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星と呼ばれた少女  作者: さかい
風の神国
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第二十九話 帰りたい場所


翌朝。


目を覚ますなり。


昨日の出来事を思い出す。


ぽわぽわと溢れ出した光。


「うぅ……」


思わず布団を頭まで被る。


今思い出しても恥ずかしい。


どうしてあんな反応をしてしまったのだろう。


しばらく布団の中で転がったあと。


ふと。


別のことを思い出した。


後祭の夜。


空へ昇る風玉。


そして。


『……ノル』


ヴェル様が教えてくれたマナ。


内緒にしていてくれと言われた秘密。


思い出すだけで少し胸が温かくなる。


その時だった。


ぽわっ。


枕元に小さな光が現れた。


「えっ?」


光はふわりと揺れ。


やがて消える。


部屋が静かになる。


私は瞬きをした。


……今。


何を考えていたっけ。


風玉。


マナ。


ヴェル様。


そこで思考が止まった。


昨日。


保護区で光った時も。


ヴェル様を思い出していた。


神殿で光った時も。


ヴェル様。


私は数秒固まった。


そして。


「あ」


さらに数秒。


「あ……」


顔が熱くなる。


「あーーーーーーっ!!」


勢いよく枕に顔を埋めた。


「うそでしょ!?」


「そういうこと!?」


「やだぁぁぁ……」


恥ずかしさのあまり足をばたばたさせる。


すると。


ぽわっ。


「やめて!」


ぽわっ。


「増えないで!」


ぽわぽわっ。


「だからやめてぇぇぇ!!」


まるで面白がるように。


光は次々と生まれていった。


◇◇◇


窓の外を見る。


この世界へ来て。


どれくらい経ったのだろう。


私、帰らないと。


ふと、そう思った。


お母さん。


お父さん。


お兄ちゃん。


きっと心配している。


突然いなくなった私を。


今も探しているに違いない。


胸の奥が少しだけ痛くなった。


帰りたい。


それは今も変わらない。


けれど。


ここでの生活で大切なもの。


思い出すものが増えた。


初めて作った焼き菓子。


みんなが驚いていた顔。


翻訳を手伝った本。


図書館で過ごした時間。


ふわふわのフワモたち。


優しいシュルティさん。


図書館のみなさん。


そして。


小言とお説教ばかりのヴァスキさん。


思わず笑ってしまう。


きっと今日も。


「ヒカリさん」


「また何かやりましたね」


なんて言うのだろう。


そして。


最後に思い浮かんだのは。


ヴェル様だった。


胸の奥が少しだけ温かくなる。


私は帰りたい。


でも。


みんなのことも大好きになった。


そんなことを思う日が来るなんて。


この世界へ来たばかりの頃は。


想像もしていなかった。


ぽわっ。


「だから出ないでってば!」


思わず枕を投げた。


窓の外では。


今日も穏やかな風が吹いていた。

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