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星と呼ばれた少女  作者: さかい
地の神国
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第九話 家族だけど?


 翌朝。


 朝食を終えた私たちは、宿の前へ集まっていた。


 カグツさんが大きく伸びをする。


「さぁて」


「そろそろ地の神王に会いに行くとしよう!」


 その一言に、自然と背筋が伸びた。


「ここから首都までは数日かかるからね」


「食料や備品も補充しないと」


 いやぁ、とカグツさんはどこか嬉しそうに笑う。


「元気にしてるとは思うけど、楽しみだなぁ」


 きっと仲がいいんだろうなぁ。


 少し気になっていたことが、自然と口をついて出る。


「……イケメン、なのかなぁ」


「……」


 なぜか三人とも黙り込んだ。


「?」


 首を傾げると、カグツさんが困ったように笑う。


「ヒカリちゃん」


「イケメン……うん、まぁ、どうかな」


「えっ、何ですか、その反応」


 カグツさんは人差し指を立てる。


「期待しちゃダメだよ?」


「へ?」


「神王の基準って、顔じゃないから」


「多分」


「た、多分?」


 急に不安になってきた。


 カグツさんは苦笑いを浮かべる。


「大体ね」


「最初に会ったのがヴェル君なのがいけないよ」


「正直、こんな煌びやかな青年、見たことないからね?」


「旅をするのに、こんなに気を使うの初めてだよ」


「何だか……すみません」


 ヴァスキさんが申し訳なさそうに苦笑する。


 ヴェル様は小さく首を傾げた。


「顔の造形に、そこまでの違いはないと思うが」


「あるよ」


 カグツさんが肩をすくめる。


「……ありますね」


 ヴァスキさんも静かに頷いた。


 ヴェル様は納得いかない様子ではある。


 一体、どんな神王なんだろう。


 三人の反応が気になるけど、踏み込んで聞くのはやめた。


 近いうちに会うことになるんだし。


 私の期待と不安は、同時に大きく膨らんでいった。


◇


 私とレン、アスタちゃんは、みんなが旅の準備をしている間に昼食を済ませることになった。


 近くの食堂へ足を運ぶ。


 席に着くと、アスタちゃんは私の肩にちょこんと止まり、店内を興味深そうに見回していた。


 時折、小さく首をかしげる姿がなんとも愛らしい。


 思わず頬が緩む。


「あっ!」


 聞き覚えのある声に顔を上げる。


「あの時の人!」


 配膳をしていた女性が、嬉しそうに駆け寄ってきた。


 赤茶色の癖っ毛をポニーテールにまとめ、頬には可愛らしいそばかす。


 元気いっぱいの笑顔がよく似合う、まさに看板娘という雰囲気だった。


「今日こそ、一緒に食事でもどうですか?」


 レンは無言で首を横に振る。


「……あの、私たち、もうこの街を出るので」


「あまり時間も取れなくて」


「そうなんだ……」


 女性は少しだけ肩を落とした。


 けれど、すぐに私へ視線を向ける。


 じぃーーーっと。


 頭の先から足元まで見つめられる。


「……え?」


「二人って、どういう関係なの?」


「恋人?」


「ほえっ!!」


 思わず変な声が出た。


「彼のお父さんとも一緒に旅してるし、どんな関係なの?」


「あ、いや、その……えっと……」


 どう説明したらいいんだろう。


 私が言葉に詰まっていると、


「家族だけど?」


 レンがあっさりと言った。


「…………」


 あまりにも迷いのない一言に、私の思考は止まる。


「そっかぁ~~~~」


 女性は少しだけ口を尖らせた。


「あ~あ、残念!」


 でも、すぐ笑顔に戻る。


「じゃあ、この前のお礼!」


「果物、サービスしちゃうね!」


 そう言って、籠いっぱいの果物をテーブルへ置く。


「あ、ありがとうございます」


 レンが静かに頭を下げる。


 女性は満足そうに笑うと、再び忙しそうに店の中を走っていった。


 ……家族、か。


 レンにとっては、ごく自然な言葉だったのかもしれない。


「ヒカリが、この前言ってたから」


「え?」


 ……そういえば。


『……なんか、家族、みたい』


 そう言ったのは、私だった。


「だから」


 レンはそれだけ言うと、何事もなかったように果物を口へ運ぶ。


 ずっと覚えていてくれたんだ。


 ……なんだ。


 変に意識した私が恥ずかしい。


 別に、家族ってだけで変な意味はないしね。。


 うん。


 ……別に。


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