表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星と呼ばれた少女  作者: さかい
水の神国
PR
39/53

第六話 旅立ち


出発までの二日間はあっという間だった。


まず。


服を買った。


女将さんと一緒に。


柔らかな生成り色の生地。


胸元や裾には赤やオレンジの糸で模様が縫い込まれている。


ゆったりとしたスカート風のズボン。


腰には帯のような布を結ぶらしい。


そして。


フード付きのケープ。


「似合ってるじゃない」


女将さんが満足そうに頷く。


私は少しだけ落ち着かなかった。


鏡を見る。


そこには。


知らない服を着た自分がいた。


新しい場所へ向かうんだと思った。


◇◇◇


出発の日。


朝は少し冷え込んでいた。


宿の前には女将さんとユウリさんがいた。


レンもいる。


足元には桃色の小鳥。


「気を付けるのよ」


女将さんが包みを差し出す。


食べ物だろうか。


私は思わず頭を下げた。


「主都までは街道沿いです」


ユウリさんが穏やかに言う。


「道に迷うことはないと思いますが……」


そこで言葉を切る。


視線はレンへ向いていた。


「レン様」


「うん」


「道は鳥様に任せてください」


「うん」


ユウリさんが遠い目をした。


私は何となく不安になる。


(鳥様……? ピンクちゃんのこと?)


なぜ、鳥に道を任せる……?


◇◇◇


そして。


いよいよ出発という時だった。


私はレンを見る。


それから。


ユウリさんを見る。


何度か繰り返す。


「ああ」


レンが頷いた。


伝わったらしい。


「ユウリは来ないよ」


私は固まった。


来ない……?


来ないの?


本当に?


という意味だ。


「まだ治ってないからね」


レンは当然のように言った。


「弱いし」


ユウリさんが苦笑する。


女将さんも苦笑する。


「それに」


レンは続ける。


「ここで大切なもの見つけたみたいだし」


今度は。


ユウリさんが固まった。


女将さんも固まる。


二人の赤くなった顔を見て。


私は何となく察した。


たぶん。


リア充め。


「じゃあ行こう」


レンは歩き出した。


迷いのない足取りだった。


私は一度だけ振り返る。


女将さんが手を振っている。


ユウリさんも笑っていた。


私は深く頭を下げる。


そして。


前を向いた。


レン。


私。


ピンクちゃん。


二人と一羽。


本当にそれだけだった。


……大丈夫かな。


色々な意味で。


少しだけ不安になりながら。


私は歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ