第三十九話 山奥の湖(前編)
オオサンショウウオを釣り上げ…討伐後、俺は料理長にある事をお願いしていた。
それは、オオサンショウウオのヒレと、中にある魔石の確保だ。
このヒレ、一応加工すれば、ちょとしたアイテムにもなるが、ゲームでは他の使い方も出来るんだ。
多分こっちの世界でも同じ事ができると思っている。
「失礼します。アルディス様、料理長よりオオサンショウウオのヒレと魔石を預かってまいりました」
「ヒレはともかく、やっぱり魔石もあったな。クラウスにもどう使うかを説明しておく。まず魔石についてなんだが、いくつか候補があるから、魔法に詳しいノアにも相談して決めようと思っている。次にヒレについてだが、こちらもアイテムにはなるんだが、別の使い方をしようと思っている」
「別の使い方、でございますか」
「ああ、実は今回ウチの領地の川にいたんだが、本来は山奥にある湖にいるはずだっんだ。何かの原因で、湖と川が繋がってしまい、行き来出来ていたんだろう。それで、ヒレを持ってその湖に行けば、ある物が手に入る…はずだ」
「それも前世の記憶でございますね」
「そうだ…。魔石については王都に戻ってからノアに見せようと思う。手に入れた事だけ先に知らせておけば良いだろう。ヒレは山奥に行く準備が必要だな、どのくらいで準備出来る?」
「1日あれば、ご用意出来ます」
「では、明後日にでも行くか」
「かしこまりました」
「アルディス様、料理長より伝言がございます」
「何だ?」
「『この様な食材は次回も必ず手に入れてください』との事です」
「よっぽど料理出来て嬉しかったんだな…」
クラウスが部屋を出た後、ノアに向けて手紙を書く『今回、珍しいオオサンショウウオの魔石を手に入れ事、これを使った魔道具を作りたい事、次に王都に戻った時に見せる』そんな事を書いて出した。
その後、クラウスと山の湖について場所の確認や道の確認、必要な物の打ち合わせをしていたら、あっいう間に、出発の日になっていた。
湖に出発する日―
行くのは俺とクラウス、イーサンとエヴァン、騎士団長、団員数名だ。少し大人数な気がしたが、先日の魔の森のこともあり、念には念を入れてこのメンバーになった。
でもフォルスは書類仕事したくなかっただけな気がするんだよな…セラン…すまん。
俺達は湖を目指して出発した。
その頃―
一方王都では、ノアがアルディスからの手紙を読んでいた。
「…!…!…」
手紙を読んだノアは急いで周りを片付け始めた。
普段から考えられない速さと手際で、荷物をカバンに詰めていく。
「失礼します。…ノアさん?何をしているんですか?」
丁度やってきた研究員が、ノアが荷物を整理している姿をみて質問する。
「…アルディスの所へ行く」
「え?アルディス様のところへ?何かあったんですか!?」
ノアは研究員に手紙を差し出す。
「…もしかして、これのためですか?アルディス様は王都へ戻った時に見せるって書いてますよ」
「無理だ」
「え、無理って、え?もしかして行こうとしてますよね?」
「待てない」
「待てないって、向こうに連絡いれたんですか!?いきなり行っちゃダメですよ!」
「…出しといてくれ」
「出しといてって、先触れを!?」
ノアは、研究員に頷くと、荷物が溢れそうになっている鞄を抱えて飛び出していった。
「…先触より先に着きそうな勢いだな。まあ、ありえないか……急いで手紙出そう」
研究員は、ちょっと急足で手紙を出しに向かった。
そんなやり取りが王都であっていた事も知らずに、俺たちは山の麓に到着していた。
「ん?」
「どうかされましたか?」
「いや、なんか変な感じがしたんだが…」
「周囲に魔物などは見当たりませんが」
「そんな感じじゃなかった…気のせいだろう」
「このまま進むと、休憩地点が有ります。そちらで休みましょう、お前ら!もうすぐ最初の休憩地点だ!」
「「「はい!」」」
フォルスが騎士達に指示を出す。
今回の山は魔の森とは少し離れたところにある山だ。ゲームの時は反対側から行ったが、こちらからもちゃんと行けるみたいだな。
少し歩くと、程よく開けた場所に出た。
ここで一旦休憩だな。目的地までは後、半分って所か。
「アルディス様、休憩の準備が出来ました。こちらへどうぞ」
「ありがとう」
クラウスに案内されると、山の中なのに簡易だがテーブルセットが出来上がっていた…
「クラウスが用意したのか?」
「もちろんです。今回はイーサンとエヴァンにも手伝って頂きましたが」
俺はイーサンとエヴァンを見た。
二人とも疑問に思わなかったのか?
え?、山で?テーブルセット出てるんだが?
「…」
俺は大人しく、クラウスが入れてくれた紅茶を飲んだ。
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