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第39話もう一つの能力

 

「そっちはどうだ? 何か異常はないかライ」


『はい! 植物さん達と仲良くしてますよアユムさん』


「それなら、良かったよ。一緒に連れて行けなくて悪い」


 アイツが帰ってきてると思わなかったからな。


 それにしても、俺の固有スキル【魔物の主】に隠されたもう一つの能力があったとはな。


 俺の従魔になった魔物と遠く離れ離れになっても、こうやって意思疎通ができるんだからな。


 ドライアードはどんな病気や怪我でも治すことが出来る上に、魔物にしては美しすぎるその美貌と知性を持ち合わせた希少な魔物だ。


 なので、多くの国の貴族、冒険者が血眼になって探している。


 そんな、危険な所に連れて行って誘拐されたりでもしたら大変と判断したアユムはまだ安全だろう死の森で大人しく待っているように伝えた。


 だからこうやって、毎日一日の終わりに何か異常が無かったかを確認するためにスキルを使用しライと会話をしている。


 そんな、フェン以外ではじめての従魔になったドライアードのライとも楽しく過ごしたいアユムはどうやったら一緒に過ごせるようになるだろうと毎晩ライと話しながら考えた。


「ライ、寂しくないか?」


『アユムさん……その言葉はずるいですよ。寂しくないって言ったら嘘ですし、寂しいって言ったらアユムさんの迷惑になるじゃないですか』


 迷惑、ライはいつも俺のことを優先して考えているよな。


 でも、迷惑になるじゃないですかってことはやっぱり寂しいんだよな。


 どうする、危険は承知で一緒に連れて行くか?


「ご主人様〜〜何を迷ってるの?」


 遊び疲れていて、さっきまで大人しくしていたフェンがアユムの悩んでいる様子を見て何が迷うことがあるのと。


「迷うくらいなら、後悔しない方を選んだらいいと思うよ?」


 と、未だに悩んでいるアユムを後押しした。


「フェン……お前は、強くてぱっと見ただの可愛い狼だからいいが。ライはな」


 その目立つ容姿のライを連れ出すことを簡単に決意することの出来ないアユムにフェンは一言。


「ご主人様はあの窮地の場面でも、まだ卵の私を助けてくれたよ?」


「これからも、助けてくれるんじゃないの? ご主人様は私の勇者なんだよ? だから、私以外の困っている子も助けて欲しいな」


 そんな、はじめて出会った時は守っていた小さな狼は人より数段早い成長速度で今や困っているアユムを後押ししてくれる、一匹の相棒になっていた。


 そんな、相棒の気持ちを受け取って何も思わない訳がなく。


 後押ししてもらったおかげで迷いを捨てることが出来たアユムは後悔しない選択をするために、ライに今からする事を伝えた。


「ライ、寂しい思いをさせて悪かった。従魔を守ることが出来ないなんて情けないよな」


「でも、決めたよ。一緒に行こう」


『本当……ですか? 私、自分が狙われていることは知っています。アユムさんに助けてもらったのは、凄く感謝してます』


『だから、アユムさんの迷惑にはなりたくないです』


『迷惑になるくらいなら、私は寂しくてもいいです』


「大丈夫! ご主人様と私で守るよ〜〜」


「そうだな、俺と相棒の二人でライを守るよ。それに、守られることは悪いことじゃない」


『アユムさん、そしてフェンさん。なんで、私のためにそこまでしてくれようとするんですか』


 震えた声で、聞くライに対するフェンとアユムの答えは。


「仲間だからだ」


「お友達だから!」


 そんな、二人の返答を聞いて安心したライの声や気配から怯えや震えは無くなっていた。


『ありがとう、ございます!』


 嬉し涙を流しているのか、ライの声は涙声だった。


「さて、どうやって迎えに行こうか」


「えっ? ご主人様、何も考えてなかったの」


「あぁ、何も考えてなかったぞ」


「ご主人様……」


「まぁ、何とかなるだろ! 少し、時間はかかるかもしれないが馬車で行くなりすれば」


「ご主人様、ムラサメさんに聞いてみないの?」


 ムラサメなら転移魔法ですぐたどり着けるのにと疑問そうに聞くフェンにアユムはムラサメは今転移魔法を使えない事を伝える。


「魔力不足らしいからな、転移魔法は無理だ」


「そっかぁ」


「だから、地道に行くしかないぞ」


「ということで、ライ。かなり、時間がかかるかもしれないけど、待っててくれるか?」


『はいっ! いくらでも待ちますよ。だから、気をつけてください』


 そうと決まれば、ムラサメに話をつけてくるか。


 死の森に行く事を許してくれるか?


「大会に出場するって言ってたしな」


 難しいかもしれないけど、ライをあんなゴリラが出没する危険エリアに置いておきたくないしな。


「話は早い方がいいよな、今からアイツと話してくるから。大人しくしておけよフェン」


 そう言って、夜遅い時間にムラサメに話をするために部屋を出てお店の二階にあるリビングに向かうとお酒を飲んでいるスズキとムラサメが、楽しそうに会話をしていた。



「そろそろ、この国から出るのかい?」


「まぁな、お弟子くんの事情もあるからな。それに、大会に出場するためにそろそろ出発しないとな」


「そっか、久しぶりに楽しかったんだけどな」


「また、お弟子くんの大会巡りが終わったら寄るさ」



 そんな、二人の会話を部屋の前で聞いていたアユムは大会巡りになっていたことに驚きつつも新しく出来た目的を伝えるために意を決して部屋に入る。



「あれ? アユムくんじゃないか。どうしたんだい?」


 寝るために部屋に戻っていたはずのアユムが、部屋に入ってきたのでどうしたんだというよな顔をしている二人に向かってアユムは。


 固有スキルについては話さず、大まかな事情を二人に話した。


「だから、もう一人の大切な相棒を迎えに行きたいんだ」


「へーー、ドライアードか。また、珍しい魔物と仲良くなったね」


「まぁ、助けたら。懐かれたというか」


 ドライアードという珍しい魔物に興味を示したスズキに対して、これからの大会の出場を辞めて助けに行きたいと言ったアユムの言葉を聞いたムラサメは。


「そっか、私が転移魔法使えたらよかったんだけどね」


「ここからだと、遠いけどどうやっていくの?」


 と、意外にあっさりした反応を見せた。


 そんな反応に驚いたアユムは。


「行っていいのか?」


 と再確認した。


「いいも何も、要するに仲間を助けに行きたいんでしょ?」


「ダメな理由ないでしょ?」


 そう言って、アユムに笑いかけた。


「ムラサメ! 君は本当にカッコいいよ!」


 その言葉を隣で聞いていたスズキが、そのムラサメのかっこよさにやられるている間にアユムはムラサメに礼を言った。


「ありがとう、大会に出場できなくて悪い」


「いいんだよ、お弟子くん。その子に何かあったら大変だしね。仲間にある日突然会えなくなるかもしれないからね」


 ムラサメから、許可をもらったアユムは急いで向かうために部屋に戻るとフェンに明日さっそく、出発する事を伝えた。


「分かった! ライちゃんに早く会いたいな」


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