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ウサギが異世界デスゲームをクリアする方法  作者: 山田野オロチ
獣の支配者

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1-3 チュートリアル

「先ほども殺したじゃないですかぁ~。それに、システムのアナウンスを感じたでしょぉ~?」


…殺して獲得したスキルだとは思いたくなかった。

思いたくなかったけど、そうか、そうだよね。

だってこのスキルは【強欲な殺戮(グリーディキリング)】

思いっきり殺戮って書いてあるし。


「スキルの発動条件は、対象の命を意識的に奪うこと。例えば普段の食事で生きたままの生物を食べてもスキルは得られませんが、それを殺す、という意識を持って食事を行えばその生き物の保有していたスキルを全て獲得できますぅ~。」


全て、か。

だからさっきの蝶を殺しただけで、一気に三つもスキルが手に入ったのか。

スキルの獲得に条件は?


「得ることに関しては無条件ですぅ~。現にあなたの種族は飛べない種族なのに飛行のスキルを獲得できてますからぁ~。奪ったスキルをすでに保有していた場合はそのスキルのレベルが上がりますぅ~。」


なるほど。

じゃあ魚をたくさん倒せば泳いだり水中で呼吸したりするスキルが手に入るってことか。

時間はかかるけど、それなら確実に生存率を上げられそう。


「時間をかける必要なんて無いですよぉ~。効率よくスキルを獲得したほうが、より生存率は上がりますからぁ~。」


それはそうかもだけど、とは言え獲得できるスキルなんておおよその検討をつける以外にどうやって分かるのって感じだし。


「あるじゃないですかぁ~。十中八九生存に直結する強力なスキルがぁ~。」


…?

飛行とか遊泳とか習得できれば十分強力だけど、それも時間がかかるって話を…


「ありますよぉ~。時間をかけなくていい、レベルという概念が存在しない強力なスキル。さっき説明したじゃないですかぁ~。」


あー、ユニークジャンルってスキル?

それって野生で生きてる動物でも持ってるものなの?

強めの動物とかだったら持ってるかな?


「それはお答えできませんが、この世界には最低でも523個はユニークジャンルが存在しますよぉ~。」


………

その嫌に具体的な数字に、私の思考が止まる。

さっき説明された、この体にとっては半年前の記憶。

この世界に転生させられた、私以外の、転生者。

…あんたの言ってたゲームって…こういうことか…!


「お気づきになりましたかぁ~。そう、これはデスゲーム。より強いスキルを手に入れる最速の方法は、あなた以外の転生者を殺すこと…殺して、奪うことですぅ~。」


…強欲な殺戮は、殺した相手のスキルを無条件で全て回収できる。


「はいぃ~。ですから転生者を殺せばその人が持っているスキルを、転生の特典であるユニークジャンルのスキル《《ごと》》獲得できますぅ~。」


つまり、生き残るための最適解は、ほかの転生者を…元顔見知りを殺すこと…


「…人間は己の欲望に正直な生き物です。普段は理性で覆っていますが、その内側には人によっては膨大な欲望を隠している。」


その声は先ほどまでの甘ったるい声ではない。

声色は変わっていないのに、耳が聞き慣れないほどに、淡々とした声だった。


「私はそんな人たちが欲望のままに他者を喰らうところが見たい…!喰らい喰らわれ喰らい喰らわれ…その先に立つ、真の欲望の支配者を、強欲な殺戮者を見たい…!!!」


…いかれてる…!


「…いかれてなきゃ、クリエイティブな発想は生まれませんよぉ~。」


けろっとしてまた元の喋り方にディレクターは戻った。


「…それでは、チュートリアルは以上になりますぅ~。あなたの思うがままに、あなたの欲望のままに、良き殺戮をぉ~。」


短く言い残して、その砂嵐の姿は消えていった。

草むらで一人になった私の脳内には、スキルによって表示される残酷な生存戦略の一つが私の行動を見ているように残っていた。

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