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星と呼ばれた少女  作者: さかい
火の神国
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第二十六話 極上の餌


「おはよう!」


 朝から元気な声が響く。


 振り向けば。


 いつも通りの笑顔。


「皆。」


「よく眠れたかい?」


 カグツさんは大きく伸びをした。


「私は、すっきりしているよ。」


 朝から元気溌剌。


 昨日あれだけ重たい話をした人とは思えない。


 ……結局。


 何一つ解決はしていないのだ。


 犯人も。


 目的も。


 まだ何も分かっていない。


 カグツさんは地図を広げる。


「まずはあの犯人たちについてなんだけど。」


「こちらから仕掛けようかと思うんだ。」


 ヴァスキさんが静かに尋ねる。


「どうなさるおつもりで?」


「今まで狙われたのは、火葬前の死者の身体。」


「だったら。」


「こちらで用意すればいい。」


 私は思わず目を丸くした。


「え?」


 カグツさんは悪戯っぽく笑う。


「向こうが。」


「思わず動きたくなるような。」


「極上の餌を。」


 ……その笑顔。


 どちらが悪者なんだろう。


 ……まぁ。


 かっこいいからいいけど。


 カグツさんは地図の一点を指差した。


「なので。」


「次の目的地はここ。」


「比較的大きな商業都市だ。」


「ここで。」


「餌を調達するよ。」


 餌。


 ……その言い方は。


 どうなんだろう。


「詳細は。」


「協力者に会ってから説明することにするよ。」


「楽しみにしててくれ。」


 楽しみって。


 そんな笑顔で言われても。


 絶対。


 嫌な予感しかしない。


 ……うん。


 きっと。


 カグツさんの周りで働く人たちは。


 毎日大変なんだろうな。


 それでも。


 付いて行きたくなってしまう。


 そんな不思議な魅力がある。


 やっぱり。


 推せる人だった。


 ◇◇◇


 移動は、再び街道を少し外れることになった。


 再びのサファリ。


 ……いや。


 ジュラシックパークである。


 相変わらず巨大な魔獣たちが悠々と歩いている。


 何度見ても慣れない。


 そういえば。


 レンが生まれながらに神王だった。


 そんな衝撃的な話を聞いたはずなのに。


 当の本人は。


 何一つ変わっていなかった。


 いつも通り。


 淡々としている。


 ……あれ?


 私、聞き間違えたのかな。


 そう思ってしまうくらい。


 通常運転である。


 ……それにしても。


 私ってば。


 風、水、火。


 三つの神国の頂点に立つ方々と知り合いになるだなんて。


 改めて考えると。


 すごいことなんだよね。


 ……実感は、あまりないけど。


 ふと隣を見る。


 相変わらず。


 眩しい。


 神々しいヴェル様が隣におわす。


「ヴェル様は、参戦しないんですか?」


 ヴェル様は視線だけ前方へ向けたまま答える。


「ヴァスキがいれば。」


「十分だからな。」


 すると。


 カグツさんが楽しそうに笑った。


「いやぁ。」


「見たいよね?」


「風の神王の剣術。」


「ちょっと狩ってみてきなよ〜。」


 ヴェル様は即答する。


「……結構です。」


 少し困ったような表情に、思わず笑ってしまった。


 前では。


 ヴァスキさんとレンが大きな魔獣を次々と倒していく。


 その横で。


 カグツさんは楽しそうに眺めているだけ。


 ヴェル様は苦笑しながら歩く。


 ……うん。


 なんだか。


 賑やかだなぁ。


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