第三十四話 動き出す領地
昨日、クラウスと領地を見て回った後に、色々話し合っておおまかにやる事は見えてきた。
『魔物討伐』これは騎士団本体が合流した事で、かなり改善するはずだろう。今日の討伐でさらに詳しく聞く予定だ。
『孤児院の運営の見直し』今日、実際に孤児院をみてから細かい事を決める予定だ。
『領地の修繕』昨日あちこち見て回った時に、気になった所が幾つかあった。
すぐに手をつけれそうなのはこんな感じだな。
ひとまず今日は孤児院へ行ってみよう。
孤児院へ着くと、中から年配のシスターが出迎えてくれた。孤児院の院長の様だ。
俺をみると少し顔をこわばらせたが、俺はそれには気づかないふりをして挨拶を交わし、孤児院の様子を尋ねた。
「長らく顔を出せずに申し訳なかった、何か困ったことなどないだろうか?人では足りているか?」
「…そうですね、人手については、確かに足りてはいませんが、大きい子が下の子をよく見てくれていますので、回ってはいます」
院長はまだ俺のことを信頼して良いものか、分からないと言った感じで、どこまで話すか迷っている様だ…。
「信用して、貰えないのも仕方がないだろうが、子供達が、過ごしやすい環境を整えたいんだ、どうか遠慮せずに話してくれないか」
院長は俺をじっと見つめた後に、暫く考えたて話し出してくれた。
「人手不足の他にも、実はお願いしたい事があります。子供達に本や遊具などをお願いしたいのです。子供達がこの孤児院で過ごす間、少しでも楽しく暮らしてほしいのです」
「…わかった。必ず届ける。少し大きい形には勉強道具も用意しよう、必要になるだろうから」
「!…ありがとうございます」
元のアルディスは、孤児院は生活させ出来ていれば問題ないと思っていたんだろうな…
「食事や衣類など他には無いか?」
「そうですね…」
そこまで話した時に、ドアが少し開き、男の子が顔を出した。
「院長先生…」
「トミーどうしたの…ダメじゃないの、先生はお客様と大事なお話し中なのよ。アルディス様申し訳ございません…」
「いや、大丈夫だ。その子は何か用があったんじゃないのか、聞いてやるといい」
「ありがとうございます。少しだけ失礼します」
院長は少し驚いた顔をしたものの、男の子の話を聞き、数回言葉を交わすと、俺の方へ戻ってきた。
「どうしたんだ?」
「すみません。どうやら子供の中に、具合が悪くなった子がいるようで…」
「他にシスターは?」
「それが、いつもは私を含めて3人の大人で子供達を見ているのですが、一人は使いに出ていて、残りを一人で見ていたのですが、丁度、乳のみ子がいるので、どうしてもそちらに手を取られてしまい…。そんな中子供の一人の具合が悪くなってしまった様なんです」
「それは大変だな、すぐに子供の様子を見たほうがいいだろう。こちらは気にしなくていい」
「ありがとうございます」
そこで一旦院長が出て行ったので、俺とクラウスも席を立つ。
「クラウス、孤児院に薬や医者を呼ぶ資金はありそうか?」
「そうですね、医者は呼べても、病にもよりますが、継続して薬を買う事は難しいかもしれません」
「そうか、なら医者の手配をすぐに、それと薬の購入資金を急ぎで出すようにしといてくれ」
「かしこまりました。すぐに手配いたします」
俺たちは院長を待たず、孤児院を後にした。
屋敷へ帰って、孤児院の支援や街の修繕の報告書を読んでいると、執務室の扉がノックされ、許可を出したところで、騎士団長が入ってきた。
「アルディス様、本日の魔物討伐の際に分かったことを報告に来ました」
「ああ、どうだった?」
「魔物の数はやはり多くなっていました。それに加えて、少し違和感が」
「やはり数は増えていたか…違和感?どんな?」
「いつもより魔物が強くなっています」
「強く?多種個体とかか?」
「いえ、見た目は通常の個体です。しかし明らかに前より強いのです」
「原因は?」
「不明です。森の奥に調査を向かわせれば分かるもしれませんが、人手が足りません」
「分かった、明日は俺も同行する」
「…危険ですよ」
「分かっている、しかし原因を探るためにも必要だろう。同時に冒険者ギルドの方へも討伐依頼を出しておく」
「了解しました」
魔物か…王都では流石にみる事はなかったが、ゲームと同じかそれとも…
「クラウス、聞いての通りだ。明日は俺も討伐に加わる。クラウスは屋敷で諸々の手配を」
「畏まりました」




