73. 共通点
「やっぱり、自分の屋敷が一番だな」
俺は今、自分の屋敷でクラウスの紅茶を飲んでいる。
「無事に終わり何よりでした」
クラウスの紅茶をゆっくりと一口飲む。
疲れた体に染み渡る……
「中々良い味だな」
「で、なんで俺達がここに呼ばれたんすか?」
俺の目の前にはクラウスから紅茶を受け取りながら、疑問を口にするシモンと、我が物顔で寛いで座っているアグニがいる。
「ああ、それはなシモンは俺のモノになったんだ」
俺はニヤリとして、シモンに言ってみる
「え、俺聞いてないっすよ……」
「言ってないからな」
「頭は?」
「好きにしろ」
「俺……頭に売られちゃってる?」
「初めて見た時からいいと思っていたんだ。どうだ俺のモノになった感想は」
「!俺ってもしかして貞操の危機!」
シモンが自分の体を両手で抱きしめて、身を捩る。
「まあ、冗談はその辺にして、シモンには暫くうちにいてもらう事になったのは本当だ」
「……無駄に顔が良いから、冗談でもその顔で言われると少しドキドキするっすね」
「……俺にそっちの気はない」
「でも、ちょっと噂あるっすよ。最近年下の少年といちゃついてるって。俺も見たっす」
「リベルは年下じゃないし、そういう中じゃない」
「マジっすか……どう見ても10代にしか見えなかった……」
「……」
俺は咳払いをして話を戻す。
「で、シモンがここにいてもらう理由だが、先日子供達を取り戻した事で、向こうの動きが分かってないからな、また呼ばれる可能性がある。それにまた子供達が新たに攫われないとも限らないからな、シモンにはアグニとの連絡役をかねてもらう」
「まあ、良い経験になるんじゃねえか?良いもんも食えるんだ」
「そうっすけど……」
「先日救出した子供達はこちら側で預かる、暫く表に出るのは我慢してもらうしかないな……ほとんどは孤児や貧しい家の出が多かったが、攫われても騒ぎになりにくい子供を選んでいたんだろう」
「ミリーもっすか?」
「しょうがねえな……奴らにまた見つかるのを防ぐためだ」
「早めに解決したいところだが、まだ敵の全容が分かってないからな。アグニ達も何かわかったら教えてくれると助かる」
「しょうがねえ、暫くは手を組んでやる」
「そう言えば、あの子供達……共通点があったみたいだな」
「共通点?」
「皆、魔力が高い方みたいだな、敵がどうやって知ったのかは分からないが」
「基本的に魔力を測るのは、貴族や裕福なところなんだが、教会やギルドなんかでも一応測れるな」
「アグニが保護していたミリーという子はどうなんだ?どっかで測った事あるのか?」
アグニは腕を組んで少し考え始めたが、いまいち思い当たらなかったのだろう
「いや、どっかで測ったとは聞いてねえが、シモンは聞いてるか?」
「え、うーん……なんか前にそんな事があったような〜なかったような〜」
ガンッ
「イテっ!何するんすか!」
「はっきりしねえからだ」
「だからって蹴る事ないじゃないですか」
「そんなに酷くしてねえだろうが、でどうなんだ、思い出したのか」
「うーん……あ!測定したわけじゃなかったらしいですけど、前に教会に子供達が行った時、なんかの玉に触って怒られたって言ってたっす、それで触った時にミリーが一番光ってたって、だから玉に触ったのが見つかって怒られたとかなんとか……」
「「それだな」」
「狙ったのは測定した事がある子供で、なんらかの方法で知ったか……」
「もしくは教会が絡んでるか……」
「まあ、全部の教会がそうとは限らないだろうが、ミリーが行った教会を調べてみればわかるんじゃねえか?」
俺達は顔を見合わせて頷き合った。
「教会はこっちで調べてみる。ミリーだったか、いつでも会えるように話を通しておくから、会いに行ってやってくれ」
「ああ」
「余計なお世話かも知れないが、里親を探す事も出来るぞ……」
「……ミリーが決める事だ」
「分かった」
アグニが帰ると、シモンが真剣な雰囲気で話しかけてくる。
「本当は俺達も分かってるっす……ちゃんとした家がある方が良いって。でも中には親に捨てられた子もいるっす。そんな子は大人を信用しないんっす」
「アグニやシモンは信用してもらってるじゃないか」
「俺達は似たような境遇だからっすよ」
「……そうか」
「でも、ミリーはその辺まだ大丈夫だと思うっす。花屋の手伝いとかやってたんで、馴染むの早いと思うっすよ!」
「分かった。落ち着いたら本人と話し合ってみよう」
「よろしくお願いします」
いつもどこか飄々としているのに、珍しく真剣な顔でシモンが頼んできた。
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