表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星と呼ばれた少女  作者: さかい
風の神国
PR
31/52

第三十一話 神聖樹


少しだけ分かったことがある。


ぽわっ。


危うく光が生まれそうになる。


私は慌てて深呼吸をした。


そして。


心の中で唱える。


脳内召喚。


――また何かやりましたね。


――勝手に行動しないでください。


ぽしゅっ。


光が消えた。


「よし」


思わず拳を握る。


完璧だ。


神力の制御を覚えた。


代償として。


ヴァスキさんの説教が、いつでも脳内再生できるようになったけれど。


「何をしているんですか?」


後ろから声がした。


振り返る。


シュルティさんだった。


「秘密です」


「気になりますね」


「……秘密です」


ヴァスキさんの脳内説教を受けていました。


言えない。


シュルティさんは少しだけ笑った。


◇◇◇


その日。


私は図書館にいた。


神託について調べるためだ。


襲撃。


先王派。


終焉。


あの日から。


どうしても気になっていた。


本をめくる。


けれど。


神託について書かれた本は少ない。


あっても。


解釈ばかりだった。


「難しい……」


思わず机に突っ伏す。


その時だった。


近くの棚から一冊の本が落ちた。


ぱさり。


古びた本だった。


題名を見る。


『神聖樹について』


神聖樹。


聞いたことはある。


けれど。


詳しくは知らない。


私は本を開いた。


しばらく読み進める。


そして。


ある一文で手が止まった。


『神聖樹は星を巡らせる』


星。


思わず目が留まる。


さらに読み進める。


『命は星より生まれ』


『星へ還る』


『神聖樹は命の始まりであり』


『命の終わりである』


静かな図書館。


私は何度もその文章を読み返した。


「星……」


終焉。


星の欠片。


神聖樹。


何かが繋がっている気がする。


けれど。


意味は分からなかった。


◇◇◇


「神託の調査ですか?」


いつの間にか。


シュルティさんが隣に立っていた。


私は頷く。


「神の世が終わるって……」


言葉を探す。


「そんなの、だめです」


シュルティさんが少しだけ目を瞬いた。


私は首を傾げる。


だって。


「シュルティさんもいますし」


「図書館のみなさんもいます」


「フワモちゃんたちもいます」


言いながら。


たくさんの顔が浮かぶ。


「みんな、みんな大切な人たちです」


「だから」


「そんなの、だめです」


シュルティさんはしばらく何も言わなかった。


やがて。


小さく息を吐く。


「ヒカリさんは」


そこで言葉を切る。


そして。


少しだけ笑った。


「本当に不思議な人ですね」


「そうですか?」


「ええ」


優しい声だった。


私はよく分からないまま首を傾げる。


窓の外では。


今日も風が吹いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ