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第41話無事に救出

 

「これで、最後か」


 最後の一体の魔物を倒したアユムは、血を拭き取ってから刀を鞘に納めた。


 そして、目の前に積み上がった、魔物の山には見向きもせず怯えているライの所へ向かった。


「あ、アユムさん」


「ライ、もう大丈夫だ」


 そう言って、アユムが両手を広げると震えながら抱きついてきた。


 しばらく、泣いていたライだったがフェンとアユムで慰めると次第に落ち着きを取り戻していつもの笑顔に戻った。


「ほんとに、この子は魔物なのかい?」


 まるで、人間のよう。


 いや、人間より人間らしいライの様子に困惑した。


「魔物ですよ、まぁそこに転がってる魔物達とは違いますけどね」


「そこに……」


 スズキが見る方向には、さっきまで生きていた大量の魔物達が無残に転がっていた。


「アユム君って、強かったんだね」


「そうですか? 俺は大切な人達を守ることも出来ない弱者ですよ」


「じゃ、弱者かい? これで」


 君が弱者なら、この世界のほとんどの人は虫けらくらいだよ。


「それに、君の相棒もだよ」


「なんだい、さっきの姿は!」


「あれは、奥の手みたいなものです」


「奥の手?」


「はい」


「ただの、可愛い子ではなかったんだね」


 獣人にもなれて、奥の手のあの姿。


 僕が異世界転移されて、約10年経つけどそんな魔物やモンスターは聞いたことがないよ。


「僕の相棒も相当強いんだけど、その自信が吹っ飛んだよ……」


「何言ってるんですか、空飛べるとか凄いじゃないですか」


「フェンは空飛べませんよ」


 褒められた、ランは嬉しそうに声をあげた。


 その横で、空が飛べたら褒めてもらえると思ったフェンとライが一緒に空にどうにかして飛ぼうとしていた。


 フェンは風魔法で、自身の体を上手くコントロールして空気中に風の壁を作って飛ぶというより浮くことに成功していた。


 ライは植物を操り、こちらも飛ぶというよりは植物に持ち上げてもらっているだけというフェンと似たような状況になっていた。


「アユム君の相棒達は面白いね」


 その光景を見ていた、スズキは日本にいる弟と妹が自分に褒めてもらう為に不器用なりに頑張っていた過去の思い出を思い出した。


「ありがとう、アユム君なんか元気が出たよ」


「そうですか」


「あぁ、よし! ランお前も行ってこい」


 そう言われた、ランは待ってましたとばかりに力強く翼を広げてフェンとライの所まで飛んでいった。


 少しすると、ライとフェンを乗せたランが戻ってきた。


「ご主人様! ラン君凄い!」


 興奮した様子のフェンと、はしゃいだのが今になって恥ずかしくなったのか顔を赤くしたライが。


 ランの背中から、降りてスズキとアユムの所まで戻ってきた。


「そうだろう、僕の相棒は凄いだろ!」


 そう言うと、やっぱりランもスズキに信頼を寄せているのが分かるように。


 スズキの顔にすり寄った。


「待って! ラン、スリスリが痛い!」


 ドラゴン独特の鱗が痛かったスズキは思わず悲鳴をあげた。


「痛かった」


 アユムの回復魔法で治してもらった、スズキはさっきのを思い出してほっぺをさすっていた。


「じゃあ、アユム君ライちゃんを見つけれたことだし。一人待っているムラサメの所に早く戻ろうか」


「それも、そうですね」


「ところでだけど、アユム君」


「はい?」


「是非良かったら、その後ろの魔物達の素材が欲しいな〜〜なんて」


「あぁ、別にいいですよ」


「えっ、ほんとに?」


「どれも、滅多に市場に出回らないレアな素材ばかりだよ」


「鍛治専門のスズキさんにあげたほうが、有効に使ってくれると思うので」


「そ、そうかい? なら、ありがたく貰うよ」


 お礼を言うとすぐに、魔物達の素材の回収に向かったスズキを待つこと一時間。


 待っている間に、数匹の魔物がよってきたがランとフェンとライが威嚇するとすぐに、逃げていった。


 そうして、スズキが帰るまでにハプニングなどは起こらなかった。


「いやーー、これで新作の装備がたくさん作れるぞ。これだけあれば、しばらく作業場にこもれるな」


「それは、良かったですね」


「あぁ、それじゃあ帰ろうか」


「はい、暗くなる前に帰りましょうか」


 スズキがランを呼ぶと、来た時と同様に背中に乗ってスズキが合図をすると空へとびたった。


 ◆


 来た時と同様に、同じように次はライが吹き飛ばされるなどちょっとしたハプニングがあったが数時間の飛行で無事戻ってくることができた。


「ラン、ありがとう。戻っていてくれ」


 ランは、スズキの所有するもう一つの作業場に魔物の素材が入ったマジックバックを持つとすぐにとびたっていった。


「じゃ、アユム君僕もさっそく作業をしたいから行くよ」


「君は、ムラサメの所に早く行くといいよ」


「時間がないから、早くしないとね」


「時間がない?」


 謎を残してスズキは、駆け足で作業場に向かっていった。


 何かあるのか?


 まぁ、俺もライを無事連れてこれたことを報告しないといけないし急ぐか。



 店の二階、ムラサメの今使っている部屋の前に来るとドアをノックした。


 すると、部屋の中から「入ってー」と返事が返ってきた。


「ムラサメ帰ったぞ、スズキさんのおかげで無事連れてこれ……た」


 中に入った、アユムは驚きの光景を目にした。


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