第五十三話 再び王都へ
昨日領地を見てまわった後から、ずっと考えている事がある。
領地がある程度落ち着いた今、一度王都へ戻るかどうかだ。
…いや、心はもう決まっているのかもしれない。
リベルとも早く戻ると約束した…
きっとリベルの事だから、あの魔導書や遺跡の本も全部読み終わって、俺を待ってくれているんだろうな。
こちらに来てからも、いくつか面白そうな本を手に入れた。
そう言えば、遺跡の調査の許可も降りたんだったな。
後は日程を決めれば、いつでも行ける。
俺は、王都に行く為の理由をいくつか思い浮かべてから、クラウスを呼んだ。
「アルディス様、如何されましたか?」
「クラウス、俺は王都へ行こうと思う…」
「…かしこまりました」
「何も言わないのか?」
「そろそろ、その話が出ると思っておりました」
「そうか、薬は王都で主にばら撒かれていたし、魔導書や遺跡の方もリベルから聞かなければならないしな」
「冬になれば、雪で出発が出来ません。そうなる前に立たれた方が良いかと」
「そうだな、出発は四日後。準備は任せる」
「かしこまりました」
俺は三日間で、領地でしか出来ない仕事を済ませて、主な処に顔を出して回った。
途中で、子供達に会い、暫くまた王都へ行く事を告げると、残念そうにされて、早く戻ってくるようにと念を押された。
後はノアか、多分一緒に戻るだろうが、一応声をかけると、やはり一緒に王都へ行くと返事が来た。
ノアの事だから、置いて行っても、何かあればどんな事をしてでも来そうだな。
そうこうしているうちに、出発の日になった。
用意された馬車が玄関前につけられてる。側にはイーサンとエヴァンが馬を引いて立っていた。
「2人とも一緒に行くのか?」
「当たり前ですよ!俺達アルディス様の専属護衛なんですから」
「…ずっと、一緒です」
「そうだな、王都でもよろしく頼む」
「「はい」」
「後は、騎士団は今回領地に多めに残していく事にしてあったな、副団長に領地で指揮を取ってもらう。セラン、領地の守りをよろしく頼む」
「はい。お任せ下さい」
「では、出発しようか」
俺が馬車に乗り込むと、馬車は王都へ向けて走り出した。
馬車の中で、王都の現在の様子を改めてクラウスから説明してもらう。
「現在、王都ではオフシーズンに入っている為、夜会などは殆ど開かれておらず、薬の広まりは以前よりも緩やかなようです。ただ、王都に残っている貴族の中で、例の商人と接触しているようですね」
「これ以上薬が広まらないようにしたいが…何か手は…!そう言えば…あの夜会でノアールと名乗る仮面の男から招待状を貰っていたな…あれを使って向こうに潜入してみるのも良いかもしれない」
「潜入ですか…かなり危険が伴うのでは?」
「だが、敵を知る為の一番の近道だろう」
「確かにそうですが…」
「一度、招待状に書いてある主催者へ連絡を取ってみる。もちろん俺の名前は出さずに」
「わかりました。そろそろ隣国へ調査に行った者からも報告が来るでしょうから、その報告を先に聞いてから動いた方が良いかと」
「ああ、そうだな」
俺達は、王都でやる事の打ち合わせをしながら、数日を過ごした。
出発から五日後――
王都に着いた俺は、屋敷を見上げていた。
「たった数ヶ月領地にいただけだったのに、長く離れていたように感じるな」
「まずは旅の疲れを取るために、お部屋で休まれて下さい」
クラウスが、屋敷の玄関を開けると、見慣れていた顔が一斉に出迎えてくれた。
「「「アルディス様、お帰りなさませ」」」
「ああ、ただいま。またよろしく頼む」
旅の汚れを風呂で落とし、夕食を取ればやはり疲れていたのか、いつもより早めに眠くなる。
今日はもう寝るか…
翌朝。目が覚める直前に夢の中で誰かが、会いたがっているような気がした…
起きた時に、ほんの少しだけ違和感を感じたが、疲れていたから変な夢でも見たのだろうと、この時は思っていた…
今日は、王都に居る友人達に会いに行く予定だ。
ギル、リベル…元気だろうか。
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