表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星と呼ばれた少女  作者: さかい
風の神国
PR
14/56

第十四話 もふもふ天国

お菓子騒動から数日後。


神殿の日常は落ち着きを取り戻していた。


……たぶん。


食堂の方から聞こえるような気もする騒ぎは、聞かなかったことにする。


私は知らない。


知らない。


◇◇◇


その日。


庭園を散策していた私は、見慣れない小道を見つけた。


今まで気付かなかった道だ。


少しくらい寄り道してもいいだろう。


そう思ったのが運の尽きだった。


小道の先に広がっていたのは――


もふもふ。


もふもふ。


もふもふ。


羽の生えたアルパカみたいな生き物。


丸くて転がる謎の生き物。(白いSUUMO?)


ツノのあるうさぎみたいな生き物。


「天国だ……」


思わず呟いた。


◇◇◇


翌日も来た。


その次の日も来た。


さらにその次の日も来た。


膝には小フワモ。


隣にはツノウサ。


背中にはモフパカ。


幸せだった。


「私、人気者なのでは?」


差し出したおやつへ一斉に集まるもふもふ達を見ながら、私は満足そうに頷いた。


◇◇◇


一方その頃。


執務室。


「ヒカリ殿が妙な行動をしているとの報告がありました」


ヴァスキが言った。


ヴェルは書類から顔を上げる。


「内容は」


「北区画へ定期的に出入りしています」


「北区画に?」


「動物に埋まっております」


沈黙。


「……そうか」


「不審ではありますが、害はないでしょう」


「……そうだな」


「ただ」


「ただ?」


「理解しかねます。何かの儀式的意味合いでも隠れてるのでしょうか」


ヴェルは何も言わなかった。


そして、長い付き合いになる側近に残念な視線を向ける。


◇◇◇


その日の午後。


念のため様子を見に来たヴェルは、そこで足を止めた。


大フワモにもたれかかるヒカリ。


膝には小フワモ。


隣にはツノウサ。


頭には小鳥。


完全にもふもふに埋まっていた。


「え!? 王様?」


ヒカリが飛び起きる。


その瞬間。


動物達が一斉に姿勢を正した。


ぴしっ。


道を開き、頭を下げる。


「え?」


ヒカリが目を丸くする。


「なんで!?」


「なぜかこの国の動物達はこうなる」


ヴェルは淡々と答えた。


どう見ても崇拝だった。


「……えと、もふります?」


思わずヒカリが聞いた。


「もふ?」


「だって、こんなにかわいいですし」


大フワモを撫でる。


気持ち良さそうに目を細める。


「王様が近付くと、みんな緊張しちゃうんですよね?」


「……そうだな」


少しだけ間が空く。


「好きなんですよね?」


「……そうだな」


「でも逃げられる」


「逃げられるんですか!?」


今度はヒカリが驚く番だった。


「近付けば固まる」


「撫でようとすると逃げる」


「抱こうとすると震える」


「……」


少しだけ気の毒だった。


この人、結構好きなんだな。


動物。


その時だった。


膝の上の小フワモが、ぽてりと地面へ降りた。


ころころ。


ころころ。


ゆっくり転がっていく。


そして。


ヴェルの足元で止まった。


「……」


「……」


逃げない。


震えない。


ただ、ぺたりと足元へ座る。


ヴェルが固まった。


「王様?」


反応がない。


「今、嬉しかったですよね」


「気のせいだ」


即答だった。


絶対違う。


私はもふもふ天国を見つけた。


そして。


王様が思った以上に動物好きだという秘密も知ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ