第十三話 文字
休憩中だった。
私は枝を拾う。
そして。
地面に文字を書いた。
レンが覗き込む。
「何してるの?」
「ん、私の世界の文字」
レンの目が少しだけ輝いた。
「文字?」
「うん」
私は地面に一文字書く。
空。
「これは空」
レンは頷く。
それから。
同じように地面へ書いた。
少し歪な気もするが。
ちゃんと読める。
「え?」
私は目を瞬かせた。
「もう書けたの?」
「真似しただけだよ」
いや。
そんな簡単な話ではない。
◇◇◇
その後も。
火。
水。
鳥。
いくつか教えた。
けれど。
レンはすぐ覚えた。
私は腕を組む。
「ねぇ」
「なに?」
「レンって頭良かったりする?」
レンは少し考えた。
「さあ、比べたことないし」
「え?」
私は固まる。
「学校とかは行ってないの?」
「うん」
あまりにも普通に言う。
「なんで?」
レンは首を傾げた。
不思議そうだった。
「暗殺されるかもしれないから」
私は固まる。
「なんで!?」
思わず声が大きくなった。
レンが少し驚いた顔をする。
驚きたいのはこっちだ。
「命を狙われてたから?」
説明になっていない。
全然なっていない。
「……それって言って平気なの?」
思わず聞く。
普通は隠す話ではないだろうか。
レンは少し考えた。
それから。
当然のように言う。
「キミ、誰かに言わないでしょ」
私は言葉に詰まる。
確かに。
言わない。
言わないけど。
そういう問題なのだろうか。
「だから平気」
レンはそう言って。
また地面の文字へ視線を戻した。
「これ何て読むの?」
案の定、さらりと漢字を模写する。
「レン」
「なに?」
「絶対頭良いよね?」
レンは首を傾げる。
その顔を見ていると。
本人に自覚はないらしかった。




