第十五話 旅の理由
青い地球みたいな色をした。
ガラス玉のような石。
花の形をした銀細工の髪飾りだった。
かんざしのようになっていて。
鎖骨まで伸びた髪をまとめてみる。
鏡代わりの窓ガラスを覗き込んだ。
見慣れない自分が映る。
なんだか。
少しだけ大人っぽかった。
「あ」
ちょうどレンが部屋へ入ってくる。
私は少し迷った。
けれど。
聞いてみる。
「どうかな?」
「?」
「似合う?」
レンは私を見る。
数秒。
じっと見ていた。
なんだか落ち着かない。
「うん」
それだけだった。
私は思わず顔を逸らす。
◇◇◇
「そういえば」
ふと疑問が浮かんだ。
「レンって何歳なの?」
「十六」
私は目を丸くする。
「え!?」
「同い年?」
レンが頷いた。
少しだけ嬉しくなる。
「誕生日は?」
「父上が花の季節に生まれたと言ってた気がする」
私は固まる。
「気がするって何!?」
思わず声が大きくなった。
「じゃあどうやって歳を数えるの?」
「神月を迎えたら」
「みんな一つ歳を重ねるよ」
なるほど。
だから誕生日がないのか。
世界が違えば。
当たり前も違うらしい。
「……父上?」
ふと引っかかった。
「なんか、やんごとなき生まれなの?」
レンは少し考えた。
「父上は神族だよ」
私は頷く。
「母上はヒト」
少し意外だった。
神族同士ではないらしい。
「僕を産む時に殺されちゃったけど」
私は固まる。
「え?」
レンは首を傾げた。
まるで。
昨日の天気でも話すような口調だった。
私は言葉を失う。
「……ごめんね」
「?」
レンが首を傾げる。
「なんで?」
「なんでって……」
私は言葉に詰まる。
けれど。
レンは本当に分かっていない顔をしていた。
「別に気にしてないよ」
そう言って。
レンは少し考える。
「犯人も分からないみたいだし」
「え?」
思わず顔を上げる。
「だから旅してる」
私は瞬きをする。
「父上が」
「僕を守るためだって」
思考停止。
「ゆ、ユウリさん!?」
思わず立ち上がる。
あの人離脱しちゃダメでしょ!
「一人で平気なの!?」
「護衛は?」
レンは首を傾げた。
「大丈夫だよ」
「全然大丈夫じゃないよ!」
レンは少し考える。
「まぁ」
「ユウリより僕の方が強いしね」
私は固まった。
「え?」
「本気で言ってる?」
「うん」
あまりにも当然みたいに答える。
私は頭を抱えた。
この人。
思っていたよりずっと。
規格外なのかもしれない。




