第二十三話 図書館員と魔導書
いつもより少し長くなってしまいました。
リベルに渡すための魔導書も手に入ったことだし、王立図書館へ行ってみるか。
一応、俺も魔導書の中身を見てみたが、読めなかった。リベルが読めるなら、教えて貰うのも良いかも知れない。
王立図書館は相変わらず、静かで、そこだけ別の時間が流れているようだ。受付にいる図書館員にリベルが何処にいるか聞いてみる事にした。
「ちょっと良いか?」
「はい、どうかされましたか?」
「リベルは何処にいるだろうか」
「リベルさんですね、確か今日はあちらの奥の本を整理していると思います。お呼びしますか?」
「いや、いい。行ってみるよ」
教えられた本棚の方へ歩いて行く。
しかしゲームでも思っていたけど、この図書館はかなり大きい。ゲームでは本の中まで見ることはできず、ほとんど背景として作られていた。だが、この世界では違う。本棚に並ぶ一冊一冊が、本物として存在している。
そんな事を考えていると、リベルがいる本棚へついた。
「リベル」
「あ、アルディス様」
「約束通り、少し珍しい本が手に入ったから、持ってきてみたんだ。時間は取れるか?」
「はい、大丈夫です!丁度休憩に入るところでした」
「それなら、この間と同じ向こうのカフェで待っている」
「分かりました」
先日来た時と、同じ図書館のカフェスペースにある、テラス席へ向かった。
今回はコーヒーを頼む。実はこの世界、食べ物などは前世と殆ど同じものが食べられる。しかもかなり美味しい。ただし、インスタント系の物や和食は流石に無いが。いや、和食については、流通していないと言った方が正しい。あるにはある様だ。この国には無いだけで。
カップ麺が懐かしいな…。
「アルディス様、お待たせしました」
「ああ、リベルも何か頼むと良い」
「はい、では私もコーヒーを頂きます」
リベルはコーヒーを受け取ると、砂糖やミルクを入れずに飲み始めた。
俺はその姿をじっと見つめる…
「?どうしました?」
「いや、ちょっと意外だと思ったんだ」
「何がですか?」
「なんとなくだか、苦い物は苦手かと思っていた」
リベルは手元のコーヒーを見て、思い当たることがあるのか苦笑いをした。
「あー、確かによく言われますね。甘いものが好きでしょうって、差し入れなんかも甘いお菓子とか多いんですよね」
「そうなのか」
「ええ、どちらかと言うと私は辛いものとか、苦味がある物が好きなんですが」
リベル派困った様な顔をして、話してくれた。
ゲームでは、仲良くなってもあくまで、本の話を聞くだけだ、共にお茶を飲むなんて事は無かったしな。俺もてっきり見た目から甘い物が、好きだと思っていた。
「そうだ、本題に入ろう。今日はリベルに本を持ってきたんだ。まだ、読んだ事無いと良いんだが」
「ありがとうございます!では、拝見しますね」
丁寧な手つきで、本を受け取り中を確認している。
中の文字を見た時に少しハッとした様な顔をしたが、きっと古代文字だったので驚いたのだろう…。
「古代文字ですか…中身は魔導書ですね」
「ああ、リベルなら読めるんじゃ無いかと思ったんだがどうだ?」
「はい、古代文字はある程度読むことが出来ます。この本は読んだ事ありません」
「それは良かった。それで、この本をリベルに貰って欲しい」
「こんな貴重な本、どうして私に?本当に貰って良いんですか?」
「ああ、純粋に友人への贈り物だ。それに俺が読めない本をリベルが読んで教えてくれれば、俺もリベルに本を送る意味があるだろう?」
勝手に友人にしてしまったが、リベルの反応を見ると、嫌がって無いようだ。…むしろちょっと嬉しそうにしている。
「…友人…ありがとうございます!読んだら必ずアルディス様に教えますね!」
笑顔で受け取ってくれて良かった。これで今後も定期的に会いに来ても、変には思われないだろう。
「そう言えば、この間お話しした遺跡の話しですが、お聞きになりますか?」
「ああ、そういえばそれも教えてくれると言っていたな」
「まだ、全部読んでは無いのですが…」
「構わない、読んだところまでを教えてくれて」
「はい。えっと、少し前にこの国の端や、隣国など数カ所で、遺跡が発見されました。中を調査したところ、似たような碑石が発見されて、関連性があると書いてありました。」
リベルは、目を伏せて思い出しながら語っている。
「遺跡の中は幾つかの部屋に分かれていて、基本的に碑石はどの遺跡も、中央から続く奥の部屋に祭壇と一緒に置いてあったそうです。碑石の文面はまだ解読中の様で、詳しくは書いてありませんでした。分かった部分は『異なる魂』や『時間』『救済』などだそうです」
「なるほど、中々面白い内容だな」
「この先読み進めればもう少し詳しい事がわかるかもしれません」
「実際にその遺跡に行ってみるのも面白そうだ。もし行けるなら、リベルも一緒に行くか?」
「そうですね、本に書いてある事を自分の目で見れるなら行ってみたいですね」
リベルから聞いた遺跡の話は中々興味深い内容だった。全容を聞いた後、実際に行ってみるのも良いかもしれない。侯爵家の力を使えば中を見ることは可能そうだしな。その時はリベルも誘おう。
「今日はありがとうございます」
「俺の方こそ、色々話を聞けて良かったよ。今度はリベルが休みの日に誘っても良いか?その方が時間も気にしなくて良いだろう」
「はい大丈夫です!私の休みは今度の水よう…」
「ん?」
「いえ!今度の水の日です」
「分かった、ではまた今度連絡する」
そう言って、リベルと分かれ図書館を後にした。
リベルはアルディスの背中が見えなくなるまで見送ると、腕の中の魔導書へそっと視線を落とした。
「……やっぱり、どこか変なんだよね」
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