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星と呼ばれた少女  作者: さかい
火の神国
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第九話 死者が消える


「さて。」


 カグツさんが手を一つ叩く。


「会いにきた理由に戻ろうか。」


 部屋の空気が少しだけ引き締まる。


「死者が消える。」


「……この現象について、何か思い当たることはあるかい?」


「……突然なんですか。」


 ヴァスキさんが静かにため息をつく。


「もう少し前置きというものをですね。」


「あはは。」


「悪い悪い。」


 カグツさんは頭をかいた。


「実はな。」


「今、火の神国だけじゃない。」


「四つの神国すべてで報告されている事象なんだ。」


 思わず息を呑む。


「全部の神国で……?」


「最初は数件だった。」


「だから偶然かもしれないと思っていた。」


「でも。」


「ここに来て。」


「爆発的に増えた。」


 部屋が静まり返る。


「死者が消えるって……。」


「どういうことですか?」


「言い方が悪かったね。」


 カグツさんは苦笑する。


「亡くなった人の身体。」


「つまり。」


「遺体が消えているんだ。」


 胸がざわつく。


 頭に浮かんだのは。


 水の神国。


 姫巫女様だった。


「神国では。」


 ヴァスキさんが静かに説明を続ける。


「亡くなった方を祭壇へ安置し。」


「家族や友人が別れを告げます。」


「その後、火葬を行います。」


「その前に。」


「遺体が消える。」


「原因はまだ分からない。」


 カグツさんは穏やかな表情のまま言う。


「だから。」


「明日。」


「現場へ行こう。」


 ヴァスキさんが頷く。


「承知しました。」


 私も静かに頷いた。


「……私も行きます。」


「ありがとう。」


 カグツさんは満足そうに笑う。


「じゃあ。」


「今日はもう遅いし。」


「解散だな。」


 ほっと息を吐いた。


 今日はぐっすり眠れそうだ。


「……あ。」


 カグツさんが何かを思い出したように顔を上げる。


「?」


「ちょうどいいから。」


「怖い話でもしちゃう?」


「とっておきのがあるぞ〜。」


「ライトなのから。」


「ドロドロしたのまで。」


「絶対やです!」


 食い気味に断る。


「えぇ〜。」


「面白いのに。」


「面白くないです!」


「今日は!」


「安眠したいんです!!」


「じゃあ。」


「また今度かな。」


「今度もやりません!!」


 レンは小さく首を傾げた。


「ヒカリ。」


「怖い話って?」


「聞かないで!」


「私、眠る、大事!」


 ヴァスキさんは静かに目を閉じる。


「……今日は解散しましょう。」


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