57. 協力者
「あの時の……」
「あん時も、変わった貴族だと思ったが、こうして俺を訪ねて来るとはな」
あの時も思ったが、赤い髪が特徴的でどこか雰囲気がある男だと思ったが……。
今はその金色の瞳も、狩りをする獲物を見定めるようにギラりとこちらを見据えている。
「ちょっと聞きたいことがあってな。多分そっちにも関係ありそうな事だ」
「回りくどいやり取りは無しだ、さっさと話せ」
「ああ、そっちは保護していた子供を探してるんだろう?俺はとある村の少女を探しているんだ。どうやら同じ組織の人間が関わっているようなんだが…そっちはどこまでつかんでいる?」
「……こっちの情報を話して、俺達に何がある」
「手を組みたい」
男の仲間たちがそれぞれ、驚きの表情をしてくる。中には興味なさそうなやつもいるが……
「フッ……やはり変わってるな、貴族のくせに俺達と手を組みたいとはな。裏切らない保証はあるのかよ」
「……保障するものは何もない。あんたの見る目だけだな」
「ハハッ!こりゃいい!金を積むとでも言えば無事で帰れなかっただろうな!」
「あんたは、そんなもんじゃ動かないだろう」
「良いぜ、無事にあいつを連れ帰れるんなら、手を組んでやる。俺はアグニ、こいつらの頭をやってる」
「よろしく。俺は、アルディスだ」
さっきまでピリピリしていた感じが一気に解ける。
「で、そっちはどうなんだ」
「それぞれいなくなった場所は違うが、怪しい人物が周辺をうろついていた。その人物達は、隣国に入っている事は確認できている」
「ああ、俺の方も大体一緒だな」
「俺は元々違う事件を追っていたんだが、どうもそっちと繋がっていそうでな……」
「何を追っていたんだ?」
「貴族の間に怪しげな薬が出回っているのは知っているか?」
「ああ、知っている。俺達には直接関係が無かったからほっておいたが……」
「そっちも隣国の商人が関わっているようでな。しかし隣国を探るのは限界がある。行き詰ってたところにこっちの話を聞いたもんでな」
「確かに、隣国になると俺達も情報が薄くなる。何度か探りに行かせてたが、はっきりと行先が分かってねぇ……」
「そうか、一つ作戦があるんだがそれに乗らないか?」
「なんだ?」
「以前、薬を広めている夜会で声をかけられてな、特別な招待状を貰った」
「へぇ……」
アグニが俺の考えが分かったんだろう、ニヤリと笑う。
「俺が潜入して、子供達の居場所を突き止める。アグニ達には救出をしてもらいたい。盗むのはお手の物だろう」
「中々言うじゃねぇか!そこまでお膳立てされて、盗めないなんて盗賊の名が廃るぜ!」
「じゃあ、潜入後また連絡する」
「ああ、期待して待っている。せいぜいヘマはするなよ」
俺は片手を上げて答えると建物を出た。
しばらく歩いたところで、イーサンが話しかけてくる。
「アルディス様。信用しても大丈夫なのですか?」
「ああ、しっかりと話したのは2回目だが、今日話してアグニは大丈夫だと思った」
「アルディス様がそう言われるなら……」
「アルディス様信じる」
俺は屋敷に帰り、さっきまでの事をクラウスに話した。
「はぁ……出来れば、本当にアルディス様には領地の仕事だけをして欲しいのですが。こうなった以上は潜入の為に、万全を尽くしましょう」
「……何をするつもりだ?」
「少しでもリスクを減らすために、アルディス様と分からないように変装致しましょう」
「変装……」
「髪の色、声など何なら顔も変えれる魔道具を用意します」
「あるのか?」
「作ります。……念のためノア様にも声をかけましょう」
そう言って、クラウスは部屋を出ていった。
ノア……すまんな。
いや、ノアなら楽しんで作るか?
潜入の為の準備が出来るまで、他の仕事を片付けるか。
ああ、そろそろリベルの休みの日も近いな……
俺はリベルに手紙で、次の休みの日に会う約束を取り付けることにした。
リベルーー
アルディス様から手紙が来た。
今度の休みにまた会って話をしたいって……
「アルディス様と会った時に、ちゃんと話が出来るように、もう一度あの魔導書を読んでおこうかな……」
ベットサイドに置いていた、本を手に取りそっと表紙をなでる。
「早く会いたいな……」




