第二十話 調査報告
ノアとリベルに出会ってから数日が経った、ある日の執務室。
ノックの後にクラウスが入室してくる。
「アルディス様、ご報告がございます。薬と夜会について、ある程度判明いたしました」
「ようやくか」
俺は表情を引き締め、聞く体制に入った。
「まずはこちらをご覧ください」
俺はクラウスが渡してきた、薬師の鑑定書に目を通す。
容器外側からの解析結果
・保存魔法
・上級回復薬
・魔力回復薬
・精神安定薬
「普通の結果だな…外側?」
「はい、此方はあくまで容器外側からの解析です。解析した者が、念の為、中身と容器を別々に解析したところ、別の結果が出ました。此方結果になります」
薬液の成分結果と作用について
・魔力を一時的に活性化
・高揚感を引き起こす
・万能感を与える
・感情が昂りやすくなる
・長期的影響は不明
・常用や長期的使用は危険と思われる
「やっぱり普通の薬じゃないな」
「はい。瓶には解析魔法を妨害する術式に加え、解析結果そのものを書き換える偽装術式も確認されました」
容器解析結果
・保存魔法
・解析妨害術式
・解析結果を書き換える偽装術式
・未解析の術式
「偽装されていたか」
「なお、現状でも一部だけ解析できない術式が残っているとの事です」
「わかった、引き続き調べてくれ」
「はい。続いて夜会参加者についての報告書になります」
クラウスが新たに報告書を差し出してくる。中には名前と詳しい身元が書いてある。
「現在までに身元を確認できた者は以下の者達です」
・有力貴族
・商会関係者
・魔道具職人
・地方領主の代理人
「この四者には一つ共通点がございました」
「共通点?」
「全員、同一人物……もしくは同じ団体と接触しております。その人物から紹介状を受け取り、夜会へ参加していたようです」
「紹介役がいるのか」
「それと最近、社交界で些細な争いを起こした人物を調べましたところ……夜会参加者と一致しました」
「さっきの薬の報告書にもあったな。感情制御が乱れやすくなる……」
「やはり薬が関係している可能性が高いですね」
「無関係ではないだろう」
「現在、その紹介役について調査を進めております。しかし、身元が巧妙に隠されておりますので、しばらく時間をいただければ…」
「頼む」
「わかった事もあれば、さらに不明な点が出てきたな…」
「アルディス様、今回の薬と夜会は前世では…」
「ああ…。前世では無かったことだ。だから、この件に関して俺の知識は役に立たない」
クラウスが部屋を出て行った後、俺は暫く考え込んでいた。
やっぱり薬は危険なものだったな、夜会の目的も資金集めだけではないだろう。紹介状で参加者を選別している以上、誰でもいいわけじゃない…。
はあ、この様子だとかなりの貴族が関わっている可能性がある。
…敵は思っていたより大きそうだ。
「ゲームには、こんな組織は存在しなかった」




