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第八話 はじまりのものがたり
「はじまりのものがたり?」
思わず声に出す。
薄い表紙の絵本だった。
シュルティさんが微笑む。
「ええ。子どもの頃に読まれるものなんですけど、一番知られている物語ですね」
なるほど。
日本で言う桃太郎とか、浦島太郎みたいなものだろうか。
「ありがとうございます」
本を抱えると、シュルティさんは嬉しそうに微笑んだ。
◇◇◇
シュルティさんが部屋を出た後。
私はさっそく絵本を開いた。
『はじまりのものがたり』
むかしむかし。
神さまは世界をつくりました。
そして、自分の力を四つに分けました。
火。
水。
風。
地。
神さまはその力を生き物たちに与えました。
みんなが生きていけるように。
世界が豊かになるように。
そして。
なかでも大きな力を持つ王さまたちに、世界をより良いものへ導く役目をたくしたのです。
そこで絵本は一度区切られていた。
次のページには挿絵が描かれている。
赤い髪の王様。
青い髪の王様。
茶色い髪の王様。
そして。
白金色の髪を持つ王様。
「……あ」
思わず声が漏れる。
風の王様だ。
ふと、あの澄んだ緑色の瞳を思い出す。
「王様ってみんな綺麗なのかな……」
絵本を抱えたままベッドへ寝転がる。
窓の外では春の風が木々を揺らしていた。
続きを読もう。
そう思いながら、私は次のページをめくった。




