜理教の信者達は後段の石段に叩き付けられ、その地べたで悶絶する。
たった一撃だ。その一撃でレグナは竜理教信者を殺さずに返り討ちにして見せた。
これから彦根城へ登城、あるいは下城しようとしている観光客たちは俺達の様子を見て唖然としている。
「お、おい……なにをやったんだよレグナ」
「なにかマズかったか? あいつら、敵だろ? 殺さずにやるなら、これが一番」
「……ま、まあいいぜ。お前がすげえ強いって事はわかった」
右手を前に出し、何かしただけでレグナは竜理教の集団を撃退して見せた。漆紀はリーダー格の指示をしていた男の前まで来ると、倒れて悶絶しているリーダーの男の胸倉を掴んで、問いかける。
「お前達、誰の差し金だ?」
「ぐっ……徳叉迦竜王様の勅命で……」
「誰だよトクシャカって? 竜理教のどこの誰だ!」
漆紀が村雨を片手に威圧するように問うと、リーダー格の信者は少々怯えつつ答える。
「徳叉迦竜王様は、奈良県竜理市の竜王様です……」
「なるほど、日本の竜理教の親玉か。そいつの命令で俺への襲撃をしたワケか?」
漆紀が問うと、リーダー格の信者は深く頷く。
「そもそもどうやって俺の居場所を知った?」
「竜理教の探偵をいつもあなたに付けていて……」
「けっ、ストーカーかよ。じゃあ俺が学徒会の庇護にいることは筒抜けだな」
漆紀がリーダー格の信者を突き放すと、彼は打った背中を痛そうにさする。
「なんだったの、辰上君」
舞香が漆紀に彼らの素性を問うと、漆紀は毅然として答える。
「こいつらが言ってた通り、竜理教だ。狙いは俺みたいだぜ。ま、この旅行中にこうやってこいつら竜理教の信者が定期的に襲撃に来るかもな」
「ええぇ? 竜理教の信者が? それは面倒ね……」
「いや、ワタシがいれば問題ない。今みたいに大勢でも、撃退できる」
レグナがそう答えると、舞香はレグナの返答に安心感を覚え「ならいいわ」と返す。
「というか、なぜあなたが竜理教に狙われているのかしら辰上君。事情の説明は出来る?」
「ここで、こいつらの前でベラベラ説明するのも良くないだろ。移動しようぜ、こいつらはレグナの能力でぶっ飛ばされた衝撃で悶絶してる。俺達を追えっこない」
「なら、早く移動しましょう」
漆紀達は竜理教信者達を通り抜けて、すぐさま城下町へと逃げて行った。
城下町の外れにある団子屋で、抹茶とみたらし団子を注文し、漆紀達はテーブル席に着く。
注文した団子と抹茶はすぐに提供され、舞香は漆紀に問う。
「さて、話して貰いましょうか。あの竜理教の信者の集団は一体なんなのかしら?」
「……俺は二つの勢力に狙われている。一つは関東の暴走族と暴力団の反社勢力。もう一つは、竜理教だ」
「両方わからないわ。あなた、なんでそんな勢力に狙われてるのよ」
「そうだ。お前……mysterious.どういう、素性だ?」
舞香もレグナも漆紀の背景について知りたがっている様子であった。
「……簡潔に話すと、俺はある暴走族と暴力団を崩壊させた。その一件から関東の暴走族と暴力団に狙われるようになっちまった」
「なにをやったらそんなことになるのよ」
「最初は些細なきっかけだった。そこから争いになって、俺は暴走族と暴力団を殲滅して崩壊させた。そして関東の暴走族と暴力団にマークされて狙われるようになった」
「でも……竜理教、そっちはなんでだ?」
レグナが首を傾げてそう問うと、漆紀はみたらし団子を一つ口に含んで咀嚼し、飲み込んでから答える。
「俺は竜理教が求めてる御神体、竜王って存在なんだ。特別な力を持ってる。だから竜理教に狙われてるんだ」
漆紀がそう言った瞬間、舞香がアルミニウムハンマーを取り出したかと思うと形状変化させて剣の形にして漆紀の首筋に宛がう。
「どういうつもり? 学徒会に厄介事を持ち込むつもりなワケ?」
「会長とは、俺をそういう脅威から保護してくれる約束で協力することになったんですよ。俺に関するリスクは、会長が承諾した。あんたが俺を咎める必要はないと思いますが」
あくまでも輝雷刀が承知した事だと漆輝が舞香に伝えると、舞香はアルミニウムをハンマーの形に形状変化させて、腰のベルトに引っ掛けて戻す。
「わかったわよ。この学徒会に外患誘致する気ではないとわかったわ」
「会長はリスクを承知で、俺を受け入れた。それをわかってください」
「了解よ。でも、竜理教に狙われるってどういうことなのよ」
「さっき言っただろ先輩よぉ。俺は竜理教が求める御神体なんだぜ。それが事実で、それ以上説明の余地なんかない。あんなカルト連中の理論に付き合って話をする気かよ月守先輩」
「……カルト宗教の言う事なんてばかばかしいわよね。とにかく、あなたが竜理教に狙われているということだけ分かれば十分よ」
舞香がそう結論づけると、レグナは頬を膨らまして、どこか不満気な様子を見せる。
「なんだよレグナ、お前は今の説明で不満かよ」
「オマエ……厄介事を持ち込んだな……やっぱりオマエ、Fucking Jap」
「何度も言ってるがファッキンジャップぐらいわかるよ馬鹿野郎。お前いい加減にファッキンジャップ言うのやめろよ。女だろうが顔面ストレートぐらいワケねえぞ」
漆紀が強気でそう言い放つと、レグナは漆紀へと両手で中指を立てる。
漆紀は固く拳を握るが、レグナは言ってもやめないだろう考えぐっとこらえる。
「そのファッキンジャップって私にも当てはまるからやめて」
舞香がそう言ってレグナにファッキンジャップと言う事をやめるよう促す。レグナは不満そうに目を逸らして「ふん」と鼻息を吐く。
「けっ、アメップがよ」
ファッキンジャップと言われた事の仕返しで漆紀がアメップと口に出すと、レグナは漆紀の方へと右手の人差し指を向ける。その瞬間、漆紀は後ろの壁に叩き付けられ右肩に小さな穴が空く。そこから血が流れ出て、漆紀は左手で右肩の穴を押さえる。
「ちょっとレグナさん、なにをやっているの!?」
「やりやがったなおい! 俺じゃなかったら危なかったぞ」
漆紀は村雨の能力で血の貯蔵を消費して右肩に出来た穴を瞬時に治す。
「な、治った? お前一体……」
レグナは信じられないものを見る目で漆紀を見る。
「お前の能力、なんかよくわかんないけど見えないエネルギーを出してるな。そうとしか思えねえよ、さっきの竜理教の信者をぶっ飛ばしたのも加味してな」
「……治るなら、遠慮なくやれる」
レグナが能力を更に使おうとすると、舞香が彼女を止めようと肩を掴む。
「ここ店の中よ!? やめてレグナさん!」
舞香がそう言うと、レグナは渋々右手を引いて能力の行使をやめる。
「ったく、常識のねえヤツだ。お前とはやっていけねえよレグナ」
「それはワタシのセリフ……」
レグナが落ち着くと、ようやく漆紀と舞香は団子を食べ始めた。




