65. 洞窟のヌシ
「そろそろ、この洞窟の最奥に辿り着きそうだな」
俺達が進む先が、仄かに明るくなっているのが見えてきた。
そのまま歩みを進めると、そこには広い空間の真ん中に巨大な紫色の蛇が渦を巻いて眠っている。
その蛇の後ろには天井の小さな隙間から漏れる光を浴びて、うっすらと輝く花が一面に咲いていた。
「アレが探していた花だな」
「出来れば花だけ取って帰りたいが……」
「簡単に通しちゃくれなさそうだな」
俺達の声に気づいたのか巨大な蛇が頭を起こし、目を開けてこっちを見てきた。
どう考えても、あいつを倒さずに花だけ持って帰れるとは思えない。
シャーッ!!!
その大きな口を開けてこちらを威嚇してくる。
「全員戦闘態勢に入れ!」
俺達は武器を手に、蛇を取り囲んだ。
蛇は俺達を敵と認識したのだろう。こっちへ向かって来て、その大きな口で飲み込もうとしてくる。
それを避けながら剣や魔法を蛇に当てて行くが、鱗が硬く中々致命傷が与えられない。
「アグニ!そっちはどうだ!」
「鱗が硬すぎる!」
ギャーッ
「「!」」
そんな会話をしていると、エヴァンの攻撃が蛇の目に当たり片目を潰すことが出来たようだ。
しかし、片目を潰された事で、蛇はますます凶暴になり、暴れてまくる。
「気をつけろ!」
「分かってる!」
アグニ達が、蛇が尻尾で薙ぎ払ってくるのを避けるのを、横目で捉える。
「多分外側の鱗は硬いんだろう!狙い目は、腹側や目や口の中だな!」
「口の中なんてどうやって攻撃すんだよ!俺に食われろってか!」
「今考える!もう少し頑張ってくれ!」
蛇の柔らかい場所を攻撃する為には、やはり口の中を狙うのがいいだろうな。
「俺が蛇の口に魔法を当てる!口を開けさせろ!」
俺がそう言うと、それぞれ武器を構え直す。
「おいクソ蛇!俺を食ってみやがれ!」
アグニが蛇を挑発すると、蛇はアグニの方を向きその口を大きく開けて襲いかかる。
アグニが剣で受け止めて、そのまま口を開けさせると、俺は魔法を発動させた。
「アグニ!」
俺は掛け声と同時に火球を放つと、当たる寸前にアグニは横に飛び退いた。
火球は見事蛇の口の中を焼いたようだ。蛇は魔法の衝撃と痛さで、その巨大な体を立ち上がらせた拍子に、天井にぶつかり、地面に倒れ込む。
「今だ!」
俺達は倒れた事で、露わになった蛇の腹へ攻撃を仕掛けると、今度は攻撃もしっかりと入りやがて蛇は動かなくなった。
「ふぅ……」
「手こずらせてくれたな」
「アルディス様、こちらの蛇回収は如何しますか?」
「そうだな、鱗と牙を持ち帰ろう。アグニの方も牙を半分と鱗を持ち帰るといい、どちらも装備や武器になるし、売ればかなりの金額になるだろう」
「そうか、なら有り難く貰っておく」
アグニが、タルクに指示を出し素材の回収に向かわせる。
「後は、あの花だな。10本ほどあれば十分だろう」
「足りるのかよ」
「一つの花で2つ作れるはずだ。足りなければまた、取りにくれば良い」
「あ?またあの道通るのかよ」
「まあ、今回で道と罠の仕掛けはわかったから、今日よりは来やすいが、それよりもっと良い方法があるぞ」
「良い方法?そんなもんあんのかよ」
俺が天井を指差すと、アグニ達も上を見る。
そこには、さっきの衝撃で天井の穴が広がり空から月が見えていた。
「あの穴から出るんだよ」
「マジか……」
「せっかくの近道だ利用させてもらおう」
ゲームではボスを倒すと、ワープゲートが現れて入り口に戻るのだが……ここは現実、そんなものは無い。
いや、ちょっと期待はしていたが、一向にそんなものが現れない為、最初は俺も元来た道を戻るのかと思っていたが、現実なら逆に出来る脱出方法があるのではと思ったんだよな。
「しかし、天井まで距離がありますよ?」
「そこはほらこうするんだよ」
俺は土魔法で階段になるように足場をいくつか出した。
ピュ〜ッ
アグニが口笛を吹く
「やるじゃねぇか」
そう言って、足場を軽々と登っていった。その後を、タルクも追いかけて登っていく。
「じゃあ俺たちもいくか!」
「「「はい!」」」
足場を登り外へ出ると丁度小高い山の上に出たようだ。辺りには特に何も無い、さっき登って来た穴があいているだけだ。空もすっかり暗くなっていて、さっき洞窟の中で見上げた時にも見えた、月が浮かんでいた。
「今日はここらで野宿だな。明朝明るくなったら出発しよう」
その後は、野営の準備をクラウスが先導して進めてくれ、食事もクラウスが作ってくれた。
「お前のところのあのクラウスって執事、戦闘もできて、料理もすんのかよ……執事ってみんなああなのか?」
「多分違う……」
「……」
「執事の嗜みでございます」
クラウスも聞こえてたようだ……
「後は帰るだけだな」
「今回は、中々に楽しませてもらった」
「ああ、こっちこそ協力してくれてありがとう」
「フンッ……ミリーの為だ」
「攫われた女の子、ミリーって言うのか……」
「ああ、しっかり者だったんで油断した」
「無事だと良いな……一刻も早く居どころを掴めるよう努力したする」
「ああ、頼んだ」
夜も更けた後、俺達は見張りを交代でしながら眠りについた。
これであの少女も助かれば良いんだが……
よろしければ是非、ブックマーク、評価をお願いいたします!
他にも、投稿しておりますので、ちらも読んで頂ければ幸いです♪
感想も頂ければ幸いです。
これからもどうぞ宜しくお願いします。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです!




