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星と呼ばれた少女  作者: さかい
地の神国
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第四話 土の匂いのする街


 馬車は草原を進み続ける。


 やがて、街らしきものが見えてきた。


「あれが地の神国の街ですか?」


 私が尋ねると、カグツさんは嬉しそうに頷いた。


「そうそう。地の神王のいる首都ではないんだけどね。」


 街へ近づくにつれて、人の姿が増えていく。


 畑で働く人。


 荷車を引く人。


 行き交う子どもたち。


 みんな穏やかな表情を浮かべていた。


 ふと、街道の脇にある大きな石造りの設備が目に入る。


 丸い石がゆっくりと回るたび、木の筒が規則正しく上下している。


 その先では、水が高い場所へと汲み上げられていた。


「……あれは?」


 見たことのない仕組みだった。


 神力を使っているようには見えない。


 けれど、誰も不思議そうな顔はしていなかった。


「ん?あれか〜。」


 カグツさんが振り返る。


「地の神国で作られた道具だよ。」


「道具?」


「神力で動いているんですか?」


 思わず聞き返す。


 カグツさんは笑って首を横に振った。


「違うよ。」


「この国じゃ、神力だけに頼ってるわけじゃないんだ。」


 私はもう一度、その設備を見つめる。


 石はゆっくりと回り続けている。


 それだけで水を運んでいるなんて、とても信じられなかった。


「どうして動いているんですか?」


「それは、この国の職人に聞いた方が早いな。」


 カグツさんはいたずらっぽく笑う。


「きっと喜んで教えてくれる。」


 街へ入ると、似たような設備があちこちにあった。


 石と木を組み合わせたもの。


 地面に埋め込まれた不思議な装置。


 人々は当たり前のようにそれらを使い、暮らしている。


 神力を使う姿は、ほとんど見かけなかった。


「不思議……」


 思わず呟く。


 今まで旅してきた神国とは、何もかも違う。


 この国には。


 まだ私の知らない力があるのかもしれない。


「さあ。」


 カグツさんが馬車を止める。


「ここからが地の神国さ。」


 私は静かに頷く。


 まだ知らないものが、この国にはたくさんある。


 まだ知らない生き方も、きっと。


 そんな予感がしていた。


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