63. 共闘
王都の北の城門を出発して、途中から街道を外れて草原を抜け、浅い川を渡る。そうやって暫く進むと岩場に到着した。
途中ちょっとした魔物は出たが大した事はなく、イーサンやエヴァン、アグニが連れて来た盗賊がサクッと倒してしまった。
「さてここから先は馬は置いていくしかないな」
「足場が悪いので少々動きづらいですね」
「岩場を抜ければ森に入る。休憩を取るなら、森の手前だな。アグニ達もそれでいいか?」
「ああ、問題ない」
馬から荷物を下ろすと、また進み始める。
ゲームをしている時は荷物は勝手にストレージに入っていたが、この世界では普通に持ち歩かないといけないから面倒だな……
魔法があるんだから多少なりとも、マジックバック的なものが作れないか、今度ノアと研究してみよう。
岩山を進むと、先ほどまでとは違う魔物が出て来る。
この辺りは岩トカゲという魔物が多いようだ。
すばしっこく、こちらを攻撃した後すぐに岩の間にすぐに隠れてしまうので地味に面倒くさいし、岩に擬態しているのでよく見なければ分かりづらい。
たまに変異種がいて、そいつは体の色が赤く火を吐いて来る。
岩トカゲの相手をしつつ、歩みを進めていくとやっと岩場が終わり、森の手前まで来た。
「少しここで休憩をとろう、それとこの先と洞窟についても分かっている事を伝える」
俺が声をかけると、それぞれ休憩の準備に入る。
今回は流石にクラウスもテーブルセットは出してこないようだな。
水を飲んだ後、俺はアグニの方へ行き、昨日調べて分かった事と、俺がアレから思い出した攻略知識を話す。
「この先の森だが、少し厄介な猿型の魔物が出る。単体の強さは特に問題ないが集団で出来てくる上に、知恵が働く」
「猿型は面倒だからな」
「ああ、避けて通りたい所だが、この森の左側は底なしの沼地で、右側は毒持ちの魔物が出るみたいでな、一番マシなのが猿のところだな」
「まあ猿は群れのリーダーを倒せば、他は逃げていく」
「そしての森の最奥に洞窟があるんだが、洞窟の事はあまりよく分かっていない。罠がある事、後は洞窟の最奥にでる魔物なんだが蛇型の魔物で、その魔物の巣の周りに花が咲いているはずだ」
「手に入れるためには絶対戦う必要があるってわけか」
「ああ、必ずいるってわけじゃないらしいが、まあいるだろうな」
「そういう引きの強さは俺もアンタも強そうだからな」
「嬉しくはないがな」
「もう暫くしたら出発しよう」
「ああ」
説明を終えると、ほかのメンバーも聞いたいたようで、軽く荷物を確認してから俺達は森へ向けて出発した。
森の中はほぼジャングルになっており、草木が鬱蒼と茂っている。
あちこちから虫や動物の声が聞こえて来る。
こんなところに来るなんて、転生前では考えられない事だ。
暫く歩くと、猿の声のようなものが周りの音に混じって聞こえるようになった。
俺はみんなに合図を出して、いつでも戦闘出来るようにして少しずつ歩みを進めていく。
「アルディス様あちらに」
クラウスの声で、立ち止まって前方に目をやると、一匹の茶色い猿がいる。
「一匹だけですね」
「いや、多分あれは囮だろう。あれを攻撃に出た隙に周りから攻撃を仕掛けるつもりなんだろう」
俺は囲まれてしまうのを防ぐために、アグニに目線で合図を送ると、アグニも理解したようで、仲間の男と少し離れる。
それを見て、俺はあえて一人で猿の方へ向かい攻撃を仕掛ける。するとやはり周りから一斉に猿達が飛び出して来たので、それを離れていた面々が外側から攻撃していく。
勿論中心にいる俺も攻撃を入れていく。
半数ほど猿を減らしたところで、周りの猿よりも二回りほど大きな黒い猿が出て来た。
「ボスのお出ましだな。しかし、アレは猿というよりもはやゴリラだろう」
「アルディス様!」
イーサンとエヴァンがこちらに来ようとするが、周りの猿達が行く手を阻む。
動きが早いので、翻弄されているようだ。
「ボスの相手は俺がするしか無いようだな」
そう思ってボス猿に向き合った瞬間、ザッと上から飛び込んで来て俺の横に並ぶ人影が視界に入る。
「小猿じゃ物足りなかったか?」
「こっちの方が面白そうだったからな」
言い終わると同時に俺達は走り出すと、ボス猿も俺達に向かって突進して来る。
何も合図は出さなくても、お互いが邪魔になることはない。むしろ即席の共闘でかなり良く出来ていると思う動きだ。
俺が剣を振り下ろすと、ボス猿が腕で受け止める。
ボス猿の腕は鉄甲を付けているかのようにそこだけ硬く剣を通さない。
ボス猿が俺に集中している隙を狙ってアグニが横から斬り込む。
ボス猿がそれを避けると、今度は俺が懐へ入り込む。
「中々やるな」
「そっちこそな」
暫くしてボス猿が大声を出すと、猿達は一斉に森の中へ逃げていった。
「仕留めなくて良かったんですか?」
イーサンが近づいて来て、質問する。
「アイツらの数は多いし、無理だとボスが判断した獲物はよほどじゃ無いと次は襲わない。倒してしまうと、次のボスが生まらるから、また仕掛けられると面倒だからな」
「なるほど」
「さあ、もうすぐ洞窟に着くぞ」
「はい」
俺達はまた洞窟に向かって歩き出した。
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