第十七話 問題発言2
「神王じゃないって。」
「どういうことですか!?」
思わず声が大きくなる。
「まぁまぁ。」
カグツさんは苦笑する。
「証拠、見せますか。」
そう言うと。
私の右手首へ視線を向けた。
「ヒカリちゃん。」
「その腕輪。」
「ちょっと貸して。」
私は首を傾げながら腕輪を外す。
カグツさんは。
何のためらいもなく、その腕輪へ触れた。
――何も起こらない。
「……何かするんですか?」
私は腕輪とカグツさんを見比べた。
何も変わらない。
光も。
神力も。
何一つ。
ヴァスキさんが静かに口を開く。
「……王の証でもある神具は。」
「王にのみ、その力を発揮できます。」
「また。」
「他国の王が触れれば。」
「拒絶するように反応します。」
「うんうん。」
カグツさんは軽く頷く。
「だから。」
「”今の私”は。」
「王ではない。」
頭が追いつかなかった。
神王じゃない。
でも。
火の神王だった人。
何を言われているのか。
理解できない。
「……カグツ様。」
ヴァスキさんが静かに息を吐く。
「部外者へ話すことではありませんよ。」
「そうだよ。」
カグツさんはあっさり頷いた。
「本来ならね。」
「ただ。」
「これからについて。」
「色々話さないといけないからさ。」
「”知ることになる”こと、だからね。」
私とレンは顔を見合わせる。
カグツさんは少し考えるように空を見上げた。
「姫巫女は。」
「どこまで君たちに話したのかな?」
今まで聞いてきた話を一つずつ伝える。
カグツさんは静かに頷いていた。
「……なるほど。」
「あまり伝えなかったんだな。」
責めるような口調ではなかった。
どこか納得したように。
小さく頷く。
「……続きはさ。」
「先に風のやつを待ってからの方がいいな。」
「ヴェル様ですか?」
「あぁ。」
「この近くに。」
「かつて栄えた都の廃墟があってね。」
「そこで落ち合う約束をしてる。」
「廃墟……。」
「人も寄り付かないし。」
「こういう話をするにはちょうどいい。」
カグツさんはそう言って歩き出す。
私たちもその後を追った。
その場所が。
真実へ繋がる入り口になるとも知らずに。




