またまたIF
俺は気が付けばアパートの一室に居た。時刻は午後七時。
会長と会って日本の竜理教を排してから七年が経った。
吉果はチーズ鱈を咥えながらゲームをやっている。俺はというと料理の真っ最中だった。
「もうすぐ料理出来るからいい加減チー鱈で酒飲むのやめとけ」
「えー、もっと飲みたい。飲ませてくれなきゃリスカしちゃうぞ?」
「んでもう一本の手も義手にするか? バカ言ってないで手伝え喪女」
「嫁に対してそんなこと言っちゃう?」
「嫁じゃねえだろ結婚してない」
「あっそ、手伝わないー」
吉果はゲームを続ける。俺は目を細めて吉果を見るが、作業が進まないので俺はそそくさと食事の準備をする。
テーブルに料理を運ぶと、吉果はゲームを止めて俺の方へと来る。
「おおー、今日はチャーハン?」
「肉はケチらず入れたから旨いと思うぜ。とっとと食べるぞ」
俺は吉果と対面し、いただきますと一声言うと食べ始める。
「なあ、同居しだしてどれくらいだっけ?」
「ふひ、二年?」
「そうか……会長から時々呼ばれて手伝って、俺は便利屋をやって……これで良いんだよな」
俺は今のライフスタイルを振り返るが、吉果は「良いでしょ」と即答する。
「でもさ、不自然っていうか納得いかないんだよな。なんで俺、お前と付き合ってるんだろうって、今になって思うとわからなくなる」
「えぇー……へへへ、そんなこと言っちゃうと、空に落とすよ?」
「無駄だぜ、俺は飛べるからな」
空を落ちる吉果と、空が飛べる俺。ただそれだけだったのかもしれない。
それだけが運命だったのかもしれないと、俺は思う。
「酒飲むか? 何がいい?」
「サワーある?」
「ハイボールなら残ってたはず」
俺は冷蔵庫の中を漁るとハイボールのロング缶を取り出す。
「はい、酒」
「来た来た」
吉果はロング缶を開けると、そのまま直飲みする。
「あああ旨い……」
「今度日本酒飲み比べでも行くか? 酒カスなら嬉しいだろ」
「行く行く~」
「成人してから、お前酒カスになっちまったよな。会った当初の暗い雰囲気がありつつも右手だけ黒い手袋してるミステリアスなお前も好きだったんだけどなあ」
「そんな幼い頃の話なんかしてぇ……飲んじゃおう飲んじゃおう!」
「お前なぁ……」
俺は緑茶をコップに入れ、一口飲む。
「ま、今のこの生活は楽しいから良いけどよ……」
俺も思う所は多くある。吉果とこのままダラダラ今の関係で居たい気持ちはあるが、彼女だって女だ。身を固めたい思いは言葉にしないだけで少なからずあるはずだ。
「なあ、結婚するか?」
「うん……うん? え?」
「今の生活や関係は心地いいけどさ。お前も俺もこのままじゃダメだろ。だから」
「うーん……面倒臭いなら事実婚でも全然いいや~」
「お前そういうところガバガバ過ぎないか?」
「だって自分、喪女だし。あんなヒラヒラしたウェディングドレスとかマジ無理」
吉果は首を横にブンブン振って結婚式をしているビジョンが浮かばないと否定する。
「ま、なんでもいいのかもな……」
「ふふふ……結婚となったら、大人のオモチャと勃起薬沢山買わなきゃねぇ……ふひ」
「おい……食事中にシモの話はするなっての」
「でも勃起薬ないと人間と出来ないのは事実でしょ」
「……はぁ。なんでマジでお前と付き合ってるんだろ」
俺はそんな事を思いながら額に手を当てて悩んだ。




