第十二話 会話
声が戻ってから。
私たちはたくさん話した。
……正確には。
私が一方的に話していた。
今まで聞けなかったことが山ほどあるのだ。
まず。
ピンクちゃん。
「あの子って何なの?」
「鳥?」
「それは見れば分かる」
レンは少し考える。
けれど。
返事はなかった。
「火を吐いたよね?」
「吐いたね」
「知らなかったの?」
「うん」
本当に知らなかったらしい。
しかも。
名前も付けていないとのことだった。
……なんか可哀想に見えてきた。
◇◇◇
「旅って大変だよね」
私は空を見上げる。
「そう?」
「そうだよ」
毎日歩く。
朝から夕方まで歩く。
宿場町から宿場町へ。
これが思った以上に大変だった。
「私の世界は違うの」
「遠くへ行くなら」
「飛行機とか」
「電車とか」
「車を使うから」
レンが首を傾げる。
「飛行機?」
「空を飛ぶ乗り物」
「へぇ、飛空艇みたいなやつかなぁ」
少しだけ目が輝いた気がした。
「電車は?」
「たくさんの人を乗せて走る乗り物かな」
「たくさん?」
「何百人とか」
レンが固まった。
「そんなに?」
「うん」
「すごいね」
素直な感想だった。
「家も違うの?」
今度はレンが聞いてきた。
「マンション」
「まんしょん?」
説明が難しい。
「大きな建物かな」
「たくさんの人が住んでるの」
レンは頷く。
ここまでは伝わったらしい。
「私は十三階に住んでたんだよ」
沈黙。
レンが瞬きをする。
もう一度する。
「十三階?」
「うん」
「倒れないの?」
私は吹き出した。
「倒れないよ」
「へぇ……」
レンは感心したように呟く。
それから。
少しだけ笑った。
「ヒカリの世界も面白そうだね」
胸が少しだけ痛くなる。
「……来たら案内してあげる」
気付けばそう言っていた。
「遊園地とか」
「水族館とか」
「動物園とか」
レンは少し考える。
そして。
「楽しそう」
目をキラキラさせていた。




