表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻略知識が役に立たない世界でした〜悪役貴族に転生した俺は、変態体質と死亡グラフを無くしたい〜  作者: 洸夜 真琥
第一章 ゲームにはない世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/39

番外編 アルディス様観察日記

クラウスの日常


「最近、本当に変わられましたよね」


朝の仕事を終えた使用人たちが、廊下の片隅で話していた。


「前は目が合うだけで怖かったのに」

「この前なんて、一緒に荷物を運んでくださいました」

「『ありがとう』って言われた時は耳を疑いましたよ」


思わず足を止める。

その様子を少し離れた場所から見ていたクラウスは、小さく微笑んだ。


「別人みたいですよね」


……ある意味、その通りなのですが。

もちろん、その真実を知る者は自分だけ。


「でも、一つだけ変わってませんよね」


一人の侍女が苦笑する。


「何が?」


「女性に冷たい目で見られた時だけ、少し嬉しそうなんです」

「えっ?」

「見間違いじゃない?」

「私も見ました」

「私も」


クラウスは静かに目を閉じた。

……見間違いではありません。

私も確認しております。


「あれだけは治らないのかしら」

「きっと難しいのでしょうね」


勝手に納得しないでください。

心の中でそう呟きながらも、少し笑ってしまう。

すると侍女の一人が言った。


「でも、今のアルディス様なら少しくらい変でも良いですよね」

「うん!」

「前より百倍いい!」


クラウスは小さく頷く。

その通りです。

性癖はともかく。

今のアルディス様は、とても良いご主人ですから。




セシリアの日常


「お嬢様、お帰りなさいませ」


部屋へ戻ると、侍女が笑顔で迎えてくれた。


「今日のお出掛けはいかがでしたか?」

「とても楽しかったです」


思わず笑顔になる。


「喫茶店で、とても大きなパフェを食べました」

「まぁ!」

「今流行りの、『ジャンボミラクルスーパーパフェ』なんですが」

「え!」


侍女の笑顔が一瞬固まる。

あれは確か、王都でも有名な超特大パフェだったはず。


「最初は食べ切れるか心配でしたけど、二人で食べたら丁度良かったんです」


……二人で食べ切ったのですか

侍女の笑顔は少し引き攣っていた。


「それから本屋さんにも行きました」

「ああ、新しくできたお店ですね」

「はい」


そこまで話したところで、少し考える。


「あの……」

「どうされました?」

「アルディス様が急にお店から飛び出してしまわれたのですが……」


侍女が首を傾げる。


「何かあったのですか?」

「変な本を勧められたみたいで……」

「どんな本だったのですか?」

「えっと……確かこんな感じでした」


『冷たい視線の令嬢百選』

『罵倒音声集・完全版』

『蔑まれたい紳士のための入門書』


「…………お嬢様」

「はい?」

「その話は……あまり深く考えない方がよろしいかと」

「そうなのですか?」

「はい」


きっぱり。


「でも、アルディス様は『今は違う』って仰ってました」


侍女は遠い目をした。


「……それを信じましょう」


セシリアは首を傾げたまま、小さく笑った。


「でも」

「慌てていらっしゃるアルディス様も、少し可愛かったです」


侍女は思った。

恋とは、人を強くするものなのですね、と。




ギルの日常


「じいちゃん」


雑貨屋の扉を開ける。


「来たよ」

「遅い」


老人は椅子に座ったまま答えた。


「アルディス侯爵はどうだった?」

「変わったやつじゃな」

「でしょ」

「じゃが、悪く無い」


老人は新聞を畳み、ニヤリと笑う。


「変人だけどね」

「お前も気に入っとるみたいじゃな」

「変人って言っただけ」

「同じじゃ」


老人は豪快に笑った。


「そういえば、本屋で逃げ出したそうじゃな」

「……もう知ってるの?」

「店主が嬉しそうに話しに来たぞ」


情報屋より情報が早いじゃないか。


「『第三巻も入ります!』って言ったら逃げられたそうじゃ」


ギルは思い出して吹き出した。


「ははっ」

「本人、本気で焦ってた」

「当然じゃ」


老人は机を叩いて笑う。


「元々あいつ向けの本じゃからな!」

「本人は全力で否定してたけど」

「変態ほど否定する」

「なるほど」

「納得するな」


思わずツッコむ。

老人は笑いながら立ち上がった。


「次に会う時は、第三巻を用意しといてやる」

「まだ発売してないよ」

「なら作らせる」

「出版社が可哀想」

「売れるぞ」

「本人以外にね」


店の中は笑い声でいっぱいになった。




その頃。

屋敷では。


「……くしゅん!」


思わずくしゃみが出る。

風邪か?

いや。

何だか嫌な予感がする。


「気のせい……だよな?」


誰かが俺の噂をしている。

……しかも、絶対ろくでもない内容で。

そんな気しかしない一日だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ