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攻略知識が役に立たない世界でした〜悪役貴族に転生した俺は、変態体質と死亡グラフを無くしたい〜  作者: 洸夜 真琥
第三章 動き出す影

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68. 目覚めと手掛かり

花を持ち帰って三日ほど経った。

執務室で仕事をしているところへ、クラウスがノアからの連絡を届けにきた。俺はクラウスと共に研究所へ急いだ。


「ノア!出来たのか!?」

「煩い……出来ている」


大きな声で部屋に入った俺にノアが片耳に指を突っ込んで文句を言ってきた。

確かに寝る間も惜しんで取り掛かってくれたんだろう、いつも以上に顔色が酷い……

ノアの片手にはあの花で作ったアイテムとして使う魔力回復薬が握られていた。


「悪いつい……それですぐに使えるのか?」

「ああ、準備は出来ている。少女を向こうに寝かせろ」


俺は別室に寝ていた少女を抱えると、ノアに言われた場所へ少女をそっと寝かせる。

今は目を閉じて眠っている。

次に目覚めた時は笑顔を見れるだろうか……

俺とノア、クラウスに手伝いの研究員で少女を囲む。


「アイテムを飲ませるのと同時に魔石を取り除く」

「俺が出来る事は?」

「魔力を回復し続けるのは1時間だ、しかし少女の魔力の減りが、アイテムの回復を上回る場合はさらに魔力を送る人間が必要だ……。人に魔力を渡すのはかなり繊細な調整が必要だが、アルディスの魔法制御の精度なら可能性がある」

「……分かった」

「では行くぞ」


俺達は頷き合うと、研究員が回復薬を飲ませた。

すると、少女の体が淡く光り始める。


「開始」


それからは、ノアと研究員が少しずつ埋め込まれた魔石を解析しながら取り外していくのを、黙って見ているしかなかった。

時折、苦しそうな声を上げる少女の手を握り、聞こえていないだろうが、励ましの言葉をかける。


「後、少しだ」


もう少しで終わる!

そう思った瞬間、魔石が赤く光り少女から一気に魔力を吸い始めた。


「いかん!回復速度を上回って、魔力を吸い上げ始めた!アルディス!」

「分かった!」


俺は急いで少女に魔力を送ろうとするが、魔石の力が邪魔をして、少女だけに上手く魔力を送れない。


「クソッ!魔力が魔石に持っていかれて、この子に送れない!」

「!……アルディスお前の魔力はかなり多いと言ったな」

「ああ!」

「では魔石に直接注げ!魔石の魔力を満たせば少女から魔力を吸い上げるのが弱まるはずだ」

「そうか!分かった!」


俺は全力で魔石に魔力を流し込んだ。

暫くすると、魔石の光が弱まっていき回復薬の効果が効き始めた。

その隙に、ノアが魔石を少女から取り外す事に成功した。


「成功だ……」


俺は魔石に魔力を大量に送った事で、フラついたところをクラウスが横から支えてくれる。


「このまま暫くゆっくりと回復させれば、数時間後には目が覚めるだろう、それまで休んでいるといい」

「ああ、ありがとう、そうさせてもらう。ノア達も休んでくれ」


ノアが頷き、研究員がこちらに礼をするのを見て、俺はクラウスに研究室のソファに座らせてもらった。


「アルディス様大丈夫ですか?今は、魔力回復薬をお持ちします」

「ああ」


重くなった体をソファに預けていると、すぐにクラウスが回復薬を持ってきた。


「これ余り好きな味じゃないんだがな、飲み終わったらクラウスの紅茶が飲みたい」

「かしこまりました」



クラウスの紅茶をゆっくりと飲んでいると、ノアも俺の前のソファに腰をかけた。

クラウスがノアにも紅茶を差し出す。


「……」

「……成功して良かったな」

「最後の魔石の反応、アルディスがいなければ成功しなかっただろう」

「他で外そうとすると、魔力全部持っていかれて終わりって事か……」

「ああ」

「こんなのが何人もいたら堪らないな」

「……」


一刻も早く突き止めなければ……


魔力が回復した俺は、一旦屋敷へ帰り数時間後に再度研究所へ来た。

そろそろ少女も目覚めた頃だろう……


「ノア、どうだ様子は」

「ああ、目覚めている」


俺は別室の少女のところへ向かった。

中へ入ると、メイドがこちらへ礼をしてくる。


「どうだ」

「まだ少しぼんやりとされていて、知らない場所に不安がある様です。まだ言葉は話されておりません」


メイドから様子を聞き、俺は少女を怖がらせない様にゆっくりと歩み寄り、なるべく優しく声をかけた。


「具合は悪くないか?」

「……」


少女はシーツを抱きしめて恐る恐るこちらを見ている。


「君が悪い人に捕まっていたから、助けたんだ。出来たら家にも帰してあげたいんだが、話は出来るか?」

「……私……助かったの?」

「ああ、ここは安全だ。もう君に何かする人はいないから安心して良い」

「悪い人いない?……痛い事ない?」

「ああ」

「う……うっ……うわーん、私、怖かった……痛かったの!ママ〜っ!」


少女が泣き始めたので、俺はゆっくり抱きしめて背中を優しく撫でる。

暫く泣き続けて、落ち着いたのか嗚咽が止んできたのでもう一度話しかけてみる。


「名前はなんて言うんだ?」

「エマ」

「エマか、俺はアルディスって言うんだ。エマが住んでいたところの名前は分かるか??」

「えっとね、アルデリアって言う名前」

「アルデリア……。捕まった時のこと覚えてるか?」

「うーん、外でかくれんぼしてたら急に真っ暗になって、気づいたら狭いお部屋にいた」

「部屋の中に誰かいた?」

「何人か私くらいの子と、もう少し大きな子もいたよ。みんな帰りたいって泣いてた……」

「そうか、どこに連れていかれたか分かるか?」

「わかんない……」

「だろうな」

「でも部屋移る時、お外少しだけ見えたよ」

「!何が見えた?」

「近くは木がいっぱい生えてて、遠くに塔みたいな長いの見えた。後はわかんない……」

「塔……そうかありがとう。必ず家に返すから、今はゆっくり休んでくれ、食事も美味しいものをたくさん用意するからな」

「ほんと!」

「ああ。用があったら、あそこのお姉さんに言ってくれれば良いからな、後エマの体調を見てくれるお医者さんみたいな人男の人が部屋の外にいるから、何があれば伝えてくれ」

「わかった」


今聞いた事を調べてみないとな、俺は屋敷へ戻った。

よろしければ是非、ブックマーク、評価をお願いいたします!


他にも、猫の世界に迷い込む話しなどを投稿しておりますので、ちらも読んで頂ければ幸いです♪


感想も頂ければ幸いです。

これからもどうぞ宜しくお願いします。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

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