第三十七話 川に潜む影
休日を入れた事で、ちょっと気分がスッキリした事だし、今日からまた頑張ろう。そんな事を考えたいたら、クラウスが知らせを持ってきた。
丁度良い、幾つか確認しとこう。
「アルディス様、先日の灰色狼の調査結果が来ました」
「何か分かったか?」
「はい、報告によれば灰色狼のから、あの薬の成分と同じものが検出されました」
「…あの薬か」
「薬の成分は魔力上昇、感情の昂り。魔物に使えば、強さも上がり、攻撃的になるでしょう」
「だから通常よりも強い魔物が現れたわけだな、後はいつ誰が魔物に薬を使ったかと、他の魔物はどうなのかだな」
「その辺りは再度森へ調査に行く必要がありそうです」
「わかった。日程を調節してくれ、再度魔の森へ入る。それと、あの薬のが関係してるんだったら、ノアにも教えた方が良いだろう、俺からノアに連絡を入れておく」
「かしこまりました」
あの薬が、魔物にも使われていたとは…
魔物で実験したのか、それとも狙ってやったのか…
とにかくもう一度森へ行くしかないな。
万一領民が襲われない様に、森沿いの守りを強化しておこう。
「魔物関係はこんなもんか、後は…そうだ、先日の孤児院の子供は大丈夫だったか?」
「はい、あの後すぐに医者と薬の手配を致しましたから、大事にはならなかった様です。」
「それは良かった、突然の病気や怪我の事も考えて予算の見直しを急がないとな、後シスターからお願いされた、本や遊具だな手配はどんな感じだ?」
「本や遊具の手配は済んでいます。近々揃うかと」
「なぁ、遊具ってどんなの用意したんだ?」
「そうですね、主に一般的な人形やドールハウスなどですね」
「…そうか、こっちではそういうのしか、子供の遊具はないんだな」
「アルディス様は他に何か心当たりがお有りですか?」
「ああ、元の世界にはもっとたくさんのおもちゃがあったんだ。こっちでも幾つか作れそうなものがあるかもしれない」
「それは、良いですね、もし新しく作れば仕事として人を雇えますし、侯爵領の主な生産品にもなるかもしれませんね」
「ああ、後で幾つかアイデアを出しておくから確認してくれ」
「かしこまりました」
「後は、修繕工事の進み具合だな」
「そちらも報告が来ています。橋と、公共施設ですね。材料が少し足りないらしくて、追加の申請が来ています。それと、橋の方ですが、川に大型の何かがいて、作業員が怖がっているので確認して欲しいとの事です」
「大型の何か?魚かなんかか?」
「ハッキリとは分かりませんが、巨大な影が水の中を泳いでいるのを見たと何人も言っているそうです」
巨大な影か…
なーんか聞き覚えあるんだよな、でもアレが出る場所ってゲームでは違った筈なんだけどな。
確認しに行くか。
「少し心当たりがある、確認しに行ってくる」
「心当たりですか…かしこまりました。お気をつけて」
俺は橋の修繕場所に向かうことにした。
橋に着けば、数人が作業をしていて、責任者だろう大きくてがっしりとした、いかにも気難しそうな職人顔の男が指示を出していた。
俺は男に近づき声をかける。
「作業中すまないが、ここの現場の責任者は貴方だろうか?」
「あ?誰だあんた…!…ア、アルディス様!なんでここに!?」
俺が話仕掛けると振り向いた男は驚いた顔をしていた。こんなところに来るなんて思ってなかったんだろう。
「驚かせたようで、すまないな。何か困ったことが起きていると聞いたから、確認しにきたんだ」
「!!アルディス様が直接?」
「それで、どうなんだ?何か川にいるって聞いたんだが」
「……」
男は言っても良いのかどうか迷ったようだが、ダメ元みたいな感じで話し始めた。
「もしかしたら気のせいで、信じて貰えないかもしれませんが、工事をやってる最中に、川の中を巨大な影が通るんです。そんで、大きさなんですが、どう五、六メートルはありそうなんです。何人もの作業員が見ちまって、やれ、デカい背びれがあったとか、大きな口を開いてただの…中には『黄色かった』なんてのもあったな、皆んな気になって仕事にならねえ」
五、六メートル…大きな背びれ、黄色…
まだ確定したわけじゃないけど、これはやっぱり…
「わかった。こちらで何とかしょう明日、調査と、出来れば捕獲を行いたい。悪いが、明日の作業は一旦中止してくれ」
「分かりやした」
「明日の捕獲について、ちょっと頼みたいことがあるんだが…」
「俺に出来ることなら、任せて下さい」
俺は、川の生物捕獲に向けて準備を進めることにした。
明日はゲームで言うところの、イベントだ!
しかも俺向けの!
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