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第十四話 理由
レンは不思議な人だと思う。
文字のことも。
暗殺のことも。
色々聞いた。
けれど。
一番聞きたかったことは。
まだ聞いていない。
「……あのさ」
「なに?」
レンは本から顔を上げた。
私は少し迷う。
けれど。
聞いてみることにした。
「なんで助けてくれたの?」
「?」
「行き倒れてた時」
「市場の時も」
「いまも一緒に連れて行ってくれてるし」
レンは少し考えた。
それから。
当然のように言う。
「そうしたかったから」
私は固まる。
「それだけ?」
「うん」
即答だった。
「いやいやいや」
思わず首を振る。
「普通もっとあるでしょ?」
「理由とか」
「事情とか」
レンは首を傾げた。
「?」
どうやら本気らしい。
「嫌だったら助けてないよ」
「やりたくないことはしないし」
私は言葉に詰まる。
確かに。
レンはそんな人だ。
市場で絡まれた時も。
相手が何人いるかなんて気にしていなかった。
面倒そうだったけれど。
迷いもなかった。
「だから」
レンは本を閉じる。
「助けたかったから助けた」
それだけだった。
◇◇◇
「あ」
「なに?」
レンは少し黙った。
それから。
鞄を漁る。
「忘れてた」
出てきたのは。
市場で見た髪飾りだった。
私は固まる。
「え?」
「買ってたの?」
レンは不思議そうな顔をした。
「うん」
まるで。
それが当然みたいに。
「だって」
レンは髪飾りを見た。
それから。
私を見る。
「欲しかったんでしょ?」




