第四十四話 新たなる備え
あれから屋敷に戻って、ノアに約束通り、俺とフォルスの加護について話しをしたり、川で使った俺の魔法を改めて見せたりした。
ノアがこっちに来た目的の、サンショウウオの魔石は属性がちょっと特殊だったのでノアがやる気を出して、今、魔道具として開発中だ。
川では、クラウスとエヴァンに止められてほとんど質問出来なかったからな…やっと全て聞けて満足そうだったな…。
そして、今俺は手元に置いてある、あの日の帰りにフォルスから渡されたアミュレットを前に考えていた。
この、アミュレット自体はノアや研究者に見せても、これと言って特殊なものでは無かった。守護の魔法がそれもごくわずかな気休め程度がかけてあるくらいだった。
ただ形が特徴的で、何処かの村や民族のものでは無いかとの事だった。今はそれを探してもらっているところだ。
「しかし、まだ領地に来て一ヶ月くらいなのに結構色々起こってる気がするんだが、思い出しても、息を吐く暇がないとはこの事か…。元々のゲーム設定からズレているものもある。この領地で、しかも魔物が薬の影響で凶暴化するなんて、そもそも無かったことだ…。やはりあの薬を広めている者の正体を突き止めるのが答えに近づきそうだな…後おれにできるのは…薬なら解毒薬みたいなの作れないか?」
俺は急いでクラウスを呼び出した。
「失礼します。アルディス様、お呼びでしょうか」
「なぁ、クラウス俺が手に入れたあの薬、今までは中の成分と出所を調べていたが、無効にする薬って作れないだろうか?」
「無効にする薬でございますか…確かに、それがあれば例え薬を飲んでしまった者がいても対処できますね」
「とりあえずは完全に無効化出来なくても、効果を弱めるとかを作っておきたい」
「分かりました、研究者に伝えておきます」
「よろしく頼む」
「アルディス様、別件となりますが、もう暫くすれば収穫祭が行われます。今年はアルディス様もいらっしゃるので、いつもより賑やかになるかと思います。セシリア様をお呼びされても良いのでは無いでしょうか?」
「収穫祭か、そうだったな…いつもは王都で過ごしているから、ほとんど参加していなかったんだよな…よし!セシリアを誘おう。今から手紙を出しておけば、十分に準備に間に合うだろう」
「祭りの予算は如何されますか?」
「前のアルディスの事だ、あまり出してなかったんだろう?今年は、しっかりと祭りが行われる様に予算を出してくれ」
「かしこまりました」
クラウスがは部屋を出た後、俺はセシリアに手紙を書いた。暫く会ってないが、元気にしているだろうか…。
それに、王都の皆んなも元気だろか…
こっちに来てから忙しくて、あまり考える暇がなかったが、王都へ行った時にせめて堂々としていられる様に頑張ろう。
???サイド――
「!っはぁはぁ…また…」
ベッドから身体を起こすと、服に汗をかいていた。
枕元に置いていた本をそっとサイドテーブルへ戻す。
最近、夢を見てうなされて起きる事が良くある。
目が覚めると、夢の内容は覚えてない…
それでも、胸を締め付けられるような苦しさと、何かに焦る気持ちだけは残っている。
早くしないと…早く?…何を?
「アル…ス…」
本の表紙を撫でながら、無意識に名前を呼んでいた
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