第二十七話 今日、死んでもらう
魔獣退治に。
カグツさんの突然の閃きに付き合ったり。
色々。
本当に色々あったが。
私たちは商業都市へ到着した。
火の神国でも有数の大きな街らしく。
温泉街とはまた違う熱気に包まれている。
火の神国は山々が多い土地だからだろうか。
空気は少し暖かく。
日差しも他の神国より強く感じた。
街を歩く人たちは。
頭へ布やフードを被り。
袖の短い服で暑さをしのいでいる。
露店。
行商人。
荷車。
活気に満ちた街だった。
「日差し。」
「結構強いですね。」
街を見渡す。
「日傘とか売れそう。」
その瞬間だった。
「面白い話かい?」
カグツさんが身を乗り出した。
しまった。
聞かれていた。
「えっと。」
「晴れの日に使う傘なんですけど……。」
「ほう。」
目がきらきらしている。
完全に興味津々だった。
すると。
ヴァスキさんが静かに口を開く。
「……確かに。」
「需要はありそうですね。」
私は。
じーっ。
と。
ヴァスキさんを見つめた。
「……何ですか?」
「私には。」
「文化がどうとか。」
「なんだかんだ言っていましたよね?」
ヴァスキさんは一瞬だけ言葉に詰まる。
「……もう風の神国では浸透しているので。」
「時間の問題かと。」
「大人って汚い……。」
カグツさんは楽しそうに笑った。
「商売の話はまた今度だな。」
「まずは。」
「協力者のところへ行こうか。」
カグツさんが迷いなく歩き出す。
路地を抜け。
一軒の教会へ辿り着いた。
扉を開けると。
「お待ちしておりました。」
一人の神官が深々と頭を下げた。
年齢は二十代前半くらいだろうか。
落ち着いた雰囲気だけど。
どこか芯の強さも感じる。
「紹介しよう。」
「この街で神官を務めていてね。」
カグツさんは穏やかに笑う。
「火の神国でも、指折りの優秀な神官だ。」
神官さんは照れたように苦笑する。
「買い被りですよ。」
「謙遜は良くないぞ〜。」
ヴァスキさんが真顔で頷いた。
神官さんは困ったように笑うしかない。
カグツさんは本題へ入る。
「一つ頼みがあってね。」
神官さんは表情を引き締める。
「何なりと。」
カグツさんは一呼吸置き。
静かに言った。
「君には。」
「今日。」
「死んでもらう。」
室内が静まり返る。
……え?
神官さんは一瞬だけ目を丸くしたあと。
ふっと笑った。
「相変わらず。」
「突拍子もないことを仰いますね。」
一拍置いて。
神官さんは小さく笑う。
「そういう作戦ですか。」
えぇっ!?
私だけ。
話についていけていなかった。




